感動するマーケティング

愛されるスポンサードコンテンツをつくる!「北欧、暮らしの道具店」の広告ビジネス戦略の裏側に込められた想いとは?

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こんにちは!SNSやコミュニティなどを通じて、様々な企業・団体の『ファンづくり』に日々奮闘しております「沸騰ナビゲーター」こと井手 ( @kei4ide ) です。

 

僕が『ファンづくり』について、多くの学びをもたらしてくれる企業として常に動向を注目しているのが、「北欧、暮らしの道具店」を運営されているクラシコムさんです。

 

ご存知の方も多いと思いますが、「北欧、暮らしの道具店」は『カートボタンがついた雑誌』という考え方のもと、ECショップでありながら、月間で約1,600万PV、約150万の訪問者(ユニークユーザー)を集めるライフスタイルメディアとして成長しています。

 

そして驚くべき点は、その愛されっぷり…!全体の訪問者のうち約70%の方が、毎日「北欧、暮らしの道具店」のWebサイトに訪問していただいているとのことです。様々なメディアやエンタメコンテンツが溢れる現在、ほとんどの企業が自社のオウンドメディアへの集客に苦労をしているなか、この数字はスゴイですよね…。お客様の日常の中に溶け込んでいる存在になっているわけです。

 

そんな「北欧、暮らしの道具店」ですが、2015年7月から「BRAND NOTE PROGRAM」という名前で、他の企業のマーケティングをお手伝いする広告事業をスタートされました。

 

「大企業が広告主と称してメディアに介入してくることで、これまでに築き上げてきた世界観が崩れてしまったり、それによってファン離れが起きないだろうか…?」

 

そんな疑問をもっていたのですが、先日、『クラシコムサロン vol 3.0 |「北欧、暮らしの道具店」広告ビジネス戦略の裏側』というイベントで、広告事業を開始された背景や、広告事業に込めていている狙いや想いについて話を聞く機会があり、疑問に対する回答を見つけることができました。

 

結論から言うと、広告事業をはじめたことで、「北欧、暮らしの道具店」の世界観や、ファンとのつながりは弱まるどころか、むしろ強くなっているように感じました!そのポイントは、クライアント企業を『広告主』と捉えるのではなく、「北欧、暮らしの道具店」の『コミュニティの仲間』として迎え入れるということです。

 

メディア関係者はもちろん、従来の広告手法に限界を感じているマーケターの方にも、クラシコムさんの取り組みや考え方は学ぶべきところが非常に多いと思いますので、『クラシコムサロン』で話されていたことや、学んだことをブログにまとめてみました。ご覧いただけると幸いです!  

 

★『クラシコムサロン』にご登壇いただいたのは、クラシコム代表の青木さんと、事業開発グループ マネージャーであり、『BRAND NOTE PROGRAM』のご担当である高山さんのお2人。(モデレーターはクラシコムの筒井さんが務められました!)

 

「北欧、暮らしの道具店」の数値状況

まずイベントの冒頭では、「北欧、暮らしの道具店」の現状について、共有がありました。

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まず、『カートボタンがついた雑誌』という考え方が素敵ですよね!

そして、気になる売上規模ですが…、現在は約20億円が年間売上高とのことです。

現在、クラシコムは全体で40名程度の社員で、そのうちコンテンツを作っているスタッフはエディトリアルのチームメンバーだけでなく、MDやコミュニケーションのメンバーも仕事の半分くらいはコンテンツに時間を割いているそうで、イメージ的には20名くらいのメンバーで行っているそうです。

 

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 現在、上のスライドのように大量のコンテンツを「北欧、暮らしの道具店」では発信しています…。すごい、量ですね…。そして、このボリュームの9割は社内のメンバーで内製しているそうです。

 

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 アクセス状況やSNSアカウントのフォロワー状況はコチラです。サイト訪問頻度がスゴいですよね。毎日Webサイトに訪問している方が72%という驚異的な数字がでています。

また、SNSアカウントだとInstagramのフォロワー数に目がいってしまうのですが、青木さん曰く、LINE@からの流入が今は熱いそうです。

 

そんな多くのファンを抱える「北欧、暮らしの道具店」ですが、Webサイトに訪問した人の中で、実際に商品をご購買いただく人のパーセンテージってどれぐらいだと思いますか?

 

なんと0.4%だそうです!

 

つまり1000人のヒトがWebサイトに訪問したら、4人しか買わないわけです。それ以外の996人はモノを買いに来るというより、遊びに来ていただいている感じだと青木さんは言います。毎日遊びに来る人が増えるなかで、結果、売上も増えている状態とのことです。

 

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そして、イベントの本題である「BRAND NOTE PROGRAM」についてです。

こちらのサービスは2015年7月から開始されましたが、現在までに32社・46ブランド・144本のコンテンツを企画・制作・配信してきたとのことです。

約20億の年間売上高のうち、広告事業だけで1~2億程度の売上高を占めているそうです。また利益率の面からみると、営業利益の2割程度は広告事業からの利益が占めているそうで、収益性の良い事業になっているとのことです。

 

広告事業を始めたキッカケとは?

「『北欧、暮らしの道具店』は、1,000人の訪問者がきたら、4人しか買わないというECショップ。であれば、残りの996人の訪問に対して、何かマネタイズできる手段はないのだろうか?」。その問いに対する答えとして広告事業は以前から挑戦したい事業だったと青木さんは言います。

 

2011年に、それまで全体売上の15%程度をつぎ込んでいた広告予算を、売上の2%程度まで減らし、その分の予算をコンテンツ制作費にまわすことで、メディアとしての価値を高めていくと決断をした時から、広告事業は頭にあったそうです。

 

そして、Webサイトの月間PVが1,000万PV到達というのが広告事業を始める一つの目安だったそうです。「BRAND NOTE PROGRAM」を開始した2015年7月には、『北欧、暮らしの道具店』は月間1,000万PVという数値がだせる状態まで成長していました。

 

そして、広告事業をはじめると決心してからは、青木さんは入社したての高山さんと一緒に、広告ビジネスについて理解を深めるために、広告に詳しい方々や、自分たちの広告主になりそうな企業の方々に対して、ひたすら会いに行ったそうです。約3か月間、一日3件くらいのアポを入れて回っていたそうなんですね。スゴい、バイタリティです…!その結果、3か月目に青木さんは体調を崩されたそうです(笑)

 

「広告主の方々が、何に困っているのか? どうなると、嬉しいのか? 損か得かでいうと『得』なんだけど、嬉しくないことは何なのか? 損か得かでいうと『損』なんだけど、嬉しいことは何なのか?」。つまるところ、広告主側のインサイトみたいものが、この活動を行うことで見えてきたと青木さんは言います。また、社内のリソース状況を鑑みたうえで、「ここはできるけど、ここはできないし」といったサービスの選択肢も絞ることができたそうです。

 

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※クラシコムサロンでは、登壇された3人が終始カジュアルな雰囲気でお話しされていました!

 

広告の価格とサービスを決めた背景とは?

 また、様々な方と会いに行く中で、青木さんが印象として強く残っているのが、広告会社の方からの下の問いだったそうです。

 

「TVのCMは、なんであんなに値段が高いのか分かりますか?」

 

その答えは、TV放送局は免許事業でプレイヤーが増えない前提があり、さらに一日24時間という放送時間の制約もあるため、広告の枠が有限だから価格が高くなるということでした。つまり、需要と供給の問題で、需要が高まっても供給に限界があるので、価格を高く設定しても、売れるということですね。

 

一方、Webメディアの場合、インターネットの特性上、広告枠を増やすことは可能ですが、それをやると需要と供給の関係で、価格も低減してしまうので、「北欧、暮らしの道具店」で広告事業をするのであれば、TVCM的なサービスをつくることを目指したほうが良いと指摘をされたそうです。

 

ECの物販事業の利益が持続的に出続けている状況にまで成長していることもあり、まずは、「広告主の企業にとっても、『北欧、暮らしの道具店』のファンの方にとっても、喜ばれるプレミアムなコンテンツをやろう。値段が高くても、単価に見合うサービスを、少なく提供することから始めよう」という方針が決まったそうです。

 

そして、当時、日本で一番高い価格設定のWeb記事広告が1企画あたり200万円くらいだったそうで、「その1.5倍の金額でも売れる価値のあるものをつくりたい」ということで、「BRAND NOTE PROGRAM」は300万円という値段設定にしたとのことです。

 

「300万円の価値に見合う、僕らが提供できる広告とは、どんなものなんだろう?」というのが最初の問いになったと青木さんは言います。

 

結果、広告主の企業様の商品の魅力に光を当てるコンテンツ記事を前後編の2本セットで制作・配信する「BRAND NOTE」が誕生するわけですが、企画から制作まで相当な時間と手間暇がかかるため、開始当時は月に1企業様の依頼しかお受けしていなかったそうです(現在は、月に4企業様程度の依頼を受けることが可能になったとのこと)。

 

▼記念すべき「BRAND NOTE」の第一号がコチラ。「北欧、暮らしの道具店」のスタッフの皆さんの、無印良品への愛が溢れかえった記事になっています!

 

社内スタッフの広告事業への理解を得るために

今でこそ、「北欧、暮らしの道具店」の中で、「BRAND NOTE PROGRAM」はスタッフの皆さんに価値ある取り組みとして理解されていますが、立ち上げ当初は、社内から、広告事業を実施する事に対して、大きな不安があったそうです

 

「広告主の企業の意向が『北欧、暮らしの道具店』に入ってきてしまうのはではないか?」

「広告的なコンテンツを掲載することで、読者から嫌われてしまわないだろうか?」

 

こういった不安の種に対して、青木さんや『北欧、暮らしの道具店』の店長の佐藤さんがスタッフの方々に丁寧に広告事業を取り組む価値を伝えてくれたのが大きかったと高山さんは言います。

 

青木さん達が、広告事業に取り組む価値を社内に伝える際に、特に意識してお話しされたポイントは『収益性』ということについてです。

 

「Webメディアの品質問題が昨今取りざたされている訳ですが、その構造の根本にあるのは、収益性の問題だと思っています。紙の雑誌が素晴らしいクリエイティビティを発揮できたのは、ビジネスとしての収益性の高さが、コンテンツに対して多くのコストや時間をかけることができたからです。つまり、『収益性』と『メディアの品質』は、密接に関わっていることが明らかなわけです」と青木さん。

 

「例えば、Webメディアを運用系の広告だけでマネタイズしようとすると、1PVあたりの利益を0.5円に高めるのは非常に難しいです。仮に月間1,000万PVがあったとしても、月間500万円の売上をたてるのは難しい。だけど、『北欧、暮らしの道具店』の場合、月間1,600万PVの現状で、年間2億くらいの広告売上を稼げています。つまり、1PVあたり1円以上の収益が稼げていて、PVあたりの収益性が高まっているんです」

 

※ちなみに、青木さんから後から聞いたお話ですが、現状、ECの物販の限界利益が1PVあたり5円ほどとのことで、それを広告の売り上げと合算すると1PVあたり6円以上の広告売上を上げているのに等しい収益性だそうです。 こうしてみると、『北欧、暮らしの道具店』をメディアとしてとらえた場合、とんでもなく収益性の高いメディアであることがわかりますね…。

 

「そして、収益性が高まったことにより、コンテンツ制作に関わるスタッフを社員として雇用して、質の高いコンテンツが提供できる体制がつくれるし、コンテンツ制作を外部のフリーランスの方に依頼する場合でも、相当のレベルがある方々に、その方々が他からもらっているよりも高い金額でお願いすることができる。そうすることで、メディアの品質が良くなっていく。そのために、広告事業をやっていくことが重要となると思っています」

 

▼「BRAND NOTE」を開始する際に、広告事業を始める背景などをお客様に伝えるために書かれた記事がこちら。この記事の中でも『収益性』について言及されていますね。

 

世界観を損なわずに、広告事業を推進するために

そして、「『北欧、暮らしの道具店』の世界観を損なわずに、どのように広告主企業からの依頼に対応していくのか?」という話に移っていきます。

 

「そもそも、『北欧、暮らしの道具店』の創業当初は、北欧のヴィンテージ食器を取り扱っていた専門店で、中古品だけを取り扱っていました。そこからヴィンテージと一緒に北欧の新しいものを売っていくなかで、北欧と関係ない、僕らが好きなモノを売るようになりました。オリジナル商品をつくったり、アパレルをやったり、お菓子を売ったり、つくった食べ物を売ったり。そういった具合に、『1年半に1回、業態を変えてきているのではないか?』と思うくらい商売の中身をどんどん変えてきています」

 

「正直、ヴィンテージ商品のような中古品だけでなく、新品の商品を売りだすときは、なかなかのジャンプでした。古き良きものを求めているお客様に、今作られているものを売るという事なので、お店の世界観が壊れてしまうのではないかと周囲から懸念されました。」

 

「その時に、お客様に私たちの考えを理解していただくために、『いま、ほしいもの』というコピーを作りました。『いつ、作られたか?』が重要ではなくて、『いま、ほしいもの』を提供していきたいと。『いま、ほしいもの』に関しては、古いものもあれば、新しいモノもありますよねと。これからは『いま、ほしいもの』をご紹介しますというようなことをお客様に丁寧にご説明しました。」

 

▼「いま、ほしいもの」にコピーを変更した際の背景などが語られている投稿がこちら。本当に丁寧に、丁寧に想いを届けようとしている姿勢が伝わってきます…!

 

「このような流れの中で、『北欧、暮らしの道具店』の世界観を醸成するにあたり、何かに一貫性を置こうとした時に、『何を売るか?』という売り物に一貫性を求めるとしたら、市場の変化だとか、成長の機会に柔軟に対応することが非常に難しいと思ったんですね。そこで、何に一感性を求めているかと言ったら、誰が売るかとか、誰が好きなモノだとか、誰が選んでいるかみたいな、”売り手”に一貫性の軸足を置くしかないなと思いました

 

これまでも、我々が好きなものだとか、おススメしたいものを『北欧、暮らしの道具店』という場所を通して、お客様に提供してきたので、その紹介したい対象が広告主の商品になったとしても基本的なスタンスは変わらないんです

 

「BRAND NOTE」の記事コンテンツの文末には、記事をお読みいただいたお客様へのWebアンケートがセットで掲載されていて、「今回の連載を読んで、参考になった点やご感想などありましたらぜひお聞かせください。」という設問のフリーアンサーで記入する欄があるのですが、毎回、数百件のコメントが届くとのことです。

 

そのコメントの内容を毎回読んでいるそうですが、ネガティブなコメントが、ほとんどなく、むしろ、「BRAND NOTEを毎回楽しみにしています」といったコメントが多いようで、自分たちのスタンスを崩さずに実施することで「お客様からも喜ばれている」と実感することができているそうです。

 

『BRAND NOTE PROGRAM』に込めている想い

「BRAND NOTE PROGRAM」を行う中で、特に意識していることについて、会場にいらっしゃった「北欧、暮らしの道具店」の佐藤店長からもお話を伺うことができました。

 

「 『北欧、暮らしの道具店』で提供している読み物全体をディレクションしていくにあたり、『これは広告だから』とか、『これは広告じゃないから』といった風に、線を持って接することはできるだけ避けるようにしています

 

「私達が目指していることは、『自分らしく、よりよく生きたい』と思っている方が、私達の読み物を読んでいただいた時に、『いい時間をありがとう』と思ってくれるような、どこかで『ありがとう』と言っていただける読み物づくりを目指していきたいと思っています」

 

「そのため、広告主企業の取材対象者さんをはじめ、タイアップ企画で出演いただく料理家さん、エッセイストさんには、『北欧らしい人選だな』と思われるような方にオファーを出すことはすごく意識しています。また、写真の創りだす世界観・空気感は、ものすごくあるので、写真のテイストが他の読み物コンテンツと広告で全く違わないようにするために、日ごろ、他のコンテンツでご一緒させていただているカメラマンさんにお願いするようにしています」

 

広告であろうが、通常の読み物コンテンツであろうが、編集チームをわけずに、同じスタンスで行うのが大切ということですね。また、『ありがとう』と言っていただける読み物づくりを目指すという姿勢が、とても素敵だと思いました。

 

また、『北欧、暮らしの道具店』では 、「『BRAND NOTE』の記事が、全ての読み物の中で一番おもしろくなるようにしよう」ということが合言葉になっているそうです。

 

お金を稼ぐためにというスタンスではなく、「これが一番コストがかけられるから、一番おもしろくなるはずだよね」というマインドセットでスタッフが臨めるように、青木さん達経営側では、通常の記事コンテンツと比べて、倍くらいの時間をスタッフに与えるし、コストも多く使えるような状態を意識的に作っているとのことです。そういう意味でも、「『BRAND NOTE』の記事があるから、『北欧、暮らしの道具店』がもっとよくなった」という状況をどうつくれるかが重要だと青木さんは言います。

 

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※懇親会用に料理や飲み物を用意しているカウンターの中からお話しいただく佐藤店長!

 

広告商品の魅力を伝えるために意識していること

そして、広告主企業のブランドの魅力をお客さんに伝える(届ける)ために意識していることは何かという話へ。 

 

「伝わる、伝わらない、ということでいうと、そもそも、人は関係性のない人の話は聞かないという、ごく当たり前の常識があると思います。だから聞いていただくためには、まず関係性をつくることが大切」と青木さんは言います。

 

例えば、突然街でナンパされるのと、日ごろ仕事で関係値ができていて、「この人の仕事の仕方って素敵だな」と思われている人と、単純にどちらに食事に誘われた時のほうが食事にいきたくなるかといえば、当然、後者ですよね?

 

なので、正しい問いとしては、「『どうやったら、お客さんに伝えるか?』という問いではなくて、『どうやって、関係性をつくるのか?』という問いを立てることが重要」と青木さんは言います。いったん関係性が出来てしまえば、色んな話ができるようになります。深い話から、くだらない話まで。

 

そこで、「北欧、暮らしの道具店」が広告を出す企業様に提案することとして、企業の中の人に記事に登場していただく相談をすることが多いそうです。なぜかというと、広告主企業のブランド担当者や開発担当者は、実は「北欧、暮らしの道具店」のお客様と、ほとんど同じ属性の方が非常に多いからだそうです。お子さんがいらっしゃる30代半ばの女性だったり、同じような問題意識を持っていたり、自分と変わらない価値観をもっていたり。「自分と変わらない人が企業の中にいると伝わるだけでも、話を聞こうという意識は全然変わってくる」と青木さんは言います。

 

このように、「お客様と関係値を作っていきましょう」と広告主企業へ伝えるため、ほとんどの広告主企業は一回で「BRAND NOTE PROGRAM」が終わることは少なくて、継続的に実施していただくことが多いそうです。

 

広告営業を行う際に大切にしているコンセプト

そして、質疑応答では、「BRAND NOTE PROGRAM」の価値を広告主に伝えていくことの重要性を高山さんからお話しいただきました。

 

「BRAND NOTE PROGRAM」は一見して見ると弱みに目がいってしまうとのことです。例えば、案件を受注してからコンテンツ記事の配信まで2カ月以上はかかってしまう。「北欧、暮らしの道具店」から広告主企業へのリクエストも多い。しかも、金額も高い。

 

だけど、弱みは強みでもあって、こういう要素があるからこそ、良いコンテンツも作れるし、価値もつくれるという話をするように心がけているとのことです。つまり、広告主企業に自分たちの『考え方』を認識してもらうことが大切ということですね。


そのため、枠売り営業ではなく、『仲間づくり』というコンセプトで営業活動をしているとのことです。その一環として、クラシコムサロンを開催したり、『BRAND NOTE BOOK』という冊子を作ったりと、自分たちの考え方に共感してくれる方を増やすことに注力しているとのことです。

 

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 ※『BRAND NOTE BOOK』では、クラシコムの広告主企業となるお客様に対して、これからのメディア・広告・ブランドのことについて考えを深めるための内容が盛りだくさんで掲載されています!

 

まとめ:関係者全員から愛されるスポンサードコンテンツをつくりたい

ということで、『クラシコムサロン vol 3.0 |「北欧、暮らしの道具店」広告ビジネス戦略の裏側』で、お話しされていた内容をお届けしましたが、いかがでしたでしょうか

 

僕は、「BRAND NOTE PROGRAM」というスポンサードコンテンツを通じて、「北欧、暮らしの道具店」というコミュニティに、個人の生活者だけでなく、法人としての企業も入ってきていただくための『仲間づくり』をしているのだと理解しました。

 

つまり、「北欧、暮らしの道具店」が目指して生きた『フィットする暮らし』にふさわしい仲間として、魅力ある商品をつくっている企業にコミュニティに入っていただくことで、よりビジョンに近づいているように感じたんですね。

 

「広告は嫌われもの」ということを耳にする機会が最近増えましたが、「北欧、暮らしの道具店」のように、お客様と関係性を築き、その関係性の中で、新しい仲間を紹介するような形で広告をしていけば、メディア側も、広告主も、読み手であるお客様も、全員が幸せになる形が実現するということを、今回の『クラシコムサロン』で気づくことができました。

 

メディアの収益性を高めることはもちろんですが、「メディアの品質を高めたい」、「コミュニティの世界観を高めたい」という課題を持っている方には、クラシコムさんの取り組みは非常に学ぶことが多いのではないでしょうか?

 

「広告記事が全コンテンツの中で一番楽しみ!」と読み手の方々に言われるような、愛されるスポンサードコンテンツをメディアやコミュニティで作れるように、僕も考えていきたいと思います!