感動するマーケティング

「しくじり」から学ぶ、コミュニティを成功に導く4つの絶対条件【コミュニティ・マーケティングの作法 #01】

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こんにちは!SNS×コミュニティ×PRを通じて、様々な企業・団体の『ファンづくり支援』に日々奮闘しております「沸騰ナビゲーター」こと井手 ( @kei4ide ) です。

 

全世界で今や月間アクティブ利用者数が20億人を超えたFacebook。そのFacebookが今年の6月にこれまで掲げてきた「世界をオープンにし、つなぐ」から、「人々にコミュニティ構築の力を提供し、世界のつながりを密にする」という新しいミッションに変更したことをご存知の方も多いと思います。

toyokeizai.net

 

現在、改めて『コミュニティ』がもたらす可能性に対する関心や期待が、様々な分野で膨らんでいることを沸々と感じています。

 

ただ、常々、思うことは、「盛り上がっているコミュニティ、盛り上がらないコミュニティの違いってなんだろう?」ということです。要は、コミュニティメンバーがアクティブに活動し、メンバーがメンバーを呼び込み、コミュニティ外にも強い影響力を持ち始めるコミュニティを創るための秘訣とはなんなのか?ということです。

 

残念ながら、「コミュニティを立ち上げたんだけど、メンバーが全然行動してくれない…」とか、「メンバーのモチベーションをキープさせるのが大変すぎて、運営が大変…」みたいな悲嘆の声をコミュニティマネージャーさんから聞くことが多々あります。

 

そこで、上記のようなコミュニティの「しくじり事例」を沢山見たり聞いてきた経験と、成功事例と呼べるコミュニティを見比べた際に、以下の4つのポイントを成り立たせることが、コミュニティを成功させる条件だと確信するに至りました。

  1. コミュニティ・ミッションへの強い共感
  2. コミュニティマネージャーの『愛され力』
  3. コミュニティリーダーの育成
  4. コミュニティのPR

 

今後、多くの人がコミュニティに取り組む際にしくじらないように、今回は、コミュニティを成功に導く4つの絶対条件をご紹介していきたいと思います。

 

条件その①:コミュニティ・ミッションへの強い共感

まず、何よりもこれです!ミッションへの強い共感。「強い」というところが最大のポイントです。

 

現在を生きる僕たち、特に都市に住んでいる人にとって、一番貴重なものは何か?

 

それは圧倒的に『時間』です。みんな、お金はあるのに、時間貧乏に悩んでいます。「時短」といった言葉がトレンドになるように、ほとんどの人が、1日が24時間では足りないくらいに多忙です。

 

そんな暮らしの中で、コミュニティ活動に時間を割いて、自主的な行動を求めるには、それなりの強いモチベーションが必要になるわけです。このことを念頭にコミュニティを立ち上げなければいけません。

 

じゃあ、強いモチベーションを生む源泉は何かと考えると、僕は『貢献する・応援する』というのが一番強いモチベーションになるのではないかと考えています。自分のために何かをすることより、自分が所属しているチームや組織や社会のために貢献したい。もしくは、自分と近い価値観や悩み、夢を持っている人を応援したいという欲求です。貢献や応援を通じた社会貢献とか、絆づくりと言い換えてもいいです。

 

例えば、自分のための、語学の勉強とか、ダイエットとかは、大事なのはわかっているのに、なかなか続かない。だけど、家族や友人のお祝いごとや、好きなスポーツチームやアイドルの応援には、忙しい中でも時間は割くし、出来る限りの最大限のパフォーマンスを尽くしちゃう。こういう経験って、結構多いんじゃないでしょうか。ヒトが何かに夢中になって、想像以上のアウトプットを出す瞬間って、自分のためにではなく、誰かのためにっていう瞬間なんだと思うんですね。

 

つまり、「コミュニティに入ることが自分のためになる」という文脈ではなく、「コミュニティに入ることで、何かに貢献できたり、応援できる」という文脈でコミュニティの価値を訴求したほうが、ヒトを惹きつけるのではないかと思っているんです。「こういう社会をつくりたい。こういう人を増やしたい。こういうカルチャーを広めたい。だから、応援してほしい」といったミッションをたてるということです。

 

そして、そのミッションに対して強い共感を生むためには、ミッションの内容自体も、もちろん大切ですが、コミュニティを運営する主催者側の本気度が伝わらないといけません。「○○で優勝したいので応援してください!」というスポーツチームが、普段から全く練習してなかったり、その熱量を応援してほしい人達に届けていないのであれば、応援する気力はわかないですよね。それと同じです。

 

つまり、『応援したくなるミッション』×『コミュニティ主催者の強い熱量』=『コミュニティ・ミッションへの強い共感』ということですね。この「コミュニティ・ミッションへの強い共感」を創出することは、コミュニティの成功において、絶対条件の中の絶対条件だと思います。

 

条件その②:コミュニティマネージャーの”愛され力” 

次に、コミュニティのファシリテーターとなるコミュニティマネージャーについてです。当たり前ですが、コミュニティマネージャーの役割は非常に大切です。

 

企業やお店の掲げるミッションやイメージに惹かれて、社員やアルバイトとして中に入ってみたら、上長や先輩、職場のメンバーとの人間関係が上手くいかずに退職してしまった。こういう話って、よく聞きますよね。これはコミュニティにも言えることです。

 

つまり、コミュニティ内の雰囲気や人間関係を良好に保ったり、コミュニティ内を心理的に安心・安全な場所だと思っていただくことが必要になるわけですが、そのために重要なのは、きめ細かに作成したコミュニティのガイドラインや規約などではなく、コミュニティマネージャーの『愛され力』なのです(もちろん、ガイドラインや規約をつくることも大切ですよ!)。

 

SHOWROOMの前田裕二さんの著書「人生の勝算」にも書いてあるように、コミュニティマネージャーはスナックのママ状態を僕は目指すべきだと思っています。 スナックのママのように「みんなで支えてあげよう、助けてあげよう、盛り上げてあげよう」とメンバーに思ってもらえたら最高の状態です。

 

▼SHOWROOMの前田裕二さんの著書「人生の勝算」のスナックのママ論は以下のブログ記事にて掲載。よかったら、読んでみてください。

kei4ide.hatenablog.com

 

そして、『愛され力』を高めるために、必要なのが「自己開示」と「アクティブコミュニケーション」です。

 

「自己開示」というのは、自分がどういう性格だったり、どういう想いをもちながら、日々暮らしていたり、仕事をしているのかをオープンにするということです。コミュニティマネージャーの人柄や性格、価値観がよくわからないのに、話しかけたり、相談したり、一緒にコミュニティ活動するのって、参加者側からするとハードルが高いんですよね。ちょっと気恥ずかしいかもしれませんが、コミュニティマネージャーを務める人は、積極的に自己開示をしていってほしいと思っています。

 

また、「アクティブコミュニケーション」というのは、コミュニティメンバーの活動や発言に対して、積極的にコミュニケーションを取りに行くということです。例えば、Facebookグループ上でのやりとりであれば、メンバーからの発言に対して積極的にコメントを返したり、メンバーが活動する際には、フォローしたり、応援したりするといったことです。メンバーの方々に「コミュニティマネージャーの○○さんは、私のことをしっかり見てくれているんだ!」と思っていただくことが重要なのです。

 

コミュニティマネージャーがお高くとまっているコミュニティは、ほとんど盛り上がっていません。コミュニティマネージャーを務める方は、是非、自分の『愛され力』をどう磨くのかを一所懸命考えてほしいと思います。

                                                                                                                    

条件その③:コミュニティリーダーの育成

まず、『コミュニティリーダー』とは、コミュニティ・ミッションのために「僕は、こういう切り口(or 役割)で、そのミッションに対して貢献します」といった具合に、自主的に活動を立ち上げ、メンバーを引っ張っていく存在のことをさします。コミュニティリーダーが増えれば増えるほど、そのコミュニティは活性化していっていると言ってよいでしょう。

 

リーダーの基準は3つで、1つは、ミッションへの強い貢献欲求があること。2つ目は行動が伴うこと。3つ目はフォロワーが生まれていることです。

  

コミュニティの立ち上げ期においては、コミュニティマネージャーがリーダーの役割を兼務することになります。まずはコミュニティマネージャーが積極的に行動して、フォロワーをつくる。しかし、いつまで経ってもマネージャー以外にリーダーが増えないコミュニティは活性化されていきませんし、コミュニティマネージャーやコミュニティ主催側の予想を超えた活動に広がっていくことはありえません。

 

そこで、コミュニティマネージャーは、リーダーを育てる活動が大切になります。リーダーになりえるメンバーを発見し、ミッションへの共感を高めるべく働きかけたり、リーダー候補のメンバーが動きやすくなるように、行動支援を行うということです。

 

だけど、リーダーになりえるヒトなんて、どうやって探せばいいのか?という疑問が残りますよね。その解決策としておススメなのが、コミュニティのオフラインイベントです。

 

まずは会う。会って、その人の抱えている潜在的な熱量やパーソナリティを見極めるという点でイベントがリーダー候補を探すのに一番向いています。もちろん、イベントの場合、お会いできる人数に限りがあるので、リーダー候補メンバーの適性がありそうなヒトを、いかに絞ってイベントにお呼びできるかが大切になります。例えば、参加募集の際に、ミッションへの共感度を測るようなアンケートをとったり、メンバー個人のSNSアカウントを覗いてみてパーソナリティを見てみるなどの工夫をするだけで、リーダー候補に出会える確率がグンとあがります。

 

ということで、コミュニティリーダーのいない初期のコミュニティにおいては、コミュニティリーダー候補を探すためにも、オフラインイベントを積極的に実行していただきたいです。コミュニティ主催者側の熱量をしっかり届けて、コミュニティミッションへの共感を高めるという意味でも、オフラインイベントはオススメです!

 

また、コミュニティリーダーが不在のまま、コミュニティの規模(参加人数)を大きくするのは絶対にやめましょう。エンジンが少ないまま、車体の規模だけ大きくしていっている車みたいなもので、絶対に破綻することが見えています。規模の拡大を急いだ結果、破たんしたコミュニティの「しくじり」事例を幾つも見てきているので、ここだけは絶対に注意していただきたいところです。

 

条件その④:コミュニティのPR

最後は、コミュニティのPRです。コミュニティが、ある程度、育ってきてからの話になるのですが、これも、非常に重要です!

 

なぜなら、コミュニティの社会的評判が高まれば、コミュニティに参加していること自体がメンバーにとって一つのステータスになるし、コミュニティへの貢献欲求が爆発的に高まるからです。世間的に無名のコミュニティと、世間的に有名で周囲から期待されているコミュニティ。どっちのほうが、頑張りたい気持ちが高まるのかというと、確実に後者ですよね。

 

コミュニティに参加している各メンバーがSNSなどで、コミュニティに関するPRをしてくれることを期待するだけでなく、コミュニティの主催者は積極的にコミュニティに関するPR活動をするべきだと僕は思っています。

 

例えば、コミュニティの掲げるミッションや、コミュニティで起こった出来事、活動の成果などを、ブログやSNSなどで発信するといった活動はもちろん、プレスリリースやニュースレターとしてメディアに送付したり、メディアリレーションズを強化するなど、いわゆる広報的な活動です。

 

現在、「コミュニティマネージャー」というと、コミュニティの中を活性化させるプロフェッショナルスキルが求められていますが、これからは、コミュニティの外にコミュニティの熱を伝えるプロフェッショナルスキルも求められるのではないかと僕は思っています。

 

最後に

ということで、コミュニティを成功させる4つの絶対条件をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?

 

  1. コミュニティ・ミッションへの強い共感
  2. コミュニティマネージャーの『愛され力』
  3. コミュニティリーダーの育成
  4. コミュニティのPR

 

これを見ていただくと分かるように、コミュニティって結構大変です…。主催者側やコミュニティマネージャーの熱量が低かったり、コミュニティにかけられる時間が少ないと絶対に成功しません。なんとなくでコミュニティを始めてしまうと、「200%しくじる」といってもいいでしょう。

 

だけど、コミュニティ活動に真剣に取り組むことで生まれるリターンは、非常に大きいし、これからもっと大きくなっていくと僕は思っています。

 

モノを消費したり、所有することの価値より、共通の価値観で通じ合える仲間と出会える楽しさとか、その仲間との楽しい時間やオモシロい活動といったことに価値を感じるヒトが確実に増えてきているので、その場所をプロデュースすることのできる『コミュニティプロデュース力』は、重要になってくると僕は確信しています。

 

コミュニティ運用においてお困りの方。コミュニティをこれから立ち上げようという方は、是非、ここに書いてある4つの条件を念頭に置いて、コミュニティに向き合っていただけると幸いです!コミュニティの可能性を追求していきましょう!