感動するマーケティング

企業の "想い" を伝えたい広報・PR担当者の方へ。塩谷舞さんから学ぶ、Webコンテンツの作り方と届け方。

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こんにちは。 SNSやWebメディア、コミュニティなどを通じて、企業やブランドの『ファンづくり』に日々奮闘しております「沸騰ナビゲーター」こと井手 ( @kei4ide ) です。

 

評価経済、応援経済、価値経済…。

 

昨年から、こんな言葉が世の中を賑わせるようになってきました。共感できる、応援したくなる、社会的な価値を感じる対象に対して、僕たちのお金や時間が費やされていくという考え方です。

 

そんな時代において、ますます企業にとって重要となるのが、企業やブランドの "想い" を届けるコミュニケーションだと思います。 

 

「商品やサービスの機能的な優位性だけでなく、その裏にある想いを、どう届けるか? しかも、その想いに共感いただけるようなカタチで…。」

 

この問いに対して、苦心している企業の広報やPR担当者の方は、多いのではないでしょうか? 僕も、その一人です。

 

そんな僕が、常に頭が下がる思いで見ているのが、「お菓子にもっと新しい価値を」を企業ミッションに掲げる『BAKE』です。

 

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 ※株式会社BAKEのコーポレートサイトより、スクリーンショット

 

チーズタルトやアップルパイなどのお菓子が美味しいのはもちろん、店舗空間やパッケージなどのデザイン性、店舗スタッフの皆さんの接客も素晴らしく、僕がホームパーティー的なイベントに参加する際には、高確率でBAKEのお菓子を手土産にもっていきます。

 

そのBAKEを「良い企業」から「応援したい企業」に高めているのが、BAKEが運営しているオウンドメディア『THE BAKE MAGAZINE』だと、僕は思っています。

 

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『THE BAKE MAGAZINE』より、スクリーンショット 

 

どんな経緯があってBAKEに入社し、どんな経験や苦労を重ねて、何を成したのか? もしくは、これから何を成そうとしているのか?

 

創業者の長沼さんはもちろん、新入社員の方から店舗スタッフの方まで、各スタッフのBAKEに対する純粋な想いが、確かな熱量を帯びて届くんですよね。『THE BAKE MAGAIZNE』の記事を読みだしてから、BAKEのお菓子を食べると、美味しさが倍増したように感じています。おそらく、『THE BAKE MAGAZINE』を通じて、BAKEのことを好きになったり、応援したいという気持ちをもったBAKEファンは多くいらっしゃるのではないでしょうか。

 

この『THE BAKE MAGAZINE』の編集長を務めてらっしゃるのが、現在フリーランスで執筆・司会業などを行っている塩谷舞さん( @ciotan )です。

 

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※『「伝えたい」ものを「届けたい」ところへ。“無人島でお祭り”にならないWebコンテンツづくり - 朝日新聞デジタル&M』より、スクリーンショット 

 

“軽くないもの。いっときの消費で終わらないもの。相手の深い深い感情部分までドスッと落とせるようなものを、どれだけ生み出せるだろうか?そんなことを忘れないようにしなきゃって思います。”

※『もうバズらせることに疲れたよ。ネットの消化・消耗文化にガチで勝負いたします。』から引用 

 

“ひれ伏したくなるような作品が世に生まれるその瞬間に、そこにある熱量も、舞台裏も、余すところなく伝えられる記事を出していきたい。舐めるように読んで欲しいんです。”

※『メディアを始めます、だなんて聞き飽きたとは思うのですが | milieu(ミリュー)』から引用 

 

どれだけの人に届いたのかというPV数は追いかけながらも、受け手の中に確かな足跡を残すような記事やコンテンツをつくることに、命を燃やしているように見える塩谷さん。塩谷さんが個人で運用されている「milieu(ミリュー)」で掲載される記事のどれを読んでも、ほとばしる情熱が記事から伝わってきます。

 

「企業やブランドの “ファンづくり” を生業とするものとして、自分が心の底から応援したいと思える企業の背中を押すためにも、塩谷さんのような伝え手になりたい…」

 

そんな想いを日々抱いていた矢先、朝日新聞デジタルのWebマガジン『&M』が創刊5周年を記念して塩谷さんを講師に、「いま求められるwebコンテンツの作り方と届け方」というイベントを開いてくれることが決定(しかも、無料。朝日新聞さん、素敵すぎる!)。運よくチケットを獲得でき、参加することができました。

 

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※Peatixのイベントページより、スクリーンショット 

 

そこで、今回の記事では、塩谷さんがイベントでお話されていた内容から、「企業やブランドの想いを届ける」といった視点で、僕が特に印象残った内容を、感想と共に共有したいと思います。

 

 

そもそも、無人島で、お祭りをしていないか?

 

「コンテンツは質が高いのに読まれなくって…」

 

出版社やWebメディアの編集をしている人から、こんな声を聞くことが多いと塩谷さんは言います。良い記事やコンテンツをつくっている自負はあるのだけど、なかなか読まれない…とか、全然PV数やSNS上でのシェアが伸びない…とか。

 

この背景には、コンテンツの質を高めることは注力しているのに、肝心のコンテンツを届けることへの努力や、コンテンツを届ける営業や配送、書店販売の方々の存在を軽視しているのではないかと塩谷さんは指摘します。

 

「チラシも作らず、狼煙もあげず、橋もなく、船も手配せずに、『コンテンツの質が高いのに読まれない』と言っているのはおかしいですよね。これでは、無人島でお祭りをやっているだけにすぎません。

  

ということで、以下の2点を考え抜くことが重要になります。

  1. 今は、興味がない人にもお祭りの存在を知らせる方法
  2. また、来たくなる満足度の高いお祭りを開催する方法

 

Webメディアに置き換えると、前者は、コンテンツや記事ページに訪れていただくための 『届け方』。後者は、記事を読んでいただいて、読者の記憶に残るためのコンテンツの『作り方』 。この2つを両立させることを、僕たちは考え続けていく必要があるわけですね。

 

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 ▲頑張って本を売った営業メンバーへの感謝を忘れてしまっている編集者の例として、漫画「働きマン」の1シーンを紹介する塩谷さん。 

 

塩谷さんのポリシーとは?

 

塩谷さんが記事を作成したり、Webメディアを運営する上で、心がけているポリシーが、この4つ。

 

  1. 下品にバズらせない。
  2. 誰かを傷つけない。
  3. 高尚にならない。
  4. 結果を出す。

 

このポリシーの中で、僕が特に印象に残ったのは「誰かを傷つけない。」でした。

 

私にとっての正義は、誰かにとってはナイフかもしれない。だから私はここmilieuで何かを伝えるとき、必ずといっていいほど、自分と反対側にいる人のことを考えます。

この意見に傷つく人はいないか? 強く断言してしまうことで、苛立つ人はいないだろうか?

 ※『記事広告を減らすこと。収益の仕組みを変えること。そして海外発信。2018年、私の目標 | milieu』から引用 

 

milieuの記事の中でも、このように述べられています。上記の記事の中では、「これからは、反対意見を恐れず、もっと自分の意見を主張していこう」ということが結論として書かれているのですが、この「誰かを傷つけない。」という意識を強く持つことって、僕はすごく大切なことだと思いました。

 

『不協和音を、僕は恐れない。』

 

何かを主張したり、世の中を動かすという意味では、この精神は大切だと思います。また、誰かを叩くような記事はバズりやすい傾向にあると思います。

 

ただ、本当にそれで、届けたい相手に、届けたい想いを伝えることができるのか?

それを本気で考える必要があるということですね。

 

安易に下品なネタや、焚き付けるようなネタに走らない。また、高尚すぎて読み手がついていけない状態にもしない。それでいて、読み手に届いて、読み手の気持ちを動かす  "結果の出る" 記事をつくっていく。それが、塩谷さんのポリシーなのだと僕は理解しましたし、自分も、この4つのポリシーは心のノートに深く刻みこみたいと思います。

 

興味をもっていただくための、Webコンテンツの『届け方』

 

まずは、届いてもらわないことには始まらない。『届け方』では、やはり、SNSの活用が大切になります。その中で、特に僕の印象に残った内容を紹介します。

 

①Twitter編

 

切り口を変えて、何度かシェア

 

「多くの方に記事を読んでいただくために、少なくても3回は、それぞれ全然違う切り口でシェアします(違う層に刺さるよう…)。」

 

ここまでやっているのかぁ…と感心してしまいました(みなさん、やってますか?)。僕は1記事あたり1シ ェアで終わってしまっていました。もちろん、工夫もなくやりすぎるのは良くないと思いますが、届けるということに気合を入れねばと思いました。

 

 ▲例えば、こちらのmilieuの新着記事を紹介するツイートですが、始めのツイートへの返信という形で、文章や添付写真を変えながら合計4回ツイートされています。さすが。

 

ツイートをバズらせる7つの公式

 

Twitter上で、多くの人に興味を持っていただくためには、自分のアカウントの影響力(=フォロワー数)を 高めることが重要なのは言うまでもありませんよね。

 

そんな中、アカウントのフォロワー数が増えない、リツイートが増えない問題の原因は、既存のフォロワーにとって、発信しているツイートが以下の2点が要因だと塩谷さんは言います。

 

  1. 有益ではないから…
  2. 第三者に見せても理解されないから…

 

そのために、大切なのは発信する情報の「統一感」。同じジャンルに関する発信を繰り返すことでタイムラインに統一感を出し、「その分野に興味がある人なら誰もが知っている専門書」のような存在を目指すことを最初は目指すべきだと。

 

そして、多くの人の目を引くために塩谷さんがツイート単位で心がけることは、以下の7つとのことで、取り入れていきたいものばかりでした。

 

  1. 感嘆詞 or 強い言葉:「これ、最高すぎる!」「この店、すごい」など、感嘆詞や強い言葉をツイートの頭に置く。
  2. 専有面積:改行などを使って、ツイートの縦面積を広げる。※やりすぎは注意!
  3. 情報第三者にとって有益な情報を入れる。
  4. 感想自分がどう思ったのかの感想
  5. 写真写真を複数つかうなら3点セットがおススメ。
  6. 行動先:詳細情報のリンク先などをツイート内に置く。
  7. (インフルエンサー):可能な限り、インフルエンサーをタグづけ。

 

 ▲例えば、こちらのツイート。 感嘆詞、専有面積、情報、感想、写真(3点)、行動先と、ほぼ全てのポイントが含まれている100点満点のツイートです。結果、多くの人からファボやRTが生まれています。

 

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 ▲ツイートを編集することの重要性を語る塩谷さん。おっしゃる通りで、ツイート術を磨くことを強く決意…! 

 

②Facebook編

 

『Facebook、友人家族の投稿を増やし、ニュースや企業コンテンツを減らす方向性を発表』という記事が、先日発表されていましたが、現在、企業公式アカウントからの投稿のリーチは極端に下がっている状況です。ファン数が数万人もいるのに、投稿への平均いいね数が一桁台のFacebookページを見かけることも増えてきたように思えます。

 

そこで、Facebookで投稿するうえで、重要なことは…

 

「血の通った人間であることを執拗に伝えること」

 

要は、Facebookの友達をタグ付けしたり、同じWebサイトのURLばかりを載せるのではなく、時には動画や画像を添付したりと、血の通った人間の投稿であることをFacebookのシステムにアピールすることが大切ということですね。逆に、単一の行動ばかりしているアカウントは企業アカウントとみなされ、Facebook上でリーチを下げられるアルゴリズムが働いている気がすると塩谷さんは言います。

 

また、投稿の初めに、家族の話だとか、友人との話だとか、近況報告だとかを付けることも大切で、おばあちゃんの話のような出だしがユーザーの心に刺さりやすく、出だしを工夫することで、投稿へのエンゲージメント率が全然変わるとのこと。確かに、冒頭の一文で、広告っぽい投稿かどうかを判断することが多いので、これは徹底していきたいと思いました。

 

 

③LINE@編

 

「LINEは、もっとも距離感が近いメディア。『公式』感をゼロにすることが大切」

 

LINEは、家族や恋人など、距離感が近い人達と連絡を取る際に使うメディア。なので、そこにお邪魔する感覚が必要ということですね。

 

例えば、LINE@でメッセージを配信するときには、冒頭の数文字で興味をもっていただくことを狙いながら、人間っぽいメッセージで話かけることが大切とのこと。

 

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▲事例として紹介されていた冒頭のメッセージ例。これ、個人アカウントからではなくて、塩谷さんの公式LINE@からのメッセージですよ!まるで知り合いから送られてきたかのようなメッセージ。なおかつ疑問形だから、この続きが気になって思わずクリックしてしまいます。

 

④Instagram編

 

Instagramの活用法では、特別ゲストとして ”ゆうこす” こと菅本裕子さん( @yukos_kawaii )が登場!

 

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※『「伝えたい」ものを「届けたい」ところへ。“無人島でお祭り”にならないWebコンテンツづくり - 朝日新聞デジタル&M』より、スクリーンショット  

 

Instagramはリツイート機能がなく、拡散できないと思われ、情報を届けるという意味だと敬遠されがちです。ただ、自分のアカウントの魅力を磨いて、フォロワーを集められれば、自分が情報を届けたい層に一番にアプローチできるメディアだと、ゆうこすさんは言います。

 

そのためには、テーマを絞り、アカウントに統一感をだし、自分のフォローの方々に有益になる情報を届けるのが重要になります。ゆうこすさんの場合だと、「モテるようになる」を軸に、全ての投稿はコスメとファッションを紐づけるようにしているそうです。

 

また、アカウントへのフォロワーを増やすためには、#タグとトレンドを抑えながら、人気投稿の上位9個に入ることを意識しているとのこと。

 

他にも、ゆうこす先生からは、こんなアドバイスをいただきました。

 

  • #タグを無駄につけすぎると、人気投稿に上がってくる率が下がっていく。なので、#タグで文章をつくることは、検索にもきかないし、やめたほうが良い。
  • 『#ootd』や『#fashion』などの皆が使う#タグも、人気投稿の入れ替わりが激しく、競争率が高いので、入れないほうが良い。
  • 例えば、人気カフェのフラペチーノがトレンドになっていて、人気投稿の9個全部が緑色のドリンクだったら、自分はオレンジでやってみようとか、フラペチーノの持ち方を他の人と変えてみようとか、工夫することが大事。

 

読み手の記憶に残る、Webコンテンツの『作り方』

 

そして、ブランドの想いを伝えるために一番の核となるWebコンテンツの『作り方』へ。

 

1. 届けたい相手に興味を持ってもらえるタイトルをつくる

 

記事タイトルが大事という話は、よく聞くことですが、「ここまで考え抜いたうえで、タイトルを決めているんだ…!」と驚いたのがタイトルのつけ方。セミナーで紹介されていた事例を幾つか紹介します。

 

■事例1:

『女子高生も、芸能人も、起業家も、みんなが彼女の噂をする。菅本裕子 23歳』

 

バズりにバズったmilieuのゆうこすさんの記事です。既存のゆうこすファンに、ゆうこすの新しい一面を見せつつ、ゆうこすをまだ知らない層にも、ゆうこすの存在や魅力を伝えたい。そんな想いから、女子高生にも、ビジネスマン層にも、全方位的に読まれるように、この記事タイトルにしたそうです。納得…。

 

■事例2:

『美大を卒業して、制作会社で働くか、メーカーのインハウスデザイナーになるか、それともフリーランスになるか?』

 

こちらは『THE BAKE MAGAIZNE』の記事で、「BAKEで働きたい」というデザイナーからの応募を集めることが目的でした。普通であれば、『BAKEで働くアートディレクター長沼さんにインタビュー!』みたいなタイトルが多いと思いますが、このタイトルにすることで、美大生や美大卒業生に「あっ、この記事は、自分のためのものかも…」と興味をもっていただけるようになります。

 

このように、「誰に読んでもらいたいのか?」ということを考え、その方々に自分ごと化していただけるタイトルにすることが大切なんですね。

 

2. 読み手の感情に寄り添う

 

こちらでは、読み手の方が、どんなシーンで、どんな気持ちで読んでいるのかを想像すること。また、読み手を置いてけぼりにせず、読み手からの共感を積み重ねていくことの重要性を教わりました。

 

■事例1:

『寒くなってきたら、あたたかい場所へ。まるで楽園のような、沖縄・7つの島をめぐる7日の旅。』

 

旅行上手な人は、計画上手だ。

 

「旅に行くまでの準備が好き!」という人も多いが、計画下手な私の目には、ガイドブックやInstagramを駆使してきちんと旅の予定を立てられる人が、まぶしく映って仕方がない。

 

土曜日の昼過ぎに目が覚めて「あぁ、この週末、何しよう……」と布団にくるまってスマホをボーっと見ている自分がいる一方で、昨日まで一緒に働いていたのに、今は真っ青な沖縄のビーチでのんびりしている友人をInstagramで発見する。

 

3連休でもないのに、なんてフットワークの軽さだろう。

 

大抵の人は、旅行系のおでかけ記事を読むシーンとして、自宅のベットの中でゴロゴロしながら何気なく見ること人が大半のはず。にも関わらず、お出かけ記事では、「今回は、××にいってきました!イェイ!」みたいなハイテンションな入りかたの記事が一般的に多い。これでは、読んでいる人と、記事のテンションに差がありすぎて、記事を閉じてしまうのではないか?

 

このような仮説から、塩谷さんは読み手の気持ちに寄り添い、上記の書き出しにして、読み手からの共感を得ることに注力したとのことです。まさに、読み手の感情に寄り添っている記事だと感心しました。

 

■事例2:

『女子高生も、芸能人も、起業家も、みんなが彼女の噂をする。菅本裕子 23歳』

 

「ゆうこすに憧れるけど、徹夜して頑張ったり、Youtubeを自ら編集したり、私にはとてもそこまではできない…。」

 

こんな想いをもっている女子高生のファンが沢山いるのではないかと思った塩谷さんは、ファンの女の子達の気持ちを察して、こんな文章を記事の締めくくりに載せています。

 

「ゆうこすみたいになりたい!」という夢を持っている子がいたら、それはなかなか叶わぬ夢かもしれない。だって、彼女は破天荒で、スーパーポジティブ。ただ、あきちゃん曰く、それが「裕子らしい」姿なのだ。

 

本来の自分らしい姿のまま、SNSを乗りこなしている。だから彼女の投稿には人を動かせるほどのパワーがあるし、多くの人が魅了されてしまうんだろう。

 

これからの時代を象徴していくのは、誰かの意図でその役を演じている人よりも、しっかり自分の魅力を理解している人だ。「何者かになりたい」という答えは、意外と自分の中にもう、備わっていたりするものだ。

 

なんだか、とても心が軽くなるというか、救われるような文章ですよね。憧れの対象であるゆうこすを無理に演じるのでなく、自分の魅力と向き合い、それを自分らしく発信していけば良い。それが、回りまわって、ゆうこすのような存在になる道なのかもしれない。僕は、こんな風に解釈をしたのですが、きっと、この最後の締めに救われたファンの子は結構多いのではないでしょうか。こちらも、「読み手の感情に寄り添うとは、こういうことか…」とシビれてしまった事例でした。

  

3. Web記事を作成する際のチェックリスト

 

まとめメモとして、以下のことをお話されていた塩谷さん。

 

◎基本編:

  • 読んでもらえるかどうかは、タイトルとアイキャッチが命
  • 前提条件や専門知識がなくても、すんなり入れる
  • 書き手の顔が見える
  • タイトル、サブタイトルがしっかりついている
  • 画像は横イチで統一されている
  • スマホでの可読性が高い
  • 読み終わった最後には、次の記事への導線がある
  • 「役に立つ」「面白い」「感動する」のどれか

 

◎オプション編:

  • 話したことをそのまま書くのはよくない
  • ひとりのインタビューだけじゃなくてもいい
  • 丁寧な記事が良い記事とは限らない
  • 女子の写真はかわいく加工!!!

 

どれも大切なことばかりと思ったのですが、特に印象に残ったのが、『前提条件や専門知識がなくても、すんなり入れる』です。なんと、塩谷さんは、このために、原稿をお母さんに最終チェックしてもらっているそうです!「感情移入しすぎてて、ウザい」とか、言われることもあるそうです(笑)。でも、専門外の方々に、想いや魅力を伝えたいという時には、この視点はとても大切ですよね。僕もオカンチェック的な何かを取り入れていきたいと思いました。

 

周りに流されない、強いコアを持つこと

 

「流行りのトレンドにのって、人気のあるインフルエンサーを起用して、バズりそうなネタを使って…みたいなことは、どのメディアもやるので、そういうことばかりしていると、どこにでもあるメディアになってしまいます。

 

そのため、『どういうメディアであるべきか?』というコアを考えて、『例え、反応は悪くても、この企画をやり続けるべき』という軸を考えていくことが大切だと思います。」

 

イベントの締めくくりとして、このように話されていた塩谷さん。そして、コアは、自分が本能的に『やりたい』と思えることを中心に考えるべきだと。

 

塩谷さんの場合、ストレスフルな状況であることが嫌で、milieuの記事で、このように述べられています。

 

私は、自分より才能ある人が、スクールカーストや、大きな組織の影響力に、かき消されてしまうのが心底耐えられません。その社会の圧力は、豊かな才能や、育まれていたはずの文化を、踏み潰してしまうからです。

 

それが嫌だから。そして、生まれたばかりの傑作を誰よりもはやく楽しみたいから、18歳のとき、私はクリエイティブの価値を高めるような仕事に就きたいと願いました。 

 ※『記事広告を減らすこと。収益の仕組みを変えること。そして海外発信。2018年、私の目標 | milieu』から引用 

 

そのためにも、例え大きなPVが得られる可能性は低くても、この企画はやるべきだと自分が思うものは、やりきるべきだと言います。

 

「私は自分自身の事は、『中継ぎメディア』だと思っていて、自分一人のチカラだけで多くの人を動かすことは出来なくても良いと思っています。

 

milieuの記事は長いし、内容もこじれているところもあります。1分で爆笑みたいな記事ではないので、読む人の層は相当限られてきます。だけど、私はそれで良いと思っています。

 

ありがたいことに、milieuはテレビ局のディレクターさんや、大きな出版社の編集者の方に多く読まれています。彼らに熱を伝えることで、そこから大きく広がるかもしれないわけです。」

 

この話を聞いた時には、正直、震えました。自分が応援したい対象が、最終的にどうなってほしいのかを見据え、自分のメディアとしての役割がどうあるべきかを、ここまで考え抜いている人は、そうはいないんじゃないでしょうか。

 

メディアをやっていると、「自分たちのメディアのPVが、どれだけ伸びたのか?」とか、「手がけた記事がSNS上で、どれだけシェアされたのか?」といった点に目がいきがちになりますよね。だけども、「自分たちは、そもそも、なんのためにメディアをやっているのか?」というコアを絶対に忘れてはいけないし、そこを磨き続けていかなければいけないと身が引き締まりました…!

 

 

ということで、塩谷さん登壇のイベント「いま求められるwebコンテンツの作り方と届け方」から、僕が学んだことを共有させていただきましたが、いかがでしたでしょうか?

 

やっぱり塩谷さんのテクニカルな技術は超絶スゴいです!スゴいんですが、僕が一番印象に残ったのは、自分が取材した企業や人物の魅力や想いを多くの方に届けようという塩谷さんの熱量でした。だからこそ、作り方や、届け方の技術が創意工夫により育っていくのだと。ゲストで登場したゆうこすさんも同じです。

 

塩谷流テクニックは活用させていただきつつ、自分のコアを磨き、伝え手として成長していきたいと心に誓った次第です。企業の "想い" を届けることに苦心されている皆さん。良き伝え手になれるように、ともに頑張っていきましょう!

 

 

★ちなみに、この素敵なイベントを主催して頂いた朝日新聞デジタルのWebマガジン『&M』さんが、公式レポートを掲載してくれています。しかも、動画つき! この記事で共有できていない内容も掲載されていますので、是非、チェックしてみてください!

 

★この記事を作成するにあたって、参考にさせていただいたブログ記事はこちら。こちらも、併せてどうぞ!


★最後まで、お読みいただき、ありがとうございました!書き手の井手です。Twitterでも、企業の "ファンづくり" に関するツイートなどをしていますので、よかったらフォローいただけると嬉しいです!