感動するマーケティング

企業の "想い" を伝えたい広報・PR担当者の方へ。塩谷舞さんから学ぶ、Webコンテンツの作り方と届け方。

[]f:id:kei4ide:20180127105727p:plain

こんにちは。 SNSやWebメディア、コミュニティなどを通じて、企業やブランドの『ファンづくり』に日々奮闘しております「沸騰ナビゲーター」こと井手 ( @kei4ide ) です。

 

評価経済、応援経済、価値経済…。

 

昨年から、こんな言葉が世の中を賑わせるようになってきました。共感できる、応援したくなる、社会的な価値を感じる対象に対して、僕たちのお金や時間が費やされていくという考え方です。

 

そんな時代において、ますます企業にとって重要となるのが、企業やブランドの "想い" を届けるコミュニケーションだと思います。 

 

「商品やサービスの機能的な優位性だけでなく、その裏にある想いを、どう届けるか? しかも、その想いに共感いただけるようなカタチで…。」

 

この問いに対して、苦心している企業の広報やPR担当者の方は、多いのではないでしょうか? 僕も、その一人です。

 

そんな僕が、常に頭が下がる思いで見ているのが、「お菓子にもっと新しい価値を」を企業ミッションに掲げる『BAKE』です。

 

f:id:kei4ide:20180202213326p:plain

 ※株式会社BAKEのコーポレートサイトより、スクリーンショット

 

チーズタルトやアップルパイなどのお菓子が美味しいのはもちろん、店舗空間やパッケージなどのデザイン性、店舗スタッフの皆さんの接客も素晴らしく、僕がホームパーティー的なイベントに参加する際には、高確率でBAKEのお菓子を手土産にもっていきます。

 

そのBAKEを「良い企業」から「応援したい企業」に高めているのが、BAKEが運営しているオウンドメディア『THE BAKE MAGAZINE』だと、僕は思っています。

 

f:id:kei4ide:20180202214741p:plain

『THE BAKE MAGAZINE』より、スクリーンショット 

 

どんな経緯があってBAKEに入社し、どんな経験や苦労を重ねて、何を成したのか? もしくは、これから何を成そうとしているのか?

 

創業者の長沼さんはもちろん、新入社員の方から店舗スタッフの方まで、各スタッフのBAKEに対する純粋な想いが、確かな熱量を帯びて届くんですよね。『THE BAKE MAGAIZNE』の記事を読みだしてから、BAKEのお菓子を食べると、美味しさが倍増したように感じています。おそらく、『THE BAKE MAGAZINE』を通じて、BAKEのことを好きになったり、応援したいという気持ちをもったBAKEファンは多くいらっしゃるのではないでしょうか。

 

この『THE BAKE MAGAZINE』の編集長を務めてらっしゃるのが、現在フリーランスで執筆・司会業などを行っている塩谷舞さん( @ciotan )です。

 

f:id:kei4ide:20180202215947p:plain

※『「伝えたい」ものを「届けたい」ところへ。“無人島でお祭り”にならないWebコンテンツづくり - 朝日新聞デジタル&M』より、スクリーンショット 

 

“軽くないもの。いっときの消費で終わらないもの。相手の深い深い感情部分までドスッと落とせるようなものを、どれだけ生み出せるだろうか?そんなことを忘れないようにしなきゃって思います。”

※『もうバズらせることに疲れたよ。ネットの消化・消耗文化にガチで勝負いたします。』から引用 

 

“ひれ伏したくなるような作品が世に生まれるその瞬間に、そこにある熱量も、舞台裏も、余すところなく伝えられる記事を出していきたい。舐めるように読んで欲しいんです。”

※『メディアを始めます、だなんて聞き飽きたとは思うのですが | milieu(ミリュー)』から引用 

 

どれだけの人に届いたのかというPV数は追いかけながらも、受け手の中に確かな足跡を残すような記事やコンテンツをつくることに、命を燃やしているように見える塩谷さん。塩谷さんが個人で運用されている「milieu(ミリュー)」で掲載される記事のどれを読んでも、ほとばしる情熱が記事から伝わってきます。

 

「企業やブランドの “ファンづくり” を生業とするものとして、自分が心の底から応援したいと思える企業の背中を押すためにも、塩谷さんのような伝え手になりたい…」

 

そんな想いを日々抱いていた矢先、朝日新聞デジタルのWebマガジン『&M』が創刊5周年を記念して塩谷さんを講師に、「いま求められるwebコンテンツの作り方と届け方」というイベントを開いてくれることが決定(しかも、無料。朝日新聞さん、素敵すぎる!)。運よくチケットを獲得でき、参加することができました。

 

f:id:kei4ide:20180203011646p:plain

※Peatixのイベントページより、スクリーンショット 

 

そこで、今回の記事では、塩谷さんがイベントでお話されていた内容から、「企業やブランドの想いを届ける」といった視点で、僕が特に印象残った内容を、感想と共に共有したいと思います。

 

 

そもそも、無人島で、お祭りをしていないか?

 

「コンテンツは質が高いのに読まれなくって…」

 

出版社やWebメディアの編集をしている人から、こんな声を聞くことが多いと塩谷さんは言います。良い記事やコンテンツをつくっている自負はあるのだけど、なかなか読まれない…とか、全然PV数やSNS上でのシェアが伸びない…とか。

 

この背景には、コンテンツの質を高めることは注力しているのに、肝心のコンテンツを届けることへの努力や、コンテンツを届ける営業や配送、書店販売の方々の存在を軽視しているのではないかと塩谷さんは指摘します。

 

「チラシも作らず、狼煙もあげず、橋もなく、船も手配せずに、『コンテンツの質が高いのに読まれない』と言っているのはおかしいですよね。これでは、無人島でお祭りをやっているだけにすぎません。

  

ということで、以下の2点を考え抜くことが重要になります。

  1. 今は、興味がない人にもお祭りの存在を知らせる方法
  2. また、来たくなる満足度の高いお祭りを開催する方法

 

Webメディアに置き換えると、前者は、コンテンツや記事ページに訪れていただくための 『届け方』。後者は、記事を読んでいただいて、読者の記憶に残るためのコンテンツの『作り方』 。この2つを両立させることを、僕たちは考え続けていく必要があるわけですね。

 

f:id:kei4ide:20180204152012p:plain

 ▲頑張って本を売った営業メンバーへの感謝を忘れてしまっている編集者の例として、漫画「働きマン」の1シーンを紹介する塩谷さん。 

 

塩谷さんのポリシーとは?

 

塩谷さんが記事を作成したり、Webメディアを運営する上で、心がけているポリシーが、この4つ。

 

  1. 下品にバズらせない。
  2. 誰かを傷つけない。
  3. 高尚にならない。
  4. 結果を出す。

 

このポリシーの中で、僕が特に印象に残ったのは「誰かを傷つけない。」でした。

 

私にとっての正義は、誰かにとってはナイフかもしれない。だから私はここmilieuで何かを伝えるとき、必ずといっていいほど、自分と反対側にいる人のことを考えます。

この意見に傷つく人はいないか? 強く断言してしまうことで、苛立つ人はいないだろうか?

 ※『記事広告を減らすこと。収益の仕組みを変えること。そして海外発信。2018年、私の目標 | milieu』から引用 

 

milieuの記事の中でも、このように述べられています。上記の記事の中では、「これからは、反対意見を恐れず、もっと自分の意見を主張していこう」ということが結論として書かれているのですが、この「誰かを傷つけない。」という意識を強く持つことって、僕はすごく大切なことだと思いました。

 

『不協和音を、僕は恐れない。』

 

何かを主張したり、世の中を動かすという意味では、この精神は大切だと思います。また、誰かを叩くような記事はバズりやすい傾向にあると思います。

 

ただ、本当にそれで、届けたい相手に、届けたい想いを伝えることができるのか?

それを本気で考える必要があるということですね。

 

安易に下品なネタや、焚き付けるようなネタに走らない。また、高尚すぎて読み手がついていけない状態にもしない。それでいて、読み手に届いて、読み手の気持ちを動かす  "結果の出る" 記事をつくっていく。それが、塩谷さんのポリシーなのだと僕は理解しましたし、自分も、この4つのポリシーは心のノートに深く刻みこみたいと思います。

 

興味をもっていただくための、Webコンテンツの『届け方』

 

まずは、届いてもらわないことには始まらない。『届け方』では、やはり、SNSの活用が大切になります。その中で、特に僕の印象に残った内容を紹介します。

 

①Twitter編

 

切り口を変えて、何度かシェア

 

「多くの方に記事を読んでいただくために、少なくても3回は、それぞれ全然違う切り口でシェアします(違う層に刺さるよう…)。」

 

ここまでやっているのかぁ…と感心してしまいました(みなさん、やってますか?)。僕は1記事あたり1シ ェアで終わってしまっていました。もちろん、工夫もなくやりすぎるのは良くないと思いますが、届けるということに気合を入れねばと思いました。

 

 ▲例えば、こちらのmilieuの新着記事を紹介するツイートですが、始めのツイートへの返信という形で、文章や添付写真を変えながら合計4回ツイートされています。さすが。

 

ツイートをバズらせる7つの公式

 

Twitter上で、多くの人に興味を持っていただくためには、自分のアカウントの影響力(=フォロワー数)を 高めることが重要なのは言うまでもありませんよね。

 

そんな中、アカウントのフォロワー数が増えない、リツイートが増えない問題の原因は、既存のフォロワーにとって、発信しているツイートが以下の2点が要因だと塩谷さんは言います。

 

  1. 有益ではないから…
  2. 第三者に見せても理解されないから…

 

そのために、大切なのは発信する情報の「統一感」。同じジャンルに関する発信を繰り返すことでタイムラインに統一感を出し、「その分野に興味がある人なら誰もが知っている専門書」のような存在を目指すことを最初は目指すべきだと。

 

そして、多くの人の目を引くために塩谷さんがツイート単位で心がけることは、以下の7つとのことで、取り入れていきたいものばかりでした。

 

  1. 感嘆詞 or 強い言葉:「これ、最高すぎる!」「この店、すごい」など、感嘆詞や強い言葉をツイートの頭に置く。
  2. 専有面積:改行などを使って、ツイートの縦面積を広げる。※やりすぎは注意!
  3. 情報第三者にとって有益な情報を入れる。
  4. 感想自分がどう思ったのかの感想
  5. 写真写真を複数つかうなら3点セットがおススメ。
  6. 行動先:詳細情報のリンク先などをツイート内に置く。
  7. (インフルエンサー):可能な限り、インフルエンサーをタグづけ。

 

 ▲例えば、こちらのツイート。 感嘆詞、専有面積、情報、感想、写真(3点)、行動先と、ほぼ全てのポイントが含まれている100点満点のツイートです。結果、多くの人からファボやRTが生まれています。

 

f:id:kei4ide:20180204221250p:plain 

 ▲ツイートを編集することの重要性を語る塩谷さん。おっしゃる通りで、ツイート術を磨くことを強く決意…! 

 

②Facebook編

 

『Facebook、友人家族の投稿を増やし、ニュースや企業コンテンツを減らす方向性を発表』という記事が、先日発表されていましたが、現在、企業公式アカウントからの投稿のリーチは極端に下がっている状況です。ファン数が数万人もいるのに、投稿への平均いいね数が一桁台のFacebookページを見かけることも増えてきたように思えます。

 

そこで、Facebookで投稿するうえで、重要なことは…

 

「血の通った人間であることを執拗に伝えること」

 

要は、Facebookの友達をタグ付けしたり、同じWebサイトのURLばかりを載せるのではなく、時には動画や画像を添付したりと、血の通った人間の投稿であることをFacebookのシステムにアピールすることが大切ということですね。逆に、単一の行動ばかりしているアカウントは企業アカウントとみなされ、Facebook上でリーチを下げられるアルゴリズムが働いている気がすると塩谷さんは言います。

 

また、投稿の初めに、家族の話だとか、友人との話だとか、近況報告だとかを付けることも大切で、おばあちゃんの話のような出だしがユーザーの心に刺さりやすく、出だしを工夫することで、投稿へのエンゲージメント率が全然変わるとのこと。確かに、冒頭の一文で、広告っぽい投稿かどうかを判断することが多いので、これは徹底していきたいと思いました。

 

 

③LINE@編

 

「LINEは、もっとも距離感が近いメディア。『公式』感をゼロにすることが大切」

 

LINEは、家族や恋人など、距離感が近い人達と連絡を取る際に使うメディア。なので、そこにお邪魔する感覚が必要ということですね。

 

例えば、LINE@でメッセージを配信するときには、冒頭の数文字で興味をもっていただくことを狙いながら、人間っぽいメッセージで話かけることが大切とのこと。

 

f:id:kei4ide:20180204232435p:plain

▲事例として紹介されていた冒頭のメッセージ例。これ、個人アカウントからではなくて、塩谷さんの公式LINE@からのメッセージですよ!まるで知り合いから送られてきたかのようなメッセージ。なおかつ疑問形だから、この続きが気になって思わずクリックしてしまいます。

 

④Instagram編

 

Instagramの活用法では、特別ゲストとして ”ゆうこす” こと菅本裕子さん( @yukos_kawaii )が登場!

 

f:id:kei4ide:20180205002950p:plain

※『「伝えたい」ものを「届けたい」ところへ。“無人島でお祭り”にならないWebコンテンツづくり - 朝日新聞デジタル&M』より、スクリーンショット  

 

Instagramはリツイート機能がなく、拡散できないと思われ、情報を届けるという意味だと敬遠されがちです。ただ、自分のアカウントの魅力を磨いて、フォロワーを集められれば、自分が情報を届けたい層に一番にアプローチできるメディアだと、ゆうこすさんは言います。

 

そのためには、テーマを絞り、アカウントに統一感をだし、自分のフォローの方々に有益になる情報を届けるのが重要になります。ゆうこすさんの場合だと、「モテるようになる」を軸に、全ての投稿はコスメとファッションを紐づけるようにしているそうです。

 

また、アカウントへのフォロワーを増やすためには、#タグとトレンドを抑えながら、人気投稿の上位9個に入ることを意識しているとのこと。

 

他にも、ゆうこす先生からは、こんなアドバイスをいただきました。

 

  • #タグを無駄につけすぎると、人気投稿に上がってくる率が下がっていく。なので、#タグで文章をつくることは、検索にもきかないし、やめたほうが良い。
  • 『#ootd』や『#fashion』などの皆が使う#タグも、人気投稿の入れ替わりが激しく、競争率が高いので、入れないほうが良い。
  • 例えば、人気カフェのフラペチーノがトレンドになっていて、人気投稿の9個全部が緑色のドリンクだったら、自分はオレンジでやってみようとか、フラペチーノの持ち方を他の人と変えてみようとか、工夫することが大事。

 

読み手の記憶に残る、Webコンテンツの『作り方』

 

そして、ブランドの想いを伝えるために一番の核となるWebコンテンツの『作り方』へ。

 

1. 届けたい相手に興味を持ってもらえるタイトルをつくる

 

記事タイトルが大事という話は、よく聞くことですが、「ここまで考え抜いたうえで、タイトルを決めているんだ…!」と驚いたのがタイトルのつけ方。セミナーで紹介されていた事例を幾つか紹介します。

 

■事例1:

『女子高生も、芸能人も、起業家も、みんなが彼女の噂をする。菅本裕子 23歳』

 

バズりにバズったmilieuのゆうこすさんの記事です。既存のゆうこすファンに、ゆうこすの新しい一面を見せつつ、ゆうこすをまだ知らない層にも、ゆうこすの存在や魅力を伝えたい。そんな想いから、女子高生にも、ビジネスマン層にも、全方位的に読まれるように、この記事タイトルにしたそうです。納得…。

 

■事例2:

『美大を卒業して、制作会社で働くか、メーカーのインハウスデザイナーになるか、それともフリーランスになるか?』

 

こちらは『THE BAKE MAGAIZNE』の記事で、「BAKEで働きたい」というデザイナーからの応募を集めることが目的でした。普通であれば、『BAKEで働くアートディレクター長沼さんにインタビュー!』みたいなタイトルが多いと思いますが、このタイトルにすることで、美大生や美大卒業生に「あっ、この記事は、自分のためのものかも…」と興味をもっていただけるようになります。

 

このように、「誰に読んでもらいたいのか?」ということを考え、その方々に自分ごと化していただけるタイトルにすることが大切なんですね。

 

2. 読み手の感情に寄り添う

 

こちらでは、読み手の方が、どんなシーンで、どんな気持ちで読んでいるのかを想像すること。また、読み手を置いてけぼりにせず、読み手からの共感を積み重ねていくことの重要性を教わりました。

 

■事例1:

『寒くなってきたら、あたたかい場所へ。まるで楽園のような、沖縄・7つの島をめぐる7日の旅。』

 

旅行上手な人は、計画上手だ。

 

「旅に行くまでの準備が好き!」という人も多いが、計画下手な私の目には、ガイドブックやInstagramを駆使してきちんと旅の予定を立てられる人が、まぶしく映って仕方がない。

 

土曜日の昼過ぎに目が覚めて「あぁ、この週末、何しよう……」と布団にくるまってスマホをボーっと見ている自分がいる一方で、昨日まで一緒に働いていたのに、今は真っ青な沖縄のビーチでのんびりしている友人をInstagramで発見する。

 

3連休でもないのに、なんてフットワークの軽さだろう。

 

大抵の人は、旅行系のおでかけ記事を読むシーンとして、自宅のベットの中でゴロゴロしながら何気なく見ること人が大半のはず。にも関わらず、お出かけ記事では、「今回は、××にいってきました!イェイ!」みたいなハイテンションな入りかたの記事が一般的に多い。これでは、読んでいる人と、記事のテンションに差がありすぎて、記事を閉じてしまうのではないか?

 

このような仮説から、塩谷さんは読み手の気持ちに寄り添い、上記の書き出しにして、読み手からの共感を得ることに注力したとのことです。まさに、読み手の感情に寄り添っている記事だと感心しました。

 

■事例2:

『女子高生も、芸能人も、起業家も、みんなが彼女の噂をする。菅本裕子 23歳』

 

「ゆうこすに憧れるけど、徹夜して頑張ったり、Youtubeを自ら編集したり、私にはとてもそこまではできない…。」

 

こんな想いをもっている女子高生のファンが沢山いるのではないかと思った塩谷さんは、ファンの女の子達の気持ちを察して、こんな文章を記事の締めくくりに載せています。

 

「ゆうこすみたいになりたい!」という夢を持っている子がいたら、それはなかなか叶わぬ夢かもしれない。だって、彼女は破天荒で、スーパーポジティブ。ただ、あきちゃん曰く、それが「裕子らしい」姿なのだ。

 

本来の自分らしい姿のまま、SNSを乗りこなしている。だから彼女の投稿には人を動かせるほどのパワーがあるし、多くの人が魅了されてしまうんだろう。

 

これからの時代を象徴していくのは、誰かの意図でその役を演じている人よりも、しっかり自分の魅力を理解している人だ。「何者かになりたい」という答えは、意外と自分の中にもう、備わっていたりするものだ。

 

なんだか、とても心が軽くなるというか、救われるような文章ですよね。憧れの対象であるゆうこすを無理に演じるのでなく、自分の魅力と向き合い、それを自分らしく発信していけば良い。それが、回りまわって、ゆうこすのような存在になる道なのかもしれない。僕は、こんな風に解釈をしたのですが、きっと、この最後の締めに救われたファンの子は結構多いのではないでしょうか。こちらも、「読み手の感情に寄り添うとは、こういうことか…」とシビれてしまった事例でした。

  

3. Web記事を作成する際のチェックリスト

 

まとめメモとして、以下のことをお話されていた塩谷さん。

 

◎基本編:

  • 読んでもらえるかどうかは、タイトルとアイキャッチが命
  • 前提条件や専門知識がなくても、すんなり入れる
  • 書き手の顔が見える
  • タイトル、サブタイトルがしっかりついている
  • 画像は横イチで統一されている
  • スマホでの可読性が高い
  • 読み終わった最後には、次の記事への導線がある
  • 「役に立つ」「面白い」「感動する」のどれか

 

◎オプション編:

  • 話したことをそのまま書くのはよくない
  • ひとりのインタビューだけじゃなくてもいい
  • 丁寧な記事が良い記事とは限らない
  • 女子の写真はかわいく加工!!!

 

どれも大切なことばかりと思ったのですが、特に印象に残ったのが、『前提条件や専門知識がなくても、すんなり入れる』です。なんと、塩谷さんは、このために、原稿をお母さんに最終チェックしてもらっているそうです!「感情移入しすぎてて、ウザい」とか、言われることもあるそうです(笑)。でも、専門外の方々に、想いや魅力を伝えたいという時には、この視点はとても大切ですよね。僕もオカンチェック的な何かを取り入れていきたいと思いました。

 

周りに流されない、強いコアを持つこと

 

「流行りのトレンドにのって、人気のあるインフルエンサーを起用して、バズりそうなネタを使って…みたいなことは、どのメディアもやるので、そういうことばかりしていると、どこにでもあるメディアになってしまいます。

 

そのため、『どういうメディアであるべきか?』というコアを考えて、『例え、反応は悪くても、この企画をやり続けるべき』という軸を考えていくことが大切だと思います。」

 

イベントの締めくくりとして、このように話されていた塩谷さん。そして、コアは、自分が本能的に『やりたい』と思えることを中心に考えるべきだと。

 

塩谷さんの場合、ストレスフルな状況であることが嫌で、milieuの記事で、このように述べられています。

 

私は、自分より才能ある人が、スクールカーストや、大きな組織の影響力に、かき消されてしまうのが心底耐えられません。その社会の圧力は、豊かな才能や、育まれていたはずの文化を、踏み潰してしまうからです。

 

それが嫌だから。そして、生まれたばかりの傑作を誰よりもはやく楽しみたいから、18歳のとき、私はクリエイティブの価値を高めるような仕事に就きたいと願いました。 

 ※『記事広告を減らすこと。収益の仕組みを変えること。そして海外発信。2018年、私の目標 | milieu』から引用 

 

そのためにも、例え大きなPVが得られる可能性は低くても、この企画はやるべきだと自分が思うものは、やりきるべきだと言います。

 

「私は自分自身の事は、『中継ぎメディア』だと思っていて、自分一人のチカラだけで多くの人を動かすことは出来なくても良いと思っています。

 

milieuの記事は長いし、内容もこじれているところもあります。1分で爆笑みたいな記事ではないので、読む人の層は相当限られてきます。だけど、私はそれで良いと思っています。

 

ありがたいことに、milieuはテレビ局のディレクターさんや、大きな出版社の編集者の方に多く読まれています。彼らに熱を伝えることで、そこから大きく広がるかもしれないわけです。」

 

この話を聞いた時には、正直、震えました。自分が応援したい対象が、最終的にどうなってほしいのかを見据え、自分のメディアとしての役割がどうあるべきかを、ここまで考え抜いている人は、そうはいないんじゃないでしょうか。

 

メディアをやっていると、「自分たちのメディアのPVが、どれだけ伸びたのか?」とか、「手がけた記事がSNS上で、どれだけシェアされたのか?」といった点に目がいきがちになりますよね。だけども、「自分たちは、そもそも、なんのためにメディアをやっているのか?」というコアを絶対に忘れてはいけないし、そこを磨き続けていかなければいけないと身が引き締まりました…!

 

 

ということで、塩谷さん登壇のイベント「いま求められるwebコンテンツの作り方と届け方」から、僕が学んだことを共有させていただきましたが、いかがでしたでしょうか?

 

やっぱり塩谷さんのテクニカルな技術は超絶スゴいです!スゴいんですが、僕が一番印象に残ったのは、自分が取材した企業や人物の魅力や想いを多くの方に届けようという塩谷さんの熱量でした。だからこそ、作り方や、届け方の技術が創意工夫により育っていくのだと。ゲストで登場したゆうこすさんも同じです。

 

塩谷流テクニックは活用させていただきつつ、自分のコアを磨き、伝え手として成長していきたいと心に誓った次第です。企業の "想い" を届けることに苦心されている皆さん。良き伝え手になれるように、ともに頑張っていきましょう!

 

 

★ちなみに、この素敵なイベントを主催して頂いた朝日新聞デジタルのWebマガジン『&M』さんが、公式レポートを掲載してくれています。しかも、動画つき! この記事で共有できていない内容も掲載されていますので、是非、チェックしてみてください!

 

★この記事を作成するにあたって、参考にさせていただいたブログ記事はこちら。こちらも、併せてどうぞ!


★最後まで、お読みいただき、ありがとうございました!書き手の井手です。Twitterでも、企業の "ファンづくり" に関するツイートなどをしていますので、よかったらフォローいただけると嬉しいです!

職場に感動を!「サイボウズ人事部感動課」から学ぶ、感動を呼ぶための5+1の要素。

f:id:kei4ide:20180104171134p:plain

こんにちは。 SNSやコミュニティなどを通じて、様々な企業・団体の『ファンづくり』に日々奮闘しております「沸騰ナビゲーター」こと井手 ( @kei4ide ) です。

 

現在、様々な企業で、従業員の会社への愛着 ( 従業員エンゲージメント ) を高めることの重要性が叫ばれています。

 

理由は大きく2つあって、1つ目は採用です。経営資源においてヒトの価値が最も高まる中で、人材の離職を防ぐため。また、リファラル採用(社員紹介採用)などにより、優秀な人材を呼び込むためです。

2つ目は企業の評判形成です。SNSの発展により、企業の透明化が進んでいます。以前は、鬱々とした感情をもっている従業員の方がいても、簡単には顕在化しませんでしたが、今はSNSを通じて悪い噂はすぐに広がります。ブラックという烙印を押されてしまったがために、一気に顧客離れが起こってしまうケースも増えています。 逆に、情熱的に働いている社員が多い会社も顕在化しやすいため、そういう企業は好感を獲得し、ファンも増え、これまで以上に成長していくと思います。

 

この会社への愛着が成長につながっている企業のモデルケースとして名前があがりやすいのは、アメリカの「ザッポス(zappos)」でしょう。ザッポスが世界中から注目を集めるのは、その独自の組織の文化です。

 

  • 上司、部下といった階層構造や上下関係はなし
  • 1人1人の個性を尊重するワークスタイル
  • コアバリューにしたがって、個々人がザッポスらしさを体現

 

1,500名を超える規模にも関わらず、強力なザッポスカルチャーのもと、ホラクラシーと呼ばれる階層を設けない経営スタイルで業績をあげ、働いているスタッフの幸せが、顧客に感動 (Wow) を届ける源泉を創るという考えのもとで成長を続けています。まさに、『生きる伝説』です。ラスベガスにある本社オフィスの見学ツアーには、いまでも多くの人が参加しているそうです(いつか、行ってみたい!)。

 

そして、僕が、ザッポス級の生きる伝説だと思っているのが、グループウェアでお馴染みのサイボウズさんです。現在、創業20年で、社員数が連結で約600名。クラウド事業の躍進もあり、年間売上高は2012年度の約40億円から、2016年度は80億円越えと、ここ数年間で大きく成長されています。

 

僕が特にスゴいと思っているのは2つあって、1つ目は離職率です。なんと、5年連続で5パーセントを下回っているそうです! 平成28年の全業界の離職率の平均値が約15%で、IT業界は人材の流動が多いことを踏まえると、これは奇跡的な数値ですよね。「働きがいのある会社2017」女性ランキングの従業員100~999名企業部門では、堂々の1位を獲得しています。

 

そして2つ目は、サイボウズ社員のメディアへの出現頻度です。社長の青野さんが書かれた書籍『チームのことだけ、考えた。』によると、青野さんへの講演やメディアの取材は年間で100回にのぼっているとのこと。また、青野さんだけでなく、様々な部門・年代の社員の方々も、毎日のようにどこかで講演をしたり、取材を受けているとのことです。

僕も、この実感値があって、サイボウズ社員の方々を、よくイベントやメディアでお見かけしている印象が強いんですよね。そして、色々な角度からサイボウズの魅力や目指しているビジョンについて熱く語られるので、「サイボウズって本当に良い会社なんだな」と思わずにいられないんです。

 

このような背景から、サイボウズさんは、従業員の会社への愛着を成長につなげている企業として、とても学ぶべきことが多いと思っています。

 

その中で、僕が特に注目してほしいのが… 

「サイボウズ人事部感動課」です。

 

世界初で感動課を作ったとのことですので、今のところ、感動課がある企業はサイボウズさんだけではないのでしょうか (他にもあったら、ごめんなさい!)。 僕は、もっと多くの会社が、従業員の会社への愛着を高めるために、自社に感動課を導入したほうが良いと思っています。

 

今回のブログでは、サイボウズ人事部感動課が生まれた背景や、どんなことをされているのかなどを、メディアで語られている内容からまとめてみました。従業員やチームメンバーの会社への愛着を高めたいと思っている方は、是非、お読みいただけると嬉しいです!

 

 

サイボウズの原点

人事部感動課が生まれる背景についてお話していきたいのですが、 これを説明するには、サイボウズさんの歴史を紐解く必要があります。

 

突然ですが、皆さんは、前述したサイボウズ社長・青野さんの著書『チームのことだけ、考えた。』は読まれましたか? 読んでいない方は、是非読んでいただきたいです!

チームのことだけ、考えた。―――サイボウズはどのようにして「100人100通り」の働き方ができる会社になったか

チームのことだけ、考えた。―――サイボウズはどのようにして「100人100通り」の働き方ができる会社になったか

 

サイボウズさんが創業してから、今に至るまでの歴史が赤裸々に書かれているのですが、まず【第1章:多様化前のこと】に書かれている内容が衝撃的なんです。

すごく端的にまとめると、創業して短期間で大きく成長した反動で、成長に組織づくりが追いつかずに、極めてカオスな状態に陥ってしまったという話です。当時の離職率は28%。社内の雰囲気は悪く、お互いがお互いを批判する状態が続いていました。

 

26歳で起業し、3年後には上場。私は29歳で上場企業の役員になっていた。自分に自信があった。自分の実力だけでなく、運の強さにも自信があった。しかし、それは勘違いだった。私は経営がまったくできない、自信過剰な若造だった。特別な運も持ち合わせていなかった。上場企業の社長どころか、数人の部下を持つことすら危ういスキルしか持っていなかった。

 

そのことを自分なりに理解した。情けない気持ちで一杯だった。メンバーに申し訳なさ過ぎて、会わせる顔がないと思った。その当時、私の頭の中はネガティブなことばかり考えていて、歩いているときに「あの自動車が暴走して私をはねてくれないだろうか」と本気で思ったのを記憶している。

 

こちら、本からの抜粋です。当時の混乱ぶりが生々しく伝わる箇所だと思い引用させていただきました。初めて読んだ時も、今読んでみても、第1章のこの箇所は、ゾクゾクッとします。今のサイボウズさんの状態からは、とても想像がつかず、こんな過去があったのかと衝撃を受けました…。

 

この状態から青野さんが奮起していくエピソードが、とても感動的なのですが、それは是非本で読んでみてください!

 

サイボウズの目指す未来と、あるべき姿

カオス状態を抜け出すために、青野さん達が、まず行ったことは、全社員が心から共感できるビジョンとミッションを創ることでした。

 

その結果、「世界で一番使われるグループウェア・メーカーになる」ことをビジョンに。「チームワークあふれる社会を創る」ことをミッションとすることが決まります。

 

そして、青野さんが解決したいと強く思っていたのが、社員の離職率の高さを下げることでした。チームワークあふれる社会を創ることをミッションとするのであれば、自分たち自身がレベルの高いチームワークを実践できる会社でなければならないということ。また、シンプルに、社員が楽しく働けていないことを重要な問題だと感じるようになったそうなんです。

 

そのために、組織のあり方を考えていくなかで辿り着いた結論が、多様性を重視し、1人1人が自分らしく生き、自分らしく働ける組織でした。ミッションに共感して集まった1人1人が自分らしくあること。そのために人事制度が足りないなら増やす。100人いれば100通りの人事制度を。1,000人になれば1,000通りの人事制度を。

 

実際、サイボウズさんの人事制度は、各社員が自分のライフスタイルに合わせて、働き方を選べる選択制になり、働く時間の長さや、オフィスか在宅 (リモート) かを選ぶことができるそうです。また、育児・介護休業は最長6年間、副業は原則自由など、「100人入れば100通りの人事制度を」という言葉通りに、人事制度を進化させ続けています。

 

サイボウズは"風土づくり"がスゴい

ただ、ここで一番注目すべきは、多様な人事制度を作っていることではなくて、個々人の都合を優先させるような制度があっても、会社がバラバラになっていないということなんですよね。

 

サイボウズというと、副業自由とか、働き方が自由とか、制度で語られることが多い印象があるんですが、サイボウズさんは、社内の "風土づくり" が圧倒的にスゴいと思っているんです。風土。社員の皆さんが持っている共通の価値観や姿勢みたいなことです。

 

サイボウズ社員の皆さんが、大切にしている言葉が2つあって、それが『公明正大』『自立』です。公明正大とは、シンプルに言うと、嘘をつかないことです。また、自立とは、「自分がどのように働きたいのか? そこから何を得たいのか?」を自問自答し、その答えを言葉にまとめ、周囲を動かしていくという自覚と責任を持つということです。

 

要は、多様性を重んじている組織なので、そもそも一人一人の価値観は違うわけです。そのため、自分がどう考えているのかを嘘をつかず、責任をもってお互いが真摯に伝え合わないといけないということですね。サイボウズ社内では、質問責任と説明責任を果たすことから逃げてはいけないと、よく言われるそうです。

 

このような風土は、一朝一夕で育つものではなく、サイボウズさんが時間をかけて社内に浸透させてきた賜物だと思います。この風土があるから、制度の悪用を防げるし、制度を制定時に込めた想い通りにワークさせることができているのだと思います。「風土改革のない、制度改革は効果なし。」という青野さんの言葉は名言だと思います。 

 

人事部感動課とは?

そして、 いよいよ、ここからが「人事部感動課」の話です

 

前述したように、サイボウズさんでは風土づくりをとっても大切にしています。青野さんも著書の中で、「風土づくりこそ経営の醍醐味であり、最も感動できる最高の業務だと考えている」と述べています。そして、この風土づくりに大きく貢献するために、2011年に生まれたのが人事部感動課です。

 

この感動課を生んだのは、組織づくり・風土づくりの中心人物として活躍されている副社長の山田さんです。山田さんが感動課を設立したことを社内のグループウェアに発表した時の文章が素晴らしくて、紹介させてください。

 

多くの人が人生の多くの時間を会社で過ごす。そして、多くの人が真剣に仕事と向き合い、一生懸命働いている。辛いことも、悲しいことも、数々の困難を乗り越えながら。にもかかわらず、会社で感動することが少ないように感じる。  

 

(中略)  昔、NHKの「プロジェクトX」という番組があり、好きだったのでよく見ていて、よく感動した。人の仕事で。そう考えると、自分たちの仕事でも、表現の仕方で、伝え方で、もっともっと感動できることがあるのではないかと思った。  

 

もちろん、夢も理想も志もなく、真剣に取り組んでいる人もいない。そんなところに感動はない。なので、そんなところで、無理やり感動を捏造するのでは決してない。  

 

大きな夢、大きな理想、高い志があり、それを実現しようと真剣に取り組んでいる人がいる。そこにある多くの感動を、「感動」として表現したいだけである。そんな感動を創りだしている人たちに、もっともっと感動してほしいと思う。  

 

職場に感動を。

 ※引用:「職場に感動を。 - ほぼ日の塾 発表の広場」より

 

僕も「プロジェクトX」はもちろん、「ガイアの夜明け」や「プロフェッショナル 仕事の流儀」などで、同世代の方が頑張っている姿を見て、よく涙をしている1人なので、この文章を読んだときに、すごく共感できたんですよね。

 

サイボウズの社員の皆さんが頑張っている姿を、しっかりと編集して、頑張っている本人はもちろん、他の社員にも届けることで、お互いを讃えあう。そして、感動課という組織をつくることで、この風土を会社として根づかせる。この姿勢が、素晴らしいと思いました。

 

感動課は『職場に感動を!』をスローガンに、社内にある”感動の種”を探し、”感動の華を咲かせる”ことを業務ミッションとして掲げています。そして、その業務内容は多岐にわたっているそうです。

 

例えば、サイボウズさんでは新卒社員は入社すると3泊4日の合宿研修が毎年あるのですが、そこに感動課は同行します。研修の最終日に流す動画の作成が主な目的です。この研修では、新人の皆さんが自分自身の強みや弱みを考えるそうなのですが、その時のキーワードを散りばめたエンドロールを動画の最後に流すなど、かなりの手間暇をかけているようです。

 

新卒メンバーは最終日にプレゼンがあって、最後の夜は徹夜で準備をするそうなのですが、感動課も渾身の作品をつくるために徹夜で作業をしているそうです。熱い…。熱いですよね。

 

ちなみに、最終日は動画を見た後に、新卒メンバーが一人ずつ研修の感想を話していくのですが、この時に、何人のメンバーが涙を流すかで感動課は評価されるそうです。すごい評価基準ですよね(笑)。

 

感動課として必要な素質

そして、この「感動課」で課長として、ご活躍されているのが、福西さんです。

 

残念ながら僕は面識はないのですが、福西さんが書かれている以下の記事などを拝見し、その人柄や、笑いのセンス、感動課としての使命感に惚れ込み、勝手にファンになっております(笑)。感動課としての活動内容も具体的に知ることができますので、是非、お読みいただければと思います。

 

 

そして、福西さんに関する記事の中で、感動課として活躍するための素質を、上手く引き出していると思ったのが、以下のインタビュー記事です。

 

▼「職場に感動を。 - ほぼ日の塾 発表の広場

f:id:kei4ide:20180106000447p:plain

この記事は、サイボウズさんの自社メディア「サイボウズ式」で、編集者として活躍されている明石さんが書かれています。この記事の中で、僕が特に感銘を受けたのが以下の内容です。 

 

  • 「そのヒトを喜ばせたい」という純粋な想いが大切で、感動課の仕事がルーティン化したら、感動課は終わり。
  • 「そのヒトを喜ばせたい」と思うためには、まずは相手に一回はハマってみること。ハマることができれば情がわいて、喜ばせたいと思える。
  • 相手にハマるためには、例えば、そのヒトが好きな趣味に、自分もハマろうとすることが大事。共通の趣味になれば、話題も広がって、仲も深まる。
  • 社員の日報を毎日全員分、欠かさず読む。500人を6年間読んでるから、もう何万件も読んでいる。その人に「ハマる」キッカケを常に探している。 

 

最後に明石さんが上手くまとめてくれていますが、「ヒトが好きだから、ヒトを知りたい。ヒトを介して、いろんなことを知りたい」という福西さんの生き方、姿勢が、とても素敵ですよね。「ヒトが好き」、「ヒトに興味を持って、いろんなものにハマれる」というのが、感動課として価値を発揮する上で必要な素質なのだと思いました。

 

別のインタビューで福西さんが「全員のことをちゃんと理解して、一人一人に喜んでもらえる、感動してもらえるようにしていきたい」と語っていらっしゃって、こういう福西さんのような方こそ、感動課に適任だと思いました。

 

感動を呼ぶための5+1の要素

そんな福西さんが、感動を生み出すために必要な要素を「kando5+1」として、まとめてくれています。 

 

  • 「努力」 努力なきところに感動なし
  • 「メッセージ」 伝えたいメッセージこそが感動の華を咲かせる
  • 「共感」 共感があればあるほど感動の華は大きくひらく
  • 「手間」 手間をかけることでメッセージがより深く響く
  • 「サプライズ」 サプライズが感動の種に芽を出させる

 

努力して失敗したとしても、その努力を讃えることが大切で、努力している姿こそ、感動の種になるということですね。そして、その努力から伝わるメッセージの存在と、そのメッセージへの共感が高まれれば高まるほど、感動の華は大きく咲くということでしょう。そして、それを手間暇かけて、サプライズ性も組み込みながら、社内に届ける努力が感動課には求められると。

 

そして、感動を最大化するための重要な「+1」として掲げているのが、「for you」です。

 

感動の種となる努力が自分のためではなく誰かのためだった場合、その感動は最大化するということです。お客様のため、チームメンバーのため、違う部門のメンバーのため…。誰かのために頑張る努力は、大きな感動を生むということですね。

 

正直、感動課として感動を生み出す続けるのは容易ではないと福西さんは言います。感動課を続けているうちに、サイボウズ社員の皆さんも、だんだんと慣れてきているので、感動を生み出すハードルが上がってきていると感じているそうです。確かに、同じ手は忘れられるまで使えないし、ハードクリエイティブな業務ですよね。

 

だからこそ、福西さんのような使命感を持った方を感動課として据えて( ご本人は大変だと思いますが )、職場に感動を生み出すことを企業は真剣に取り組んでいくべきだと僕は思います。

 

まとめ:最高のGIFTを探す

 

一番きれいな色ってなんだろう? 一番ひかっているものって何だろう?

僕は探していた最高のギフトを。君が喜んだ姿をイメージしながら。

※引用「GIFT / Mr.Children」

 

こちら、僕の大好きなMr.Children「GIFT」という曲の歌詞なのですが、感動課の活動や、福西さんの考えを知るにあたり、ふと、この曲が感動課が大切にしていることを、上手く歌い上げている気がしてきました。

 

降り注ぐ日差しがあって、だからこそ日陰もあって、

その全てが意味を持って、互いを讃えているのなら、

もうどんな場所にいても、光を感じれるよ 

※引用「GIFT / Mr.Children」

 

企業で働いていれば、成功する人もいれば、失敗する人も、努力が報われない人もいます。だけど、それぞれの努力には意味があって、そこにスポットライトを当て、お互いが讃えあえるようにする。それが感動課の大きな役割なのだと理解しました。

 

 

改めて、現在は、従業員の会社への愛着が、企業の成長にダイレクトに跳ね返る時代になってきました。そのためには、これまで以上に、企業の "風土づくり" が重要になってくるでしょう。

 

前述したザッポスでは「Chief Culture Officer (社内文化の責任者) 」という役職を設けるほど、風土づくりに力を入れています。また日本企業でも、サイボウズさんはもちろん、「働きがいのある会社」ランキングで3年連続1位をとっているVOYAGE GROUPさんがChief Culture Officer を導入したり、サイバーエージェントさんもカルチャー推進室を立ち上げるなど、風土づくりに力を入れる動きが広がってきています。

 

おそらく近い将来、Chief Culture Officer がいて、その下に感動課が当たり前のように存在する時代が訪れるのではないでしょうか。

 

その時には、是非、「Kando5+1」を胸に、職場に感動の華を咲かせる活動が、様々な企業で広がることを願っています職場に感動を

2018年スローガン決定のお知らせ。『Be Hungry, and Noble -大いなる力には、大いなる責任が伴う- 』

f:id:kei4ide:20180102105427p:plain

あけまして、おめでとうございます!

 

突然ですが、僕はスローガンというものが、とても好きです。

スローガン。ある団体の主義・主張を、短い文句で表した言葉。

 

好きになったキッカケは、愛する福岡ソフトバンクホークスです。 

2014年のホークスのスローガンは「俺がやる」。15、16年は「熱男(アツオ)」。17年は「1(ワン)ダホー!」。

 

特に「俺がやる」が想い出深くて、このスローガンを発表した時の球団広報からのメッセージが強く印象に残っています。

 

2014年は、何がなんでも「日本一」を奪還する年。それには一人ひとりが責任感を持って、準備をし、何事にも意欲的に取り組む「必死さ」が不可欠。他の誰でもない、「俺」がやる。強い気持ちを持って、困難を真正面から受け止め、自分自身で突き破る逞しさ。ホークスは今、強いチームではないのかもしれない。強いホークスを蘇らせるためには、選手とファンが一体となって強い想いを持ち続け、戦うことしかありません。

※引用:「福岡ソフトバンクホークス 2014年スローガン決定のお知らせ|福岡ソフトバンクホークス」より

 

とても良いメッセージだと思いませんか? 少なくても僕は震えました。

この年、宣言通り、ホークスは日本一を奪回。「俺がやる」という強い意志をもって、試合に臨む。当たり前のことかもしれませんが、一年間、この言葉を言い続けたことで、選手も、ファンも、自分自身を鼓舞し、様々な困難なことを乗り越えられたように思えます。

 

スローガンとして言葉にし続けることで、己を奮い立たせる。これ、本当に大切だと思います。そのため、今年から自分自身へのスローガンを作ってみました。

 

2017年の振り返り:きっかけは、この胸の衝動から始まる 

本題に入る前に、去年の振り返りです。去年はスローガンを設けてなかったのですが、自分へのテーマソングは存在していました。去年の井手桂司を語る上で欠かせない乃木坂46名曲中の名曲「きっかけ」です。

 

交差点の途中で不安になる。あの信号、いつまで青い色なんだろう?
ふいに点滅し始め、急かすのかな。いつの間にか、少し早歩きになってた。

 ※引用:「乃木坂46 『きっかけ』」より

 

こんなフレーズから始まる「きっかけ」。自分のキャリアのことを連想させられて、33歳という年齢を迎える自分にぶっ刺さりまくりました。これまでのキャリアの選択肢は青色で、自分の意思次第で、ある程度はどこへでもいけると思っていました。だけど、歳を重ねるにつれ、周囲への責任も増えたり、年齢的な問題で選択肢が減り始めるなかで、いい加減「自分は何がしたいのか? どう生きたいのか?」という人生の問いに真剣に向きあわねばいけないと思うようになっていたんです。

 

誰かの指示。待ち続けたくない。走りたい時に、自分で踏み出せる。
強い意思を持った人でいたい。もう一人の明日の私を探そう。

 ※引用:「乃木坂46 『きっかけ』」より

 

その問いへの答えを探すために、2017年後半は意識的に出会いを求めました。朝活コミュニティーの「朝渋」に参加したり、様々な勉強会に顔を出したり、以前から影響を受けていた方に会いに行ったりと、まずは行動ありきで動いてみました。また、働き方や生き方に関する書籍や記事も読み漁りました。特に、サイボウズさんのサイボウズ式と、「北欧暮らしの道具店」のクラシコムさんのクラシコムジャーナルは、「働き方に関する2大メディア」として、愛読していました。

 

結果、おかげさまで、50代の大先輩から、大学生の方まで、多くの刺激的で柔らかい考え方をもった方々と出会うことができ、開眼した想いでいっぱいです。東京という都市の素晴らしい点は、出会いを求めると様々な人と出会えることですね。「東京にいて良かった」と初めて心から思いました。

 

見つけた自分の志  

その中で、見つけた自分の志。それは主に以下の2つに集約されると思いました。

①:『感動するマーケティング』を実践するヒトになる

②:『感動するマーケティング』を志すヒトを繋げて、うねりを起こす

 

やっぱり、企業のマーケティングという分野に、挑み続けていきたいんです。その会社で働くスタッフも、取引先も、顧客も、いわゆる全てのステークホルダーにポジティブな影響力を発揮できるいる企業。つまり、『感動するマーケティング』を実践する企業を増やすことが、人生で一番取り組みたいテーマだと思いました。

 

なぜ、これが一番のテーマになるかというと、僕の新卒時代の原体験が大きいと思います。新卒時代、人材派遣会社の営業として、上司に言われるまま飛び込み営業の毎日を過ごしていました。「仕事=つらいモノ」。そういうモノだと教えられ、営業先からクレームがきても、とりあえずツッコんでいく。きつかったですね。サザエさん症候群にも思いっきりかかってました。うつ病で産業医からドクターストップがかかる同期メンバーも多く、当時は不安しかなかったです。

 

幸い、現在は「人の二倍働き、人の二倍遊ぶ。全てが仕事で、全てが遊びである」という行動指針を掲げるトライバルメディアハウスという会社に入り、厳しいことや大変なことも沢山ありますが、「仕事=やりたいこと」という思えるようになりました。ただ、僕が新卒時代に経験したような、辛い想いをしている方が、まだまだ社会には多いと思いますので、学んできたマーケティング知識や経験を活かして、そういう環境にある人を救いたいという想いが強いです。

 

今、僕がやっている仕事は、クライアント企業の「ファンづくり」を支援することです。商品やサービスを使ってくれるだけでなく、周囲の知人や友人にも紹介してくれたり、企業が掲げているミッションの実現にむけて、応援してくれたり、時には手をかしてくれる仲間をつくる。そんな課題に一緒に取り組んでいます。

 

そして、このファンづくりで一番大切なのは、「その企業のスタッフの方々が、そもそも、その企業の熱狂的なファンになっているか?」なんです。スタッフが熱い情熱を持っていない商品やサービスに、そもそもファンはつきませんよね。当人達の突き抜けた情熱があるから、アイドルも、スポーツ選手も、ミュージシャンも多くの人の心を掴むし、熱狂的なファンを生むわけです。

 

なので、今、一番の問いは、「どうやったら、アイドルグループやプロスポーツチームのように、スタッフの皆さんが情熱的に働けるか?」です。事業戦略、人事・評価制度、採用手法、チームビルディング、企業カルチャーづくり…、たくさんの要素が絡んでくる問題ですが、ここにアプローチしていきたいんです。企業の利益と、従業員の幸福をトレードオフしないマーケティングを、いかに実践していくか。完璧な答えはないと思いますが、この問いは一生をかけて挑戦していきたいです。

 

また、「その社内の情熱をどう可視化し、いかに社外の顧客にキチンと届けるか?」も非常に重要です。最高の素材があっても、コックの腕前が悪いと、美味しい料理ができないように、企業やブランドの魅力を、どう調理して社外の顧客に届けるかはマーケターの腕が試されます。 SNSやコミュニティ、PR、オウンドメディアといったコミュニケーション領域を、中心にやってきた身としては、このテーマで、自分の価値を発揮できるように磨きをかけていきたいです。

 

そして、この感動するマーケティングを実施する企業を増やしていくためにも、同じ志をもっているヒトを繋げていきたいと思っています。

 

僕が2017年に、様々な場にお邪魔させていただいて感じた一番のことは、同じ志を持っている人が意外と多いということでした。むしろ、それまでの僕の視野が狭かったのかもしれません。枝葉の部分は多少違えど、幹となっている考え方は同じという方が沢山いらっしゃって、おかげで、自分の考え方は間違っていないと改めて信じることができたんです。

 

そこで、会社や、業界という枠を超えて、似た志を持つもの同士を繋いでいくことで、新しい学びや気づき、そしてコラボレーションを、もっと生みたいと思うようになりました。また、点と点をつないで面とすることで、「これからの企業や、マーケティングのあるべき姿はこっちです!」ということを、より強く社会に提起することもできるのではないかと思っています。

 

2018年のスローガンは「Be Hungry, and Noble」

ということで、前置きが長くなりました。

2018年の僕の、そして、このブログ「感動するマーケティング」のスローガンは、こちらになりました。

 

Be Hungy, and Noble

大いなる力には、大いなる責任が伴う

 

ハングリー&ノーブル。この言葉は佐々木紀彦さんと塩野誠さんの著書『ポスト平成のキャリア戦略』から拝借しています。自分が、こうありたいとモヤモヤっと思っていた状態にピタリとはまる表現だと思いました。

 

企業としても、個人としても、やっぱり夢や大きな目標を持つことは重要だと思います。ミスチルの「終わりなき旅」の歌詞にあるように、もっと大きな自分を探す旅をし続けることは、多くの人の共感を呼ぶ物語だと思います。そういう意味で、「Hungry」であり続ける。スティーブ・ジョブズがいうところの「Stay Hungry, Stay Foolish」です。

 

ただ、「Hungry」なだけではダメで、「Noble」を併せ持つことが必要だということです。Noble。高潔な。気高い。崇高な。そんな意味です。

 

前述の書籍で、佐々木さん達が言うには、米国の一流スタートアップと日本の企業の大きな差は、「ミッションを創る力」だと言っています。これからの経営資源で一番重要になるのはヒトで、「GAFA(GoogleやApple、Facebook、Amazon)」が、一流の人材を集めることに成功している大きな要因は、普遍的に共感できる強いミッションの存在と、それを体現する企業運営の実現だと説いています。

 

自分たちの欲求のためだけに突き動くのではなく、社会や、未来や、特定の誰かのために、自分たちの価値をつぎ込んでいく。この「for you」の姿勢を、貪欲にとり続けるHungry&Nobleが大切だということです。

 

また、サブタイトルでつけた「大いなる力には、大いなる責任が伴う」。これは、 映画『スパイダーマン』から拾ってます。大いなる力とは、企業のことです。企業は、従業員、取引先企業、消費者、そして社会と、多くの対象に向けて影響力を発揮します。「Hungry」になればなるほど強い影響力を振るいます。そのため、「Noble」でなければいけないということを強く戒める意味で、サブタイトルにつけてみました。

 

そして、Hungry&Nobleですが、これは企業だけでなく、個人のあり方としても必要だと思うんです。組織であったり、社会であったり、大きな影響力を持つようになると、意識をしない限り、人は気づかないうちに傲慢になったり、自分中心の考え方に陥ってしまうのではないかと思います。昨年末に、僕がマーケティングコミュニケーションの世界を志すキッカケを作ってくれた方のショッキングなニュースもあり、「大いなる力には、大きなる責任が生じる」ということを改めて思い返しました。

 

HungryとNobleこの2つを共存できるマーケティングの実現を支援していきたい。そして、自分自身も、この2つを併せ持つ人格者を目指していきたい。そんな想いを込めて、このスローガンに決めました。

 

2018年の具体的な目標

最後に、「Be Hungry, and Noble」のスローガンのもと、具体的な今年の目標として、5つの目標を宣言したいと思います。

 

①クライアント企業の「ファンづくり」を全力で支援する

当たり前のことを書いてしまいましたが、やっぱり最優先かつ全力で取り組みたいのは、これです。自分が蓄えている全てのインプットを、ここにつぎこみます。

「ファンづくり」という企業にとって一番重要ともいえる部分のパートナーとして選んでいただいた期待に応えていきたい。その想いでいっぱいです。社内・社外を感動させるマーケティングの実践をリードしていきたいと思っています。

そして、支援先企業を、感動創造カンパニーとして、「ガイアの夜明け」や、「カンブリア宮殿」に1~2年内以内に出演していただくという夢も胸に秘めています。

クライアント企業の皆様。伝説を創るつもりで臨んでいきますので、どうか、よろしくお願いします。

 

②ブログ「感動するマーケティング」を更新し続ける

このブログの更新は今年も続けていきたいと思います。記事として、思考を整理することで、自分自身の成長を感じるコトができるんです。

また、自分が素晴らしいと思ったモノ・コト・ヒトをブログで紹介することで、「こんな良い会社があったんだ!」とか、「この考え方や取り組みは、ウチの会社でも取り入れたい」といった発見を読者の方に与えていきたいんですよね。 

これからも、月3記事を最低の更新頻度として運営していきますので、ご覧いただけると嬉しいです。

 

③「感動するマーケティング」の定期ミートアップイベントをやる

実は、嬉しいことにブログを毎回読んでいただいていて、「勉強になる」とか「マーケティングって、面白いんですね」という言葉をかけていただく方が増えてきました。

そのため、オフラインで集まって、マーケティングや、ブランディング、ファンづくりについて、学びあえる場を設けたいと思っています。ブログで紹介させていただいた企業の担当者の方とかもゲストにお呼びできたら最高です。

「感動するマーケティングを志すヒトを繋げる」という志にもつながりますので、これは絶対に実現させたいと思っています。タイミング的には、6月ごろの開始を想定。目標は月1回くらいのペース。参加人数が例え1人でも、やります。ご期待ください!

 

④多様な考え方との触れ合いを大切にする

昨年、意識的に様々な方々と出会い、多様な考え方や生き方と触れ合う方で、自分自身を見つめ直すこともできましたし、学びも多かったですし、視野を広くすることができたと思います。そのため、今年も、ヒトとの出会いや触れ合いは大切にしていきたいと思っています。

運営を手伝わせてもらっている「朝渋」だったり、昨年末から入会させていただいた「コルクラボ」、今年から本格的に活動がはじまる「SUSONO」。どれも、スゴく魅力的なメンバーの方々がいて、これからの活動がとっても楽しみです。あっ、あと「サウナサロン」もw。

それと、勉強会は時間が許す限り積極的に参加していきます。こういった場で学んだこと・感じたことを、このブログやTwitterなどで、どんどんシェアしていきたいと思います。

 

⑤審美眼を磨く

『モノの価値』がわかる人になりたいというチャレンジ目標です。例えば、この商品がいかに手間をかけて、職人さんが技術を駆使して作ってくれたと言われても、その素晴らしさが、しっかり理解できていないことが多いんですね。

でも、昨年にファクトリエの山田社長の講演を聞いたり、モノづくりに精魂をかける方々の話を聞くにつれ、自分も『モノの価値』がわかって、そういう価値を評価できたり、その価値を伝えられるような人になりたいと思ったんです。

ファクトリエさんが主催している「ものづくりカレッジ」とか、こだわりをもっているメーカーの方々の工場見学を始めとしたイベントなどに極力参加して、「ものづくり」に関する審美眼を磨いていきたい。違いの分かる男になりたいと思います。

 

 

以上です。 『Be Hungry, and Noble』というスローガンのもと、この5つを宣伝通りに実行できるように、日々、動いていきたいと思います。

  

最後に、再度、乃木坂46の「きっかけ」の歌詞。

 

決心のきっかけは、時間切れじゃなくて、考えたその上で未来を信じること。

後悔はしたくない。思ったそのまま。正解はわからない。たった一度の人生だ。

 ※引用:「乃木坂46 『きっかけ』」より

 

2017年は、動いていこうという「きっかけ」となった一年でした。

2018年は、自分が考えた上での未来を信じて、コトを実現させていく一年にしたいと思います。

 

みなさんも、是非、自分自身へのスローガンをつくってみてください!

そして、スローガンを教えてほしいです。

では、改めて、本年も、どうぞ宜しくお願いします!!

Instagram上でコミュニティ形成!投稿件数50万超のH.I.S.『#タビジョ』から学ぶコミュニティ・マーケティングの流儀

f:id:kei4ide:20171223131112p:plain

 こんにちは!SNSやコミュニティなどを通じて、様々な企業・団体の『ファンづくり』に日々奮闘しております「沸騰ナビゲーター」こと井手 ( @kei4ide ) です。

 

いよいよ、2017年が終わろうとしています。

 

今年は「インスタ映え」という言葉が流行語大賞をとったり、「インフルエンサー」という言葉が一般の方にも知られるようになったりと、誰もが情報を発信して受け取る時代になってきたことを実感する一年でした。

 

個人の影響力が高まる中で、企業と生活者の関係も大きく変わったように思います。生活者を囲い込もうとする戦略がことごとく失敗する一方で、生活者を消費者と捉えず、価値を高めていく仲間・同志とみなし、一緒に価値を創っていくコミュニケーションに大きな期待が寄せられ始めていると感じています。

 

その中で、僕が素晴らしい取り組みだと思っているのが、旅行会社のエイチ・アイ・エス(以下、H.I.S.)さんが行っている『#タビジョ』です!

 

H.I.S.さんが、2016年3月にスタートしたこの施策は、Instagramアカウント(@tabi_jyoと#タグ(#タビジョを中心に、旅好きの女性と接点を持ち、コミュニケーションを通じて関係性を深めながら、旅先の魅力を発見したり、旅行の楽しみ方をタビジョの方々と一緒に作っていくコミュニティ・プロジェクトです。

 

▼Instagramアカウント「@tabi_jyo」

f:id:kei4ide:20171223141654p:plain

 

▼Instagram#タグ「#タビジョ」

f:id:kei4ide:20171223142054p:plain

どうですか? すごくないですか!?
オジさんの僕には眩しすぎるくらいキラキラとした旅先での写真が「タビジョ」のアカウントでは、たくさん紹介されています。

 

また、驚くのは、Instagram上で「#タビジョ」をつけた投稿件数。なんと…

50万枚超!!

 

このように、旅好きな女性の方々が、「#タビジョ」という#タグでつながり、お互いの旅先での体験をシェアしたり、学びあったり、刺激しあったりするコミュニティがInstagram上で生まれているんです。

 

「#タビジョ」をつけた投稿で素晴らしいものは、公式アカウントが紹介するのですが、「公式アカウントに紹介されるのが目標!」という方が多くいらっしゃるくらい、とても盛り上がっているコミュニティになっています。

 

現在、H.I.S.さんでは、タビジョの方々から投稿が多い場所をスムーズに回れるツアーや、タビジョの方々と一緒に考えたツアーを『タビジョツアー』と題し、販売しています。

▼タビジョツアーの例

f:id:kei4ide:20171223150348p:plain

※『H.I.S.旅する女子のためのツアー「タビジョツアー」』よりスクリーンショット

 

ちなみに、売行きは好調とのこと!

確かに、Instagram上で、「私もこんな場所・空間にいってみたい!」という顧客の感情をつくり、そのスポットに訪れる便利でお得なツアーを提供すれば、タビジョの皆さんから需要が起こるのは納得できますよね。

 

「#タビジョ」はコミュニティ・マーケティングに関心がある方だけではなくて、SNSマーケティングを実行する中で、「いいね」は生まれているんだけど、共感と購買が結びついていないという課題をお持ちのSNS担当者の方にとっても、学びになることが非常に多いと僕は思います。

 

今回の記事では、「#タビジョ」をはじめ、H.I.S.のSNS運用を担当されているH.I.S.のコーポレート・コミュニケーションチームの丹下陽一郎さんから聞いたお話をもとに、「#タビジョ」が生まれた背景や、コミュニティが育っていくまでの過程、これからの展望を紹介していきます。

 

 

#タビジョを始めた背景:企業発信のみのSNS運用に限界が…

この「#タビジョ」ですが、プロジェクトを始めた理由のひとつには、SNSを通じたコミュニケーションに課題を感じていたことがあるそうです。

 

H.I.Sさんは、2012年から開始したInstagramの公式アカウントをはじめ、TwitterやFacebook、LINEなどSNSを活用している企業として知られています。

 

ただ、丹下さん曰く、「ソーシャルメディアは、生活者とブランドとの双方向コミュニケーションの場とよく言われます。それを実現したいと考え運用していたのですが、正直なところ、それがなかなか実感できていませんでした」と悩みを持たれていたそうです。

 

SNS上で、ファンの方々から反応がいい投稿は、ボリビアのウユニ塩湖や、南太平洋に浮かぶ水上コテージといった、いわゆる「絶景」の写真が多く、寄せられるコメントは、「いつかは行ってみたい」というものが大多数で、その後の購買といったアクションに、なかなか結びつかなかいという課題がありました。

 

そんな中で、丹下さん達が興味をもったのが、インスタグラマーの方々の旅に関する投稿でした。インスタグラマーが投稿する旅先の写真の中で人気を集めているものを見ると、そこは必ずしも「絶景」とは限らず、町中のカフェだったり、道沿いに何気なく並ぶ古い壁だったりしています。そして、本人と友だちの姿が写り込んでいるものが、ほとんどであることに気づいたそうです。

 

インスタグラマーの方々が発信する情報を見てヒトが動くポイントは「リアリティ」。要は、同じ国、同じ場所でも、企業がお勧めするより、お客さまと距離感が近い人がごく主観的にお勧めしたほうがリアルだし、「同じような体験をしたい」といった強い共感が生まれるのではないかと仮説が生まれたそうなんですね。

 

そこで、旅好き・写真好きのインスタグラマーとつながるプラットフォームを構築し、そうした方々の投稿内容を共有いただきながら、新たな旅のきっかけづくりができないかと考えたのが、「#タビジョ」を始めるキッカケだったそうです。

 

 #タビジョの成長の過程

どうやって、「#タビジョ」は現在の状態まで大きく成長することができたのか?それには4段階のフェーズがあったそうです。

①認知獲得期

当たり前ですが、始めは「#タビジョ」というハッシュタグ自体の投稿件数は0ですし、認知もないわけです。まずは、旅先で素敵な写真を投稿する際に「#タビジョ」をつけて投稿することを知っていただく取り組みが必要となります。

 

立ち上げ時には、ハワイ旅行中に、ハッシュタグ「#タビジョ」を付けて写真を投稿し、H.I.S.ホノルル支店に来店して頂くと、「アサイーボウル」のクーポンをプレゼントする施策を実施するなど、H.I.S.の部署と連携し、#タグをつけていただくための取り組みを実施されていました。

f:id:kei4ide:20171223230839p:plain

※「かわいい女子旅の写真集 #タビジョ」よりスクリーンショット 

 

しかし、最初はなかなか投稿件数が伸びなかったそうで、更なるモチベーション向上策として、2つの取り組みを実施しました。

 

1つ目はH.I.S.さんのオウンドメディア「Like The World」の記事をタビジョに作成を依頼することです。「#タビジョ」をつけて、しばしば投稿してくれていた方に、旅先のおすすめスポットを紹介する記事を書いていただきました。このタビジョの方が書いた記事が広くシェアされ、「#タビジョ」に関する認知が高まったとのことです。

 

f:id:kei4ide:20171223234620p:plain

「また訪れたいステキな場所!マルタ島フォトスポット5選! | Like the World Magazine」よりスクリーンショット

 

もう1つは、「タビジョマップ」の作成。これは外部企業とのコラボ施策で、「#タビジョ」で投稿された写真の場所をマップに表示するという取り組みで、マップ上に自分の写真が使われることに喜んでいただき、これも認知拡大のきっかけになったそうです。

 

f:id:kei4ide:20171223235533p:plain

「ロサンゼルス観光マップ | 日本最大級のSNS映え観光情報 スナップレイス」よりスクリーンショット

 

この第1フェーズである認知獲得期を終えて、「#タビジョ」での投稿件数は1万枚ほどになりました。丹下さん曰く、「この1万枚までは投稿件数の伸びに苦戦したが、これを超えるとタグの存在が認識され始め、写真が集まるスピードが一気に上がりました」とのことです。

 

②イベントで親近感醸成期

次の第2フェーズでは、タビジョの方々との関係を深めることを目的とし、オフラインイベントである「タビジョMeet Up」を開催しました。コミュニティの立ち上げから、7ヵ月後の2016年の10月~12月の展開です。そもそもイベントを実施するきっかけになったのは、Instagramで「旅好きの女子と会って話がしたい」というコメントが多くあったからだそうです。

 

イベントでは、写真撮影術をレクチャー。「イベントには数十人が参加してくださったのですが、実際に会って話したことでお互いに親近感がわいたのか、イベント以降ではユーザー間のコミュニケーションが活発になりました。また公式アカウントへのコメントも増加しました」と丹下さんは言います。

 

▼「タビジョMeet Up」についてまとめた「COMPASS」さんのレポート記事

▼「タビジョMeet Up」に参加されたタビジョの方のブログ記事

 

さらに、第1フェーズから行っているタビジョマップのエリアの拡充も実施。オンラインとオフラインを使い分けながら、コミュニティを強化することが重要であることに気づかれたそうです。

 

③派生コンテンツ拡充期

2017年1月から3月の期間に行った派生コンテンツ拡充が第3フェーズです。コミュニティに一番大きな変化が起きたのはこの時期だそうです。

 

1つ目の変化は、地方コミュニティの発生。「関西タビジョ会」を作りたいというリクエストがユーザーから届き、H.I.S.として公式に認め、SNS上で紹介すると、他のユーザーからも同じようなコミュニティをつくりたいという声があがったそうです。現在は沖縄や埼玉など、8ヵ所で、タビジョの地方コミュニティ「タビジョ会」が存在しています。

 

f:id:kei4ide:20171224095102p:plain

 ※「H.I.S.旅する女子のためのタビジョ『タビジョ会』」よりスクリーンショット

 

2つ目の変化は、公式インスタグラマーの選定。タビジョでは数名のインフルエンサーを公式インスタグラマーとして認定し、活動していただいています。インスタグラマーの選定では、フォロワー数ではなく、コミュニティにいかに貢献してくださっているかを重要視しているそうです。

 

f:id:kei4ide:20171224093901p:plain

「タビジョ公式インスタグラマー」よりスクリーンショット

 

この公式インスタグラマーには、Instagramのストーリー機能を用いて海外から旅先のレポートを実施してもらっていて、タビジョ公式アカウントの人気コンテンツになっているそうです。

 

「加工のテクニックで見せる写真とは違って、ストーリーは気軽な日常、つまり等身大の旅行を届けやすいと考えました。今も月に2~3名のタビジョレポーター(※)を海外派遣していますが、その期間はストーリーの視聴者数やアクションが非常に増えます。皆さん楽しみにしていただいているようです」と丹下さんは言います。

 

※「#タビジョ」では、タビジョレポーターというプログラムを現在実施しています。特定のエリアを旅行して頂き(旅行費用はH.I.S.が負担)、そのエリアの新たなフォトジェニックスポットを開拓いただき、最新レポートを作成いただくことを目的に実施しています。募集告知はタビジョの公式Instagramアカウントで行われます。

 

この段階で「#タビジョ」の投稿件数は、10万枚を突破。毎月2万枚ほどの投稿が行われるようになりました。また、この時期から前述のタビジョツアーの販売を開始しました。幅広い年代の女性やカップルにも人気が広がり、「フォトジェニック」というニーズを満たすポイントを押さえていることが、ツアーに人気が集まった要因なのではないかと丹下さんはとらえているとのことです。

 

④コラボによる規模拡大期

最後は2017年の4月から現在までの第4フェーズ。これまでの規模をより大きくすることを目的とした施策を実施されています。

 

まずは、「タビジョMeet Up」での他社とのコラボレーション。例えば、KIRINさんの「旅する氷結(R)」とのコラボでは、ハワイをモチーフにした新商品の発売日に、ハワイ好きな女子を集めて実際に商品を試飲しながらハワイについて語り合う場を用意しました。

 

f:id:kei4ide:20171224104402p:plain

「『夏』と『海』が大好きなタビジョ厳選!『わたしのハワイの1日~定番カフェをお洒落に撮る編』」よりスクリーンショット

 

「自社だけでは、扱うコンテンツや規模を拡大させるにしても限界があります。外部企業さんとの接点を見出すことで、コミュニティの皆さんの満足度もより上がります」と丹下さん。

 

また、タビジョツアーでは、派生版として「母娘(ハハコ)ツアー」を展開。これはアンケートで「母親と一緒に旅行してみたい」という声が多く、実現させた企画だそうです。

 

さらに「タビジョはじめてツアー」も発売。コミュニティの中で多数のフォロワーを抱えているタビジョメンバーは、頻繁に旅に関する質問や相談を受けているそうで、先輩タビジョが初めての旅行でも安心しておすすめできるツアーとして企画されました。

 

f:id:kei4ide:20171224105016p:plain

「H.I.S.旅する女子のためのツアー「タビジョマツアー」母娘(ははこ)タビジョイエローナイフ5日間」よりスクリーンショット

 

⑤これからの展望

このように、タビジョの方々との関係性を深めながら、他の企業も巻きこみつつ、コミュニティを育てていっている「#タビジョ」ですが、丹下さん曰く、今後の展望として、これまで静止画とテキストで行っていた旅のレポートを動画に広げていきたいとのことです。

 

 

また、Pinterestで公式アカウントを立ち上げる予定とのことで、「SNSが過去の思い出をシェアするのと違って、Pinterestは未来のためのアイデアを集めるという特徴があります。そこで、タビジョが旅行する前にどんな計画やアイデアを考えているかを可視化できれば、他の旅行者の参考にもなり、いろんな人に喜んで活用してもらえるのではと考えています」と丹下さんは言います。

 

このような施策を新たに追加しながら、「タビジョツアー」などの提供サービスの充実や、タビジョと外部企業とのコラボレーションをさらに強化させ、「#タビジョ」をより良いコミュニティに育てていきたいとのことです。

 

まとめ

このように、「#タビジョ」コミュニティが、どのように育ってきたのかを紹介させてきましたが、いかがでしたでしょうか?

 

#タグをつけて投稿したくなるようなモチベーションを設計し、オンラインとオフラインの施策を組み合わせながら、タビジョの方々と関係性を強化。そして、商品の共創や、公式インスタグラマー、タビジョレポーター、外部企業とのコラボレーションなど、タビジョの方々のモチベーションが高まる施策を次々と実行することで、コミュニティの熱量と規模を高めていった「#タビジョ」。

 

コミュニティというと、オウンドメディア上に自社コミュニティサイトを立ち上げたり、FacebookグループやLINEグループを活用したコミュニティを立ち上げるのが一般的なイメージで強い中、「#タビジョ」はInstagramというプラットフォームを軸に強いコミュニティを創り上げました

 

Instagramは#タグで検索するユーザーが多く、共通の興味関心でつながりが生まれやすいプラットフォームです。要は、#タグを起点にゆるやかなコミュニティがいくつも形成されているわけですよね。

 

「インスタ映え」という言葉に象徴されるように、少なくてもこれから数年はInstagramが人々の興味関心をつなぐプラットフォームとしてリードしていくと思われます。また、数多くのメディアやコンテンツが乱立する中で、自社のオウンドメディアにユーザーを誘導することの難しさは年々高まってきています。

 

ですので、コミュニティ・マーケティングに取り組む方は、「#タビジョ」のようにInstagramをコミュニティのプラットフォームの軸にするという事を、1つの選択肢として持っていただきたいと思います。

 

最後に、「#タビジョ」がこれから、どのように発展していくのか非常に楽しみです!

旅行業界、コミュニティ・マーケティング、SNS運用という面で、これからのマーケティングのあり方のヒントとなると思いますので、これからも注目していきたいと思います!

 

《参考記事》

 

「タオルで暮らしを豊かにする」。熱狂的なファンをつくる『IKEUCHI ORGANIC』の感動するマーケティングとは?

f:id:kei4ide:20171210213155p:plain

こんにちは!SNSやコミュニティなどを通じて、様々な企業・団体の『ファンづくり』に日々奮闘しております「沸騰ナビゲーター」こと井手 ( @kei4ide ) です。

 

『ファンづくり』というテーマに関わっていると、よく聞かれる質問がコチラです。

 

「アパレルだとか、ビール、化粧品、バイクなど、嗜好性の高い商材ならともかく、ウチのような商材で、熱狂的なファンってつくれますかね?」

 

洗剤やトイレットペーパーといった生活消費財。スナック菓子や飲料水、ジュースといった食品。このような性能や品質に差をつけづらい、いわゆる「低関与商材」と呼ばれる商材を扱っていらっしゃるメーカーの方々から、このような質問をよく投げかけられます。確かに、トイレットペーパーやティッシュペーパーに熱狂している人をイメージするのは、難しいですよね…(汗)

 

ただ、最近は、「その企業に共感できる哲学と、それを実行している事実があれば、熱狂的なファンはつくれると思います。例え、それがトイレットペーパーでも。」と答えるようになりました。

 

そのことに気づかせてくれたのが、『IKEUCHI ORGANIC』さんです。

 

皆さん、『IKEUCHI ORGANIC』という会社をご存知でしょうか?愛媛県今治市に本社を置く、創業64年の会社で、社員数は現在約30名程度。今治といえばタオルが有名ですが、『IKEUCHI ORGANIC』は、「最大限の安全と最小限の環境負荷」をテーマに、原材料から製造工程まで徹底的にこだわり抜いたタオルを製造しています。

 

失礼な話、これまで僕の中で「タオル」というカテゴリーは完全に低関与でした。確かに肌触りが良いに越したことはないのですが、購入する際に「どこのメーカーのものが良い!」といったこだわりを持ったことはありませんでした。早い話、体を拭ければ基本OKくらいの感覚だったんですね。

 

そんな僕が、今ではファンの一員になり始めている、いや完全に熱狂的なファンになった『IKEUCHI ORGANIC』。今回の記事では、『IKEUCHI ORGANIC』が多くの熱狂的なファンを獲得している理由を考察しつつ、ファンづくりにおいて重要だと思われる点について学んでいきたいと思います。

 

『IKEUCHI ORGANIC』さんは本当に「良い会社」なので、少し長いのですが、お付き合いいただけると嬉しいです!

 

ファンイベントのために、全国各地から自腹で集まるファンの方々

僕が「IKEUCHI ORGANICってスゴイなぁ…」と心底思うようになったキッカケは下の写真のイベントです。

f:id:kei4ide:20171210222141p:plain

『【愛媛県今治市・IKEUCHI ORGANIC】つくり手と使い手が想いを通わせる場「今治オープンハウス」フォトレポート| 灯台もと暮らし』よりスクリーンショット

 

こちらは、2017年6月に、IKEUCHI ORGANICの本社がある愛媛県今治市でおこなわれた『今治オープンハウス』というイベントで、工場見学、ファンミーティング、懇親会が1セットになった同社初の試みとなるファンとのMeet-upイベントです。

 

この時に、全国各地から集ったファンは41名。なんと、みなさん交通費は各自負担して、今治まで駆けつけたそうです!

f:id:kei4ide:20171210223649p:plain

『【愛媛県今治市・IKEUCHI ORGANIC】つくり手と使い手が想いを通わせる場「今治オープンハウス」フォトレポート| 灯台もと暮らし』よりスクリーンショット

 

もちろん、『IKEUCHI ORGANIC』の方々も空港までお出迎えに行き、バスへ案内するなど、代表も含め社員総出で、ファンの皆さんをおもてなしするというイベントです。

 

『【愛媛県今治市・IKEUCHI ORGANIC】つくり手と使い手が想いを通わせる場「今治オープンハウス」フォトレポート』という「灯台もと暮らし」さんの記事と、『今治オープンハウス2017 レポート 大盛況の工場見学』という「今治タオルのIKEUCHI ORAGNIC公式ブログ」の記事を読んでいただくと、イベントの熱気と楽しそうな雰囲気が伝わってくると思います。

 

このイベントレポート記事を読んだ時、ビックリしたんですよね!タオルの会社で、こんな熱狂的なファンイベントが開催できるのか…と。しかも愛媛まで、わざわざ飛行機で飛んでまで参加するなんて、すさまじい熱量だと。

 

そこから、『IKEUCHI ORGANIC』という会社の魅力とは何なのか?ということを調べ始めたんですよね。

 

『IKEUCHI ORGANIC』に熱狂する理由とは?

『IKEUCHI ORGANIC』の魅力とは何なのか?様々な角度から考察してみた結果、大きく分けて、品質、姿勢、デザイン、ヒトという4つの要素が魅力の源泉になっていると僕は感じました。

 

①品質

『IKEUCHI ORGANIC』の魅力として、なんといっても作っているモノの品質の良さというのが第一にあげられます。

f:id:kei4ide:20171210225435p:plain

※『もしかしたら本当に、このタオルはいつか世界を変えるのかもしれない。【愛媛県今治市・IKEUCHI ORGANIC】企業特集、はじめます。 | 灯台もと暮らし 』よりスクリーンショット

 

品質に対するこだわりの象徴として非常に印象的なのがコチラ。

 赤ちゃんが食べても大丈夫なタオルをつくる。

 

創業60年の2013年の段階で、赤ちゃんが舐めても安全で、かつ洗濯しても色落ちのしないタオルをつくるため、染色には重金属を含まない反応染料を使用するなど「赤ちゃんが舐めても大丈夫なタオル」を実現できているので、創業120年の2073年までに「赤ちゃんが食べても大丈夫なタオル」を目指すというスローガンを掲げていることです。

 

「…ん? タオルって食べるものじゃないよね?」

というツッコミが生まれると思うのですが、IKEUCHI ORGANICがつくっている商品の素材は社名の通り全てオーガニック。つまり、有機栽培で育てられたものをつかっています。そこで、「私たちのつくる製品は”食品”である」という考えから、食べても安全なレベルのタオルまで品質を高めるということを全社をあげて目指しているそうなんですね。

 

f:id:kei4ide:20171210232210p:plain

 ※『【愛媛県今治市・IKEUCHI ORGANIC】最高のものづくりのために、どんな無茶ぶりにも応えたい|「赤ちゃんが食べられるタオル」の責任者・曽我部健二 | 灯台もと暮らし』よりスクリーンショット

 

そのため、製造しているのは食べ物ではないですが、食べ物を管理する際のルール(ISO22000)を順守し、工場の中に入る時にはシューズカバーとキャップの着用を義務づけているそうです。 

 

「ここまでやる必要あるのか…?」

そう思われる方もいるかもしれません。ただ、タオルって贈答用のギフトとして購入されることも多いですよね。『IKEUCHI ORGANIC』の商品を選ぶことで、相手に対して、「こんなに大切に思っています」というメッセージを届けることができるので、僕は、やりすぎどころか、「ここまでやってくれて、ありがとう」と思ってしまいました。

 

品質に対して、圧倒的にこだわりをもっていく。そして更なる可能性を追求していく。この品質の素晴らしさが『IKEUCHI ORAGNIC』の魅力を支えている一番大きな柱なのは間違いありません。

 

②企業姿勢

2つめに魅力として大きいのが、企業姿勢だと思います。この企業姿勢に共感しているファンが多いのではないかと思います。

f:id:kei4ide:20171210235505p:plain

※『【愛媛県今治市・IKEUCHI ORGANIC】イケウチオーガニックの「風で織るタオル」が気持ちいい理由とは? | 灯台もと暮らし』よりスクリーンショット

 

『IKEUCHI ORGANIC』の製織工場や本社、直営店で使用される電力の100%は、風力発電でまかなわれています。その結果、ファンの間では『IKEUCHI ORGANIC』のタオルの事を「風で織るタオル」という愛称がついています。

 

なぜ、風力発電にこだわっているのかというと、タオルの原料であるコットンが「畑の恵みである農作物」なので、気候変動の影響を最小限におさえ、オーガニックコットンを将来にわたって安定的に、かつ収穫量を増加させながらタオルの製造を続けたいという想いからきているそうです。

 

この「持続可能性」ということを、『IKEUCHI ORGANIC』では非常に大切にしているように思われます。つまり、自分たちだけが良ければOKという考えだけではなくて、原料の仕入れ元となる農家さんや、自分たちの暮らしている地域や社会、自然といったところも、一緒になって豊かになっていくことを目指そうといった理念です。

 

f:id:kei4ide:20171211091257p:plain

※『【愛媛県今治市・IKEUCHI ORGANIC】イケウチオーガニックの「風で織るタオル」が気持ちいい理由とは? | 灯台もと暮らし』よりスクリーンショット

 

例えば、『IKEUCHI ORGANIC』では、コットンを生産する農家は、最も信頼性が高いと考えるタンザニアとインドの農家の方々に依頼をしているとのことですが、「フェアトレード」ということを強く意識しているそうです。安全かつ衛生的な労働環境下にあり、正当な生活賃金が支給されており、正当な価格で安定的に購入し続けることがフェアトレードの主な条件になります。

 

このような生産を行う上での裏側の話って、なかなか消費者心理からすると、価値が伝わりづらかったりするじゃないですか?しかも、このような取り組みを行うことで、商品の価格もどうしても上がってしまうと思うんですね。だけど、環境にも、生産者にも負担をかけず、肌に優しいといった身体的な面だけでなく、心理的にも気持ちよく使えるタオルであるということは間違いなく言えるわけです。

 

この品質を高めつつ、「持続可能性」もこだわりぬいている姿勢が、ファンの応援したい気持ちを後押ししているのだと思います。

 

③デザイン

3つ目はデザイン性の高さです。洗練されている。思わず手に取りたくなる。そんなデザイン性の高さが『IKEUCHI ORGANIC』の魅力を大きく高めています。

f:id:kei4ide:20171211093342p:plain

【愛媛県今治市・IKEUCHI ORGANIC】デザインは「やって終わり」ではない。ずっと一緒に成長していこう|D&DEPARTMENT ナガオカケンメイ | 灯台もと暮らし』よりスクリーンショット

 

『 IKEUCHI ORGANIC』という社名&ブランド名は実はまだ歴史は浅くて、2014年に『池内タオル』という社名から、現在の『 IKEUCHI ORGANIC』に変更したそうです。

 

その際に、ロゴやコーポレートカラーのデザイン、いわゆる「CI(コーポレート アイデンティティ)」を担当したのは、ロングライフデザインを掲げるD&DEPARTMENT代表のナガオカケンメイさんでした。

 

ナガオカさんは、仕事を引き受ける上で「一生付き合いたいと思うひと・会社かどうか」という視点を非常に重要視しているそうなのですが、『池内タオル』はD&DEPARTMENT創業時の2000年頃ごろからお店で扱っていたこともあり、池内代表とも親しくしている間柄でもあったので、引き受けることにしたそうです。

 

ロゴやコーポレートカラーを考えるにあたって、改めて本社工場や染色工場を見学したりするうちに、社内会議で「タオル」と「オーガニック」という言葉が頻繁に出てくるんだけど、オーガニックというコンセプトの方が、ブランドとして遥かに勝っているように感じ、「これはタオルってことを言わない方がいい。オーガニックに関する総合ブランドになっていったほうがいいんだろうな」と想い『IKEUCHI ORGANIC』という名前を提案されたとのことです。

 

CIの色は太陽を。ロゴは地球をイメージしているそうで、『IKEUCHI ORGANIC』は自分たちのためじゃなくて、未来や世界のためにオーガニックを追求している共同体、NPOなんかに近い会社であることを伝えたいとナガオカさんは、「灯台もと暮らし」さんの『【愛媛県今治市・IKEUCHI ORGANIC】デザインは「やって終わり」ではない。ずっと一緒に成長していこう|D&DEPARTMENT ナガオカケンメイ | 灯台もと暮らし』という記事の中でおっしゃっていました。

 

また、ナガオカさんは、『IKEUCHI ORGANIC』の実店舗デザインにも関わっていらっしゃるのですが、店舗の空間設計がメチャクチャ洗練されています!

 

▼東京の南青山にある『IKEUCHI ORGANIC』の様子 ※著者撮影

f:id:kei4ide:20171211210713p:plain

▼店内には、手を洗ってタオルの手触りや吸水性を試せるコーナーも ※著者撮影

f:id:kei4ide:20171211211828p:plain

▼店内は池内代表が大好きなビートルズのBGMが流れ、感銘を受けた書籍の展示などもあり、『IKEUCHI ORGANIC』が大切にしている哲学のようなものを感じることが出来ます。 ※著者撮影

f:id:kei4ide:20171211212206p:plain

 

どうですか?『IKEUCHI ORGANIC』のストアは、東京・京都・福岡と3店舗あるのですが、行ってみたくなりませんでしたか? また、デザインという話から少しずれますが、ストアのスタッフの方々のホスピタリティも非常に素晴らしいので、一度ストアに訪問すると、きっと、何度も通いたくなると思います。

 

このように、CIや店舗設計のデザイン性が非常に洗練されているのですが、もちろん、個々の商品のデザインも優れています。

 

f:id:kei4ide:20171211214027p:plain

※著者撮影

こちらは、出産祝いや小さなお子さんがいらっしゃる方へのギフト用の商品なのですが、バリエーションが楽しいですよね!例えば、左上のクマのぬいぐるみのような見た目の商品は、「タオルオリガミ」と呼ばれるもので、フェイスタオルを輪ゴムをつかってクマのカタチに整えているんですね(ちなみに、ここで使われている輪ゴムも哺乳瓶のシリコンゴムと同じ材質ということで、オーガニックへのこだわりがスゴい)。

ただ出産祝いにタオルをわたすだけでなく、こういう遊びゴコロのある商品を提供してくれるところが、『IKEUCHI ORGANIC』のオモシロいところです!

 

f:id:kei4ide:20171211215144p:plain

※著者撮影

こちらは「コットンヌーボー」と呼ばれる商品です。「ヌーボー」といえば「ボジョレー・ヌーボー」。ワインのようにタオルを楽しんでほしいという想いから生まれた商品です。コットンは植物なので、毎年、品質が均一であるはずがありません。違いがあってこそ、本当のオーガニック。年によって品質が微妙に違ってきてしまうところを、逆に楽しんでしまおうという発想の転換から生まれた商品です。とても面白いアプローチですよね!

 

このように、洗練された世界観が中心にありながら、柔軟な発想とオモシロいアイディアで、ファンを魅了するデザイン性の高さ。ここも『IKEUCHI ORGANIC』の大きな魅力になっているのは間違いありません。

 

④『IKEUCHI ORGANIC』のヒト

品質、企業姿勢、デザイン。この3つで『IKEUCHI ORGANIC』という会社の魅力は十分伝わったのではないかと思いますが、最後に一つ、プラスで付け加えたいのが「ヒト」という要素です。

 

要は、『IKEUCHI ORGANIC』という会社で働いている方々の魅力です。

 

僕個人としては、ここが一番大きいと思っています。なぜなら、今の世の中、質が良くて、環境にも配慮していて、デザイン性も高い会社は、それなりに溢れているからです(もちろん『IKEUCHI ORGANIC』ほど、こだわりぬいている企業は、ほとんどいないと思いますが)

 

その中で、その会社の商品を、何度も何度も買いたくなる強い動機をつくるためには、「この会社の人達を応援したい!、この人達が好きだ!、この人たちと関わっていきたい!」というような、「ヒト」の魅力が、最後の最後は重要になってくると思っています。

 

そういう意味で、こんなに多くの人が『IKEUCHI ORGANIC』に惹きつけられている理由に、「ヒト」という要素は間違いなく入っているはずです。

 

f:id:kei4ide:20171211223850p:plain

『IKEUCHI ORGANIC 公式Webサイト | イケウチのヒト』よりスクリーンショット

 

上の写真は、『IKEUCHI ORGANIC』のWebサイトに掲載されている「イケウチのヒト」という記事コンテンツです。是非、読んでみてください。生活の様子、大切にしている価値観、仕事観を変えたエピソード、これからの働き方の展望など、1人1人の記事が、とても手触りがある内容なんですよね。「もっと、この人の話を聞いてみたい。あわよくば、会ってみたい」と読んでいるうちに惹きこまれていきます。

 

そして、この「イケウチのヒト」をよりパワーアップさせたコンテンツがこちら!

 

f:id:kei4ide:20171211225341p:plain

※『【愛媛県今治市・IKEUCHI ORGANIC】タオルを選ぶ「選択肢」をもってほしい──365日肌にふれるタオルだから|神尾武司 | 灯台もと暮らし』よりスクリーンショット

 

これからの暮らしを考えるウェブメディア「灯台もと暮らし」で組まれた『IKEUCHI ORGANIC』特集。全16記事ほどのコンテンツで、『IKEUCHI ORGANIC』の大切にしている価値観や、社員の方々の魅力について掘り下げていく内容になっています。1人1人の社員さんを丁寧に掘り下げているからか、社員の皆さんへの愛着が一層深まる内容となっており、僕の中の熱狂は一気に加速しました!この特集記事は、本当に素晴らしいので多くの人に読んでもらいたいです!

 

f:id:kei4ide:20171211231006p:plain

『今治タオルのIKEUCHI ORAGNIC公式ブログ | 『宇宙兄弟』で起きた社内コミュニティーの活性化』よりスクリーンショット

 

そして、もう一つ、見ていただきたいのが、上の公式ブログ。『IKEUCHI ORGANIC』の社内の雰囲気を垣間見ることができて、楽しいんですよね(笑)。この「宇宙兄弟」に関する記事とか、めちゃくちゃ面白くて、企画担当者の牟田口さんはもちろん、会社全体で「コラボ企画を楽しんでいこう、盛り上げていこう」という姿勢が伝わるんですよね。

 

ということで、『IKEUCHI ORGANIC』のヒトの魅力が伝わるコンテンツを紹介していきました。こういうコンテンツを見たうえで、実際の社員の方々とお会いすると、会話も弾むし、応援したい気持ちが増すんですよね。是非、『IKEUCHI ORGANIC』をヒトという軸でも見つめてもらえればと思っています。

 

まとめ

ということで、『IKEUCHI ORGANIC』が多くの熱狂的なファンを獲得している魅力の源泉を紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?

 

前段でも話したように、僕にとってタオルというのは、超低関与商材だったわけです。だけでも、この4つの要素を通じて、『IKEUCHI ORGANIC』という会社に強く惹かれていますし、暮らしにおいてタオルにこだわりを持つことの重要性と楽しさを学ばせてもらいました。

 

そして、低関与商品と呼ばれるカテゴリーの商材でも、哲学をもって品質にこだわり、共感できる企業姿勢を徹底し、デザイン性を高め、それを生み出しているヒトの魅力を磨いて届ければ、きっと熱狂的なファンを生むことができるのではないかと思うようになりました。それが、ティッシュペーパーだろうが、トイレットペーパーであっても。

 

もちろん、この4つの要素を満たすのは、一朝一夕でできることではありません。時間をかけて丁寧に育てないと手に入らない要素ばかりです。だけど、その分、競合商品とも大きな差別化ができますし、顧客からも、社会からも、評価される「大切にしたい会社」になれると思うんですよね。

 

これこそ、まさに「感動するマーケティング」です。『IKEUCHI ORGANIC』のことを知って、『IKEUCHI ORGANIC』のような会社を世の中に増やしていきたいと心から思いました!

愛されるスポンサードコンテンツをつくる!「北欧、暮らしの道具店」の広告ビジネス戦略の裏側に込められた想いとは?

f:id:kei4ide:20171202123158p:plain

こんにちは!SNSやコミュニティなどを通じて、様々な企業・団体の『ファンづくり』に日々奮闘しております「沸騰ナビゲーター」こと井手 ( @kei4ide ) です。

 

僕が『ファンづくり』について、多くの学びをもたらしてくれる企業として常に動向を注目しているのが、「北欧、暮らしの道具店」を運営されているクラシコムさんです。

 

ご存知の方も多いと思いますが、「北欧、暮らしの道具店」は『カートボタンがついた雑誌』という考え方のもと、ECショップでありながら、月間で約1,600万PV、約150万の訪問者(ユニークユーザー)を集めるライフスタイルメディアとして成長しています。

 

そして驚くべき点は、その愛されっぷり…!全体の訪問者のうち約70%の方が、毎日「北欧、暮らしの道具店」のWebサイトに訪問していただいているとのことです。様々なメディアやエンタメコンテンツが溢れる現在、ほとんどの企業が自社のオウンドメディアへの集客に苦労をしているなか、この数字はスゴイですよね…。お客様の日常の中に溶け込んでいる存在になっているわけです。

 

そんな「北欧、暮らしの道具店」ですが、2015年7月から「BRAND NOTE PROGRAM」という名前で、他の企業のマーケティングをお手伝いする広告事業をスタートされました。

 

「大企業が広告主と称してメディアに介入してくることで、これまでに築き上げてきた世界観が崩れてしまったり、それによってファン離れが起きないだろうか…?」

 

そんな疑問をもっていたのですが、先日、『クラシコムサロン vol 3.0 |「北欧、暮らしの道具店」広告ビジネス戦略の裏側』というイベントで、広告事業を開始された背景や、広告事業に込めていている狙いや想いについて話を聞く機会があり、疑問に対する回答を見つけることができました。

 

結論から言うと、広告事業をはじめたことで、「北欧、暮らしの道具店」の世界観や、ファンとのつながりは弱まるどころか、むしろ強くなっているように感じました!そのポイントは、クライアント企業を『広告主』と捉えるのではなく、「北欧、暮らしの道具店」の『コミュニティの仲間』として迎え入れるということです。

 

メディア関係者はもちろん、従来の広告手法に限界を感じているマーケターの方にも、クラシコムさんの取り組みや考え方は学ぶべきところが非常に多いと思いますので、『クラシコムサロン』で話されていたことや、学んだことをブログにまとめてみました。ご覧いただけると幸いです!  

 

★『クラシコムサロン』にご登壇いただいたのは、クラシコム代表の青木さんと、事業開発グループ マネージャーであり、『BRAND NOTE PROGRAM』のご担当である高山さんのお2人。(モデレーターはクラシコムの筒井さんが務められました!)

 

「北欧、暮らしの道具店」の数値状況

まずイベントの冒頭では、「北欧、暮らしの道具店」の現状について、共有がありました。

f:id:kei4ide:20171202224052j:plain

まず、『カートボタンがついた雑誌』という考え方が素敵ですよね!

そして、気になる売上規模ですが…、現在は約20億円が年間売上高とのことです。

現在、クラシコムは全体で40名程度の社員で、そのうちコンテンツを作っているスタッフはエディトリアルのチームメンバーだけでなく、MDやコミュニケーションのメンバーも仕事の半分くらいはコンテンツに時間を割いているそうで、イメージ的には20名くらいのメンバーで行っているそうです。

 

f:id:kei4ide:20171202224838j:plain

 現在、上のスライドのように大量のコンテンツを「北欧、暮らしの道具店」では発信しています…。すごい、量ですね…。そして、このボリュームの9割は社内のメンバーで内製しているそうです。

 

f:id:kei4ide:20171202225441j:plain

 アクセス状況やSNSアカウントのフォロワー状況はコチラです。サイト訪問頻度がスゴいですよね。毎日Webサイトに訪問している方が72%という驚異的な数字がでています。

また、SNSアカウントだとInstagramのフォロワー数に目がいってしまうのですが、青木さん曰く、LINE@からの流入が今は熱いそうです。

 

そんな多くのファンを抱える「北欧、暮らしの道具店」ですが、Webサイトに訪問した人の中で、実際に商品をご購買いただく人のパーセンテージってどれぐらいだと思いますか?

 

なんと0.4%だそうです!

 

つまり1000人のヒトがWebサイトに訪問したら、4人しか買わないわけです。それ以外の996人はモノを買いに来るというより、遊びに来ていただいている感じだと青木さんは言います。毎日遊びに来る人が増えるなかで、結果、売上も増えている状態とのことです。

 

f:id:kei4ide:20171202231401j:plain

そして、イベントの本題である「BRAND NOTE PROGRAM」についてです。

こちらのサービスは2015年7月から開始されましたが、現在までに32社・46ブランド・144本のコンテンツを企画・制作・配信してきたとのことです。

約20億の年間売上高のうち、広告事業だけで1~2億程度の売上高を占めているそうです。また利益率の面からみると、営業利益の2割程度は広告事業からの利益が占めているそうで、収益性の良い事業になっているとのことです。

 

広告事業を始めたキッカケとは?

「『北欧、暮らしの道具店』は、1,000人の訪問者がきたら、4人しか買わないというECショップ。であれば、残りの996人の訪問に対して、何かマネタイズできる手段はないのだろうか?」。その問いに対する答えとして広告事業は以前から挑戦したい事業だったと青木さんは言います。

 

2011年に、それまで全体売上の15%程度をつぎ込んでいた広告予算を、売上の2%程度まで減らし、その分の予算をコンテンツ制作費にまわすことで、メディアとしての価値を高めていくと決断をした時から、広告事業は頭にあったそうです。

 

そして、Webサイトの月間PVが1,000万PV到達というのが広告事業を始める一つの目安だったそうです。「BRAND NOTE PROGRAM」を開始した2015年7月には、『北欧、暮らしの道具店』は月間1,000万PVという数値がだせる状態まで成長していました。

 

そして、広告事業をはじめると決心してからは、青木さんは入社したての高山さんと一緒に、広告ビジネスについて理解を深めるために、広告に詳しい方々や、自分たちの広告主になりそうな企業の方々に対して、ひたすら会いに行ったそうです。約3か月間、一日3件くらいのアポを入れて回っていたそうなんですね。スゴい、バイタリティです…!その結果、3か月目に青木さんは体調を崩されたそうです(笑)

 

「広告主の方々が、何に困っているのか? どうなると、嬉しいのか? 損か得かでいうと『得』なんだけど、嬉しくないことは何なのか? 損か得かでいうと『損』なんだけど、嬉しいことは何なのか?」。つまるところ、広告主側のインサイトみたいものが、この活動を行うことで見えてきたと青木さんは言います。また、社内のリソース状況を鑑みたうえで、「ここはできるけど、ここはできないし」といったサービスの選択肢も絞ることができたそうです。

 

f:id:kei4ide:20171203230513p:plain

※クラシコムサロンでは、登壇された3人が終始カジュアルな雰囲気でお話しされていました!

 

広告の価格とサービスを決めた背景とは?

 また、様々な方と会いに行く中で、青木さんが印象として強く残っているのが、広告会社の方からの下の問いだったそうです。

 

「TVのCMは、なんであんなに値段が高いのか分かりますか?」

 

その答えは、TV放送局は免許事業でプレイヤーが増えない前提があり、さらに一日24時間という放送時間の制約もあるため、広告の枠が有限だから価格が高くなるということでした。つまり、需要と供給の問題で、需要が高まっても供給に限界があるので、価格を高く設定しても、売れるということですね。

 

一方、Webメディアの場合、インターネットの特性上、広告枠を増やすことは可能ですが、それをやると需要と供給の関係で、価格も低減してしまうので、「北欧、暮らしの道具店」で広告事業をするのであれば、TVCM的なサービスをつくることを目指したほうが良いと指摘をされたそうです。

 

ECの物販事業の利益が持続的に出続けている状況にまで成長していることもあり、まずは、「広告主の企業にとっても、『北欧、暮らしの道具店』のファンの方にとっても、喜ばれるプレミアムなコンテンツをやろう。値段が高くても、単価に見合うサービスを、少なく提供することから始めよう」という方針が決まったそうです。

 

そして、当時、日本で一番高い価格設定のWeb記事広告が1企画あたり200万円くらいだったそうで、「その1.5倍の金額でも売れる価値のあるものをつくりたい」ということで、「BRAND NOTE PROGRAM」は300万円という値段設定にしたとのことです。

 

「300万円の価値に見合う、僕らが提供できる広告とは、どんなものなんだろう?」というのが最初の問いになったと青木さんは言います。

 

結果、広告主の企業様の商品の魅力に光を当てるコンテンツ記事を前後編の2本セットで制作・配信する「BRAND NOTE」が誕生するわけですが、企画から制作まで相当な時間と手間暇がかかるため、開始当時は月に1企業様の依頼しかお受けしていなかったそうです(現在は、月に4企業様程度の依頼を受けることが可能になったとのこと)。

 

▼記念すべき「BRAND NOTE」の第一号がコチラ。「北欧、暮らしの道具店」のスタッフの皆さんの、無印良品への愛が溢れかえった記事になっています!

 

社内スタッフの広告事業への理解を得るために

今でこそ、「北欧、暮らしの道具店」の中で、「BRAND NOTE PROGRAM」はスタッフの皆さんに価値ある取り組みとして理解されていますが、立ち上げ当初は、社内から、広告事業を実施する事に対して、大きな不安があったそうです

 

「広告主の企業の意向が『北欧、暮らしの道具店』に入ってきてしまうのはではないか?」

「広告的なコンテンツを掲載することで、読者から嫌われてしまわないだろうか?」

 

こういった不安の種に対して、青木さんや『北欧、暮らしの道具店』の店長の佐藤さんがスタッフの方々に丁寧に広告事業を取り組む価値を伝えてくれたのが大きかったと高山さんは言います。

 

青木さん達が、広告事業に取り組む価値を社内に伝える際に、特に意識してお話しされたポイントは『収益性』ということについてです。

 

「Webメディアの品質問題が昨今取りざたされている訳ですが、その構造の根本にあるのは、収益性の問題だと思っています。紙の雑誌が素晴らしいクリエイティビティを発揮できたのは、ビジネスとしての収益性の高さが、コンテンツに対して多くのコストや時間をかけることができたからです。つまり、『収益性』と『メディアの品質』は、密接に関わっていることが明らかなわけです」と青木さん。

 

「例えば、Webメディアを運用系の広告だけでマネタイズしようとすると、1PVあたりの利益を0.5円に高めるのは非常に難しいです。仮に月間1,000万PVがあったとしても、月間500万円の売上をたてるのは難しい。だけど、『北欧、暮らしの道具店』の場合、月間1,600万PVの現状で、年間2億くらいの広告売上を稼げています。つまり、1PVあたり1円以上の収益が稼げていて、PVあたりの収益性が高まっているんです」

 

※ちなみに、青木さんから後から聞いたお話ですが、現状、ECの物販の限界利益が1PVあたり5円ほどとのことで、それを広告の売り上げと合算すると1PVあたり6円以上の広告売上を上げているのに等しい収益性だそうです。 こうしてみると、『北欧、暮らしの道具店』をメディアとしてとらえた場合、とんでもなく収益性の高いメディアであることがわかりますね…。

 

「そして、収益性が高まったことにより、コンテンツ制作に関わるスタッフを社員として雇用して、質の高いコンテンツが提供できる体制がつくれるし、コンテンツ制作を外部のフリーランスの方に依頼する場合でも、相当のレベルがある方々に、その方々が他からもらっているよりも高い金額でお願いすることができる。そうすることで、メディアの品質が良くなっていく。そのために、広告事業をやっていくことが重要となると思っています」

 

▼「BRAND NOTE」を開始する際に、広告事業を始める背景などをお客様に伝えるために書かれた記事がこちら。この記事の中でも『収益性』について言及されていますね。

 

世界観を損なわずに、広告事業を推進するために

そして、「『北欧、暮らしの道具店』の世界観を損なわずに、どのように広告主企業からの依頼に対応していくのか?」という話に移っていきます。

 

「そもそも、『北欧、暮らしの道具店』の創業当初は、北欧のヴィンテージ食器を取り扱っていた専門店で、中古品だけを取り扱っていました。そこからヴィンテージと一緒に北欧の新しいものを売っていくなかで、北欧と関係ない、僕らが好きなモノを売るようになりました。オリジナル商品をつくったり、アパレルをやったり、お菓子を売ったり、つくった食べ物を売ったり。そういった具合に、『1年半に1回、業態を変えてきているのではないか?』と思うくらい商売の中身をどんどん変えてきています」

 

「正直、ヴィンテージ商品のような中古品だけでなく、新品の商品を売りだすときは、なかなかのジャンプでした。古き良きものを求めているお客様に、今作られているものを売るという事なので、お店の世界観が壊れてしまうのではないかと周囲から懸念されました。」

 

「その時に、お客様に私たちの考えを理解していただくために、『いま、ほしいもの』というコピーを作りました。『いつ、作られたか?』が重要ではなくて、『いま、ほしいもの』を提供していきたいと。『いま、ほしいもの』に関しては、古いものもあれば、新しいモノもありますよねと。これからは『いま、ほしいもの』をご紹介しますというようなことをお客様に丁寧にご説明しました。」

 

▼「いま、ほしいもの」にコピーを変更した際の背景などが語られている投稿がこちら。本当に丁寧に、丁寧に想いを届けようとしている姿勢が伝わってきます…!

 

「このような流れの中で、『北欧、暮らしの道具店』の世界観を醸成するにあたり、何かに一貫性を置こうとした時に、『何を売るか?』という売り物に一貫性を求めるとしたら、市場の変化だとか、成長の機会に柔軟に対応することが非常に難しいと思ったんですね。そこで、何に一感性を求めているかと言ったら、誰が売るかとか、誰が好きなモノだとか、誰が選んでいるかみたいな、”売り手”に一貫性の軸足を置くしかないなと思いました

 

これまでも、我々が好きなものだとか、おススメしたいものを『北欧、暮らしの道具店』という場所を通して、お客様に提供してきたので、その紹介したい対象が広告主の商品になったとしても基本的なスタンスは変わらないんです

 

「BRAND NOTE」の記事コンテンツの文末には、記事をお読みいただいたお客様へのWebアンケートがセットで掲載されていて、「今回の連載を読んで、参考になった点やご感想などありましたらぜひお聞かせください。」という設問のフリーアンサーで記入する欄があるのですが、毎回、数百件のコメントが届くとのことです。

 

そのコメントの内容を毎回読んでいるそうですが、ネガティブなコメントが、ほとんどなく、むしろ、「BRAND NOTEを毎回楽しみにしています」といったコメントが多いようで、自分たちのスタンスを崩さずに実施することで「お客様からも喜ばれている」と実感することができているそうです。

 

『BRAND NOTE PROGRAM』に込めている想い

「BRAND NOTE PROGRAM」を行う中で、特に意識していることについて、会場にいらっしゃった「北欧、暮らしの道具店」の佐藤店長からもお話を伺うことができました。

 

「 『北欧、暮らしの道具店』で提供している読み物全体をディレクションしていくにあたり、『これは広告だから』とか、『これは広告じゃないから』といった風に、線を持って接することはできるだけ避けるようにしています

 

「私達が目指していることは、『自分らしく、よりよく生きたい』と思っている方が、私達の読み物を読んでいただいた時に、『いい時間をありがとう』と思ってくれるような、どこかで『ありがとう』と言っていただける読み物づくりを目指していきたいと思っています」

 

「そのため、広告主企業の取材対象者さんをはじめ、タイアップ企画で出演いただく料理家さん、エッセイストさんには、『北欧らしい人選だな』と思われるような方にオファーを出すことはすごく意識しています。また、写真の創りだす世界観・空気感は、ものすごくあるので、写真のテイストが他の読み物コンテンツと広告で全く違わないようにするために、日ごろ、他のコンテンツでご一緒させていただているカメラマンさんにお願いするようにしています」

 

広告であろうが、通常の読み物コンテンツであろうが、編集チームをわけずに、同じスタンスで行うのが大切ということですね。また、『ありがとう』と言っていただける読み物づくりを目指すという姿勢が、とても素敵だと思いました。

 

また、『北欧、暮らしの道具店』では 、「『BRAND NOTE』の記事が、全ての読み物の中で一番おもしろくなるようにしよう」ということが合言葉になっているそうです。

 

お金を稼ぐためにというスタンスではなく、「これが一番コストがかけられるから、一番おもしろくなるはずだよね」というマインドセットでスタッフが臨めるように、青木さん達経営側では、通常の記事コンテンツと比べて、倍くらいの時間をスタッフに与えるし、コストも多く使えるような状態を意識的に作っているとのことです。そういう意味でも、「『BRAND NOTE』の記事があるから、『北欧、暮らしの道具店』がもっとよくなった」という状況をどうつくれるかが重要だと青木さんは言います。

 

f:id:kei4ide:20171203231533p:plain

※懇親会用に料理や飲み物を用意しているカウンターの中からお話しいただく佐藤店長!

 

広告商品の魅力を伝えるために意識していること

そして、広告主企業のブランドの魅力をお客さんに伝える(届ける)ために意識していることは何かという話へ。 

 

「伝わる、伝わらない、ということでいうと、そもそも、人は関係性のない人の話は聞かないという、ごく当たり前の常識があると思います。だから聞いていただくためには、まず関係性をつくることが大切」と青木さんは言います。

 

例えば、突然街でナンパされるのと、日ごろ仕事で関係値ができていて、「この人の仕事の仕方って素敵だな」と思われている人と、単純にどちらに食事に誘われた時のほうが食事にいきたくなるかといえば、当然、後者ですよね?

 

なので、正しい問いとしては、「『どうやったら、お客さんに伝えるか?』という問いではなくて、『どうやって、関係性をつくるのか?』という問いを立てることが重要」と青木さんは言います。いったん関係性が出来てしまえば、色んな話ができるようになります。深い話から、くだらない話まで。

 

そこで、「北欧、暮らしの道具店」が広告を出す企業様に提案することとして、企業の中の人に記事に登場していただく相談をすることが多いそうです。なぜかというと、広告主企業のブランド担当者や開発担当者は、実は「北欧、暮らしの道具店」のお客様と、ほとんど同じ属性の方が非常に多いからだそうです。お子さんがいらっしゃる30代半ばの女性だったり、同じような問題意識を持っていたり、自分と変わらない価値観をもっていたり。「自分と変わらない人が企業の中にいると伝わるだけでも、話を聞こうという意識は全然変わってくる」と青木さんは言います。

 

このように、「お客様と関係値を作っていきましょう」と広告主企業へ伝えるため、ほとんどの広告主企業は一回で「BRAND NOTE PROGRAM」が終わることは少なくて、継続的に実施していただくことが多いそうです。

 

広告営業を行う際に大切にしているコンセプト

そして、質疑応答では、「BRAND NOTE PROGRAM」の価値を広告主に伝えていくことの重要性を高山さんからお話しいただきました。

 

「BRAND NOTE PROGRAM」は一見して見ると弱みに目がいってしまうとのことです。例えば、案件を受注してからコンテンツ記事の配信まで2カ月以上はかかってしまう。「北欧、暮らしの道具店」から広告主企業へのリクエストも多い。しかも、金額も高い。

 

だけど、弱みは強みでもあって、こういう要素があるからこそ、良いコンテンツも作れるし、価値もつくれるという話をするように心がけているとのことです。つまり、広告主企業に自分たちの『考え方』を認識してもらうことが大切ということですね。


そのため、枠売り営業ではなく、『仲間づくり』というコンセプトで営業活動をしているとのことです。その一環として、クラシコムサロンを開催したり、『BRAND NOTE BOOK』という冊子を作ったりと、自分たちの考え方に共感してくれる方を増やすことに注力しているとのことです。

 

f:id:kei4ide:20171203235554p:plain

 ※『BRAND NOTE BOOK』では、クラシコムの広告主企業となるお客様に対して、これからのメディア・広告・ブランドのことについて考えを深めるための内容が盛りだくさんで掲載されています!

 

まとめ:関係者全員から愛されるスポンサードコンテンツをつくりたい

ということで、『クラシコムサロン vol 3.0 |「北欧、暮らしの道具店」広告ビジネス戦略の裏側』で、お話しされていた内容をお届けしましたが、いかがでしたでしょうか

 

僕は、「BRAND NOTE PROGRAM」というスポンサードコンテンツを通じて、「北欧、暮らしの道具店」というコミュニティに、個人の生活者だけでなく、法人としての企業も入ってきていただくための『仲間づくり』をしているのだと理解しました。

 

つまり、「北欧、暮らしの道具店」が目指して生きた『フィットする暮らし』にふさわしい仲間として、魅力ある商品をつくっている企業にコミュニティに入っていただくことで、よりビジョンに近づいているように感じたんですね。

 

「広告は嫌われもの」ということを耳にする機会が最近増えましたが、「北欧、暮らしの道具店」のように、お客様と関係性を築き、その関係性の中で、新しい仲間を紹介するような形で広告をしていけば、メディア側も、広告主も、読み手であるお客様も、全員が幸せになる形が実現するということを、今回の『クラシコムサロン』で気づくことができました。

 

メディアの収益性を高めることはもちろんですが、「メディアの品質を高めたい」、「コミュニティの世界観を高めたい」という課題を持っている方には、クラシコムさんの取り組みは非常に学ぶことが多いのではないでしょうか?

 

「広告記事が全コンテンツの中で一番楽しみ!」と読み手の方々に言われるような、愛されるスポンサードコンテンツをメディアやコミュニティで作れるように、僕も考えていきたいと思います!

なぜヒトはサウナにハマっていくのか…。『サウナサロン』が今熱い! 【コミュニティ・マーケティングの沸騰現場】

f:id:kei4ide:20171126214658p:plain

 こんにちは!SNSやコミュニティなどを通じて、様々な企業・団体の『ファンづくり』に日々奮闘しております「沸騰ナビゲーター」こと井手 ( @kei4ide ) です。

 

「コミュニティ・マーケティングを学ぶなら、自分の興味関心のあるテーマのコミュニティに入って、メンバーとして体験を積むことが一番!」と、常々言っているのですが、僕がメンバーとして入っているコミュニティで、めちゃくちゃ面白い、いや熱いコミュニティがあります。

 

それは…『サウナサロン』です!

※月額500円から入会することのできるオンラインサロンとなります。詳細はコチラ

 

僕がサウナの魅力とポテンシャルに気づいたのは、ほんの最近のことなのですが、確実にきています!

 

「サウナを制したものがビジネスを制する」と半分冗談で言っていたのですが、今や確信に昇華しつつあります。それを気づかさせてくれたのは『サウナサロン』の存在が大きいです。

 

今回は、僕がサウナにハマり始めた経緯と、『サウナサロン』について、ご紹介させてください!

 

そもそもサウナって…?

ちなみに、そもそも、みなさん、サウナに興味ありますか? 

 

僕は、半年以上前までは一切興味を持っていませんでした。温泉や銭湯は好きだけど、サウナに入る意味がよくわからなかったんですよね。なぜ、あえて、あの熱い個室に入る必要があるのか…(しかも裸の男が密集しあって・・)。

 

そんな、僕がサウナに興味を持つキッカケをつくってくれたのは、仕事の関係で出会ったJALの岡本さんです。

 

JALの岡本さんというと、ニコニコ超会議などでキレっきれのダンスを披露してくれることで有名ですが(埼玉スーパーアリーナにも先日デビューされてました…!)、本業のお仕事でもバリバリと成果をだしていく、まさにスーパービジネスマンです。

 

※岡本さんの数あるダンス動画の中で、僕が一番好きな動画です。出張で海外に行った際に撮影したそうです。途中からダンス動画から完全にアイドルのMV風になるところが何度見てもツボです。

 

 そんな尊敬すべき岡本さんが、サウナの魅力を滔々と教えてくれたのが始まりでした。

 

「サウナー」「サウナ道」「整える」「フィンランドがヤバい」「熱波」などなど、次から次へとディープなキーワードが飛び出し、一気にサウナに対する興味が高まったんですよね。

 

そこからサウナというキーワードに関心を持つ、周りを見回してみると、結構、企業のキーパーソンとなる方々や、僕が敬愛する著名な方々がサウナーだったことに気づいたのです。

 

 これは、サウナには何かがあるに違いない…!

 

ということで、岡本さんを水先案内人に、何人かでサウナデビューを果たしたわけです。向かった先は、新橋にある『オアシスサウナ アスティル』

 

サウナに実際行ってみて、 わかったこと

岡本さんに連れられて、サウナに行ってみて、わかったことが3つ。

 

1つ目は、単純にサウナが気持ちいいということ。はじめのうちは、サウナ室→水風呂→休憩というサイクルに対して、あまり理解せず、ついていくのがやっとだったのですが、途中からジワジワと癖になる感覚が広がっていきます。コーヒーやビールとかと一緒で、「ニガッ!」って感じていたものが、味わいに変わってくる瞬間ってありますよね。それと一緒です。

 

 そして2つ目は、キモチがリフレッシュされるということ。まさに「整える」ということだと思いますが、水風呂で自分の感覚に耳を研ぎ澄まし、休憩中には無心で魂を解き放つ。瞑想や座禅のように自分の心と体をほぐしていく体験ができるのがサウナなのだということを理解しました。

 

一流の人は、あえて日常に「ボーっとする時間」を作り、思考を休めることで、自分の内面と向き合ったり、気づかないうちに溜まっていたストレスを癒しているという話を聞いたことがあります。そう、「ボーっとする時間」をあえて作ることが大切なのではないかと思うんです。イケてる方々にサウナーが多いのも、この事が関係しているのではないかと思うようになりました。

 

3つ目は、誰かとサウナに行くと、その人達との関係が大きく深まるということですね。サウナとは、まさに裸の付き合い。しかも、毛穴まで開いた状態。熱いサウナ室や、冷えた水風呂まで同行するので、普段の会話のなかでは見えない顔なども見えてくるわけです。そして、お互い心身ともに整った状態で、サウナに入っているレストランで飲み会。単純にビールやご飯がめちゃくちゃ美味しく感じます。これは間違いないと思います。さらに、気持ちが解きほぐされている状態だからか、普段では話しづらい本音や込み入った話なども話せちゃったりします。

 

よく仕事をしていると、『飲みニケーション』が大切だという話をよくききます。要は会社の同僚だったり、お客さんとの関係づくりや、信頼づくりのために、打ち解けられる場をつくってOPENな間柄になるということですね。ゴルフとかも、これに近いかもしれません。僕も『飲みニケーション』って、めちゃくちゃ大切だと思っています。そして、「関係性づくり」の手法としてサウナは非常に有効なんじゃないかと確信するようになりました(もちろん、ある程度の関係性ができてからになると思いますが)。

 

「今後、ゴルフ、一緒に行きましょうよ!」の代わりに「今後、サウナ、一緒に行きましょうよ!」。 

「僕、ここのサウナによくいるので、よかったら、このサウナで飲みませんか?」

 

こんな会話が広がっていったら、日本のビジネスシーンはもっと楽しくて、しかも、健康にも良くて(ちなみに、美容にもいいらしい)、あと、単純にオモシロくないですか?

 

ということで、サウナに実際に行ってみて、こんなことを思うようになり、サウナのもっている魅力とポテンシャルを強く感じたんですね。まさに、『サウナを制する者がビジネスを制する』。いや、『人生を制する』といったところでしょうか。

 

『サウナサロン』が立ち上がった!

このようにサウナについて僕の中の熱量が高まっている矢先、なんと、Twitterでフォローしていた幻冬舎の設楽さんが、『サウナサロン』なるものを立ち上げたということをTwitterで知りました。

 

 

 

「コミュニティづくり」に関する知見を高めるために、CAMPFIREのファンクラブ機能をつかったコミュニティづくりをもっと学びたいと、ちょうど思っていた自分としては、まさに『渡りに船』といった状態でした。興味があるテーマで、なおかつ立ち上げ期からコミュニティに加われる点。また、箕輪編集室やNewsPicksアカデミアといった注目しているコミュニティのエキスを吸収できるかもしれない点。しかも、月額500円。「最高じゃないか!」と思い、即入会を決めました。

 

そして、コミュニティの中に入ってみると、 メンバーの皆さんのサウナ熱がスゴい!おススメのサウナ情報はもちろん、どこのサウナがいつお得で、どこのサウナ飯が上手いのかなど、ビギナーの自分としては、大変ありがたい情報がオンライングループ上で飛び交っています。

 

また、メンバーの皆さんのプロフィールが面白くて、有名な会社で責任あるポジションについている方や、ユニークなキャリアをお持ちの方など、魅力的で個性的な方ばかりで、僕が勝手に思っていた「サウナーにはイケてる人が多い」説を裏付けてくれるような方々がサロンに揃っていました

 

そして、先日の日曜日に、栄えある第一回サウナサロンMEET-UPを池袋にある『タイムズ スパ・レスタ』で行いました。約20名ぐらいのサウナー仲間が集結したわけです。サウナには各々自由に入って、その後、時間になったらサウナ内にあるレストランに集まり飲み会をするという企画です。

 

これが結果的にいうと、めちゃくちゃ盛り上がりました!

 

始めは初対面でぎこちない雰囲気もありましたが、サウナという共通の関心ごとがあるからか、サウナ後という整った状態にあるからなのかわかりませんが、とにかく盛り上がりました!

 

やっぱり、サウナって、ヒトとヒトをつなげる力ってあるんじゃないかなと思わずにいられない会でした。

 

f:id:kei4ide:20171127065703j:plain

※『サウナサロン』MEET UPの様子(真ん中で謎のポーズを決めているのがサロンオーナーの設楽さんです)

 

コミュニティづくりを学びたいなら、コミュニティに入ろう

ここまで、僕がサウナにハマり始めた経緯と、『サウナサロン』について、ご紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか?

 

「コミュニティ・マーケティングを学ぶなら、自分の興味関心のあるテーマのコミュニティに入って、メンバーとして体験を積むことが一番!」

 

冒頭でお話ししたことですが、『サウナサロン』に加入して、改めて、これは間違っていないと思います。コミュニティマネージャーとしての設楽さんの動き方も、とても勉強になることが多いです。

 

今、『サウナサロン』では、サロンをより楽しいサウナーの集いの場にしていきつつ、同時に日本のサウナ文化の盛り上げていくために、色々とオモシロイ企画を画策をしています!

 

僕も『サウナサロン』に入ったことで、サウナーとして、もっと高みを目指したいと思いましたし、「その過程で、ヒトとしても成長したい」なんてことも思うようになりました。今年の年末年始の休みでは、都内近郊になるサウナをひとしきりまわろうと思います。

 

ということで、「コミュニティづくりを学びたい」という方は、是非、自分の興味関心のあるテーマのコミュニティに飛び込んでみることをオススメします!もちろん、それが『サウナサロン』ということであれば、是非、一緒にサウナ道を極めて行きましょう!

自治体や企業から相談が殺到! 読者と強いつながりを形成する『ことりっぷ』から学ぶコミュニティ・マーケティングの流儀

f:id:kei4ide:20171118203559p:plain

 こんにちは。SNSやコミュニティなどを通じて、様々な企業・団体の『ファンづくり』に日々奮闘しております「沸騰ナビゲーター」こと井手 ( @kei4ide ) です。

 

コミュニティマネージャーとして活躍されている方々からお話を伺い、コミュニティを運用する際の考え方や、コミュニティがもたらす価値について学ぶ『コミュニティ・マーケティングの流儀』

 

今回お話を伺ったのは、『ことりっぷ』のWebメディアやアプリの立ち上げから、マーケティング戦略、コンテンツ企画、SNS活用、企業や自治体との共同プロジェクトなど、『ことりっぷ』のコミュニティ・マーケティング全体をプロデュースしている株式会社昭文社の平山高敏さんです。

 

『ことりっぷWeb - 週末に行く小さな贅沢、自分だけの旅。』

f:id:kei4ide:20171118203939p:plain

 

『ことりっぷアプリ』

f:id:kei4ide:20171118204703p:plain

 

『ことりっぷ』というと、「女子旅」とか、「おしゃれなガイドブック」というイメージを想起される方が多いと思いますが、なんとなく『ことりっぷ』らしさって、ありますよね。上手く言葉で表現しづらいですが、かわいらしく、ゆったりしていて、丸みがあって、無理をしていない感じというか。Instagramで「#ことりっぷ」をつけて投稿している方々の画像を見ても、このようなニュアンスの雰囲気が共通して含まれていると思います。


現在、この『ことりっぷ』が醸し出す雰囲気や世界観を核として、編集部や読者を横断した「ことりっぷコミュニティ」が形成され、コミュニティに価値を強く感じた自治体や企業から様々な相談が持ち込まれているそうです。今回は、平山さんから、コミュニティが生まれるまでの経緯や、コミュニティがもたした価値、コミュニティを形成する上で気を配っている点などをお伺いしました

 

コミュニティ・マーケティングを行う上でも、メディアビジネスのこれからを考える上でも、『ことりっぷ』の取り組みは学ぶことが多いと思いましたので、お読みいただけると幸いです。

 

『ことりっぷ』のコミュニティが生まれるまで

 まず初めに、これまでの『ことりっぷ』の歩みをご紹介させてください。『ことりっぷ』が創刊されたのは2008年。若い女性をターゲットに、掲載情報を厳選し、小型化・軽量化、シンプルでかわいいデザインを採用。この戦略が功を奏し、「女子旅」といえば『ことりっぷ』と代名詞になるくらいに旅好きな女性たちの間で大きな支持を得ていきました。今や、書店の旅行のガイドブックコーナーには『ことりっぷ』が必ず置かれていると言っても過言ではないですよね。

 

そして、「ガイドブックに載っていないところに行きたい」という好奇心が強い読者からのニーズに応えるために、2013年8月には『ことりっぷWeb』、2014年5月には雑誌の『ことりっぷマガジン』、そして、2015年にはアプリを開始。紙のガイドブックのように「エリア」ではなく、「テーマ」で区切った旅の情報や旬の情報を掲載し、「次の休みはどこへ行こう?」と考えている読者に向けて旅先を提案できるようになりました。

 

さらに、旅先で見つけたおススメスポットや、地元のお気に入りスポットを投稿し、共有し合える機能がアプリに備わったことで、『ことりっぷ』好きで、「旅に求めるもの」や「好きなもの」が近い人同士をつなぐコミュニティが形成されました。アプリでは自分が「イイね」と思う投稿を見つけたときに、投稿主の出身地をはじめ、その人の背景がわかるため、「熊本県出身なんですね!今後、行こうと思っているんです。他におススメのスポットはありますか?」といった具合に、ユーザー同士のQ&Aが多く生まれているそうです。アプリの現在のダウンロード数は約60万で、そのうちアクティブユーザーは約3割とのことで、オドロキのアクティブ率です。

 

このコミュニティが誕生したことで、編集部の方が気づかなかった地域の魅力を発見できたり、『ことりっぷ』編集部が作成する記事中に投稿されたスポットを紹介することで、「ことりっぷが、私のお気に入りスポットを紹介してくれた!」とユーザーから喜んでもらえたりと、コミュニティを通して、お互いがハッピーになれる関係が築けているそうです。

 

『ことりっぷ』ではコミュニティを更に発展させるため、アプリ上で多くの支持を集めている人気ユーザーを招いた交流会や、イベント、ワークショップなど、リアルな場でのつながりを持てるイベント企画も積極的に開催しています。定員に対して数倍の応募が殺到することも多いそうです。実際に、イベントでユーザーの方々とお会いすると、コミュニケーション能力の高い人が多く、イベントでの参加者同士の情報交換も盛んなようで、ユーザーの方々とのやりとりで、嫌な思いをしたことは一度もないとのことです。

 

紙のガイドブックという編集部から読者への一方通行の情報発信から始まった『ことりっぷ』ですが、コミュニティを通じて、読者と一緒に『ことりっぷ』らしさを創っていくスタイルに徐々にシフトをしていっています。

 

読者との「強いつながり」に価値を感じ、様々な企業・自治体がコラボを打診

そして、この読者との「強いつながり」に価値を感じ、現在、毎週のように様々な企業や自治体から『ことりっぷ』とのタイアップやコラボの企画が持ち込まれているとのことです。

 

例えば、「観光客を誘致したい」、「地域に興味をもってほしい」といった課題をもつ自治体から編集協力という形で経費を肩代わりいただき、その地域を取材し、新しい魅力を掘り起こすための『ことりっぷ』らしい旅行プランを作成したり。また、ファッションブランドや食品などで、『ことりっぷ』が醸し出す雰囲気・世界観を自社ブランドにも取り入れていきたい企業が『ことりっぷ』とコラボレーションをしてグッズを作成することも増えてきているそうです。

 

f:id:kei4ide:20171118205115j:plain

※(『ことりっぷWeb |「カルビーぽてとりっぷ」×「ことりっぷ」がコラボ♪ 4つのご当地味が本日発売』よりスクリーンショット)

 

従来型のメディアのマネタイズ手段である記事広告といった手段だけでなく、『ことりっぷ』では、読者との「強いつながり」を築いているため、例えば、『ことりっぷ』らしさを知り尽くしたユーザーの方々を招いたモニターツアーを開催したり、そういった方々を対象にリサーチを実施したり、一緒に商品企画をしたりと、様々な提案が依頼主の自治体や企業にできるわけです。

 

現状、『ことりっぷweb』の月間PVは約1,000万、月間のユニークユーザー数は約100万人とのことですが、「大事なのはPVそのものではなく、読者の心がどう動いたか、どんな行動に結びついたか。それを丁寧に拾うことで、PVとは違った指標で価値を提案していけると考えています」と平山さんはおっしゃっていました。

 

僕も、この考え方には大賛成で、PVやUUの数を競い合う「量」の競争は消耗戦になってくると思っていて、読者と世界観や価値観を共有し、読者の気持ちや行動に影響を与える「質」が、これからのメディアの価値として問われてくると思っています。そういう意味で、「ことりっぷ」の一連の取り組みは、メディアビジネスを考えるうえで、学ぶべきことが非常に多いと思います。

 

『ことりっぷ』のコミュニティが活性化している要因

それでは、なぜ『ことりっぷ』は読者との「強いつながり」を形成することができたのかについて話をすすめていきましょう。『ことりっぷ』というブランドを軸としたコミュニティがここまで盛り上がった理由は何なのかという話です。お話を伺う中で、僕は大きくは以下の3点が要因として大きいのではないかと思いました。

 

◇要因①:ブランド力を磨いてから、コミュニティをスタート

「ブランド力が強い」というと漠然とした響きになると思いますが、ブランド力というのは、主に以下の要素の掛け合わせになります。①ブランド認知(ブランド名の知名度)、②ブランド連想(ブランド名を聞いた時に連絡するイメージの強さ)、③知覚品質(連想した際のイメージ通りの品質・体験を提供できているか?)、④ブランドロイヤリティ(ブランドに対する愛着度)。

 

『ことりっぷ』の場合、コミュニティを始める前に数年をかけて、このブランド力をしっかり蓄えているわけですね。どの本屋さんに行っても販売されている『ことりっぷ』の知名度(①)。『ことりっぷ』といえば、「女子旅」だし、忙しなく観光地を回るのではなく、心地よいペースで、かわいいスポットを巡るといったイメージの結びつきの強さ(②)。『ことりっぷ』を持って旅をしたときの心地よさを体感した人が多数存在(③)。結果、『ことりっぷ』は旅好きな女性を中心に大きな支持を集めている(④)。

 

おそらく、『ことりっぷ』がコミュニティを紙のガイドブックの創刊と同じタイミングで立ち上げていたら、ここまで強いコミュニティの形成はできていなかったのではないかと思います。しっかり、『ことりっぷ』らしさを醸成して、それに強く共感している読者の方々がコミュニティに集まっているからこそ、トラブルもなく、強固なコミュニティが築けていると思うんですね。

 

自社ブランドのコミュニティを立ち上げたいという時に、現時点における自社ブランドのブランド力を計算せずに立ち上げてしまって、結果、ヒトが集まらないとか、メンバーの方向性がバラバラでまとまらず、結果、失敗するというケースが多いように僕は思います。そのため、ブランドを軸としたコミュニティを立ち上げる際には、ブランド力をある程度磨きあげてから、立ち上げるということを強くオススメしたいです。

 

◇要因②:主催者側が、コミュニティの方向性を明示し続ける

『ことりっぷ』コミュニティは、『ことりっぷ』らしい価値観で旅や生活をとらえている仲間たちが集まっているからこそ、分かり合えるし、通じ合えるし、その結果、心地よいコミュニティが醸成できているわけです。つまり、『ことりっぷ』らしさをメンバーがある程度共有できていることがコミュニティを形成する上で重要になっているということですね。

 

しかし、この『ことりっぷ』らしさというのは、ボンヤリとしたものなので、例えば、昔からコミュニティにいるヒトと、新しくコミュニティに加入した方の間にギャップが生じる可能性もありますよね。加入タイミングによる差、世代間の差、住んでいる地域による差、様々なポイントでズレが生じる可能性があるわけです。

 

そのため、『ことりっぷ』では、「"らしさ"って、こういうことですよね」だとか、「こっちの方向に向かいますよ」といったメッセージが含まれたコンテンツを編集部から発信し、『ことりっぷ』らしさをコミュニティ内で共有できるように心がけています。その一つの手段として注力しているのが、「タネ」と呼ばれている編集部のコラム記事です。

 

f:id:kei4ide:20171118205738p:plain

※(『ことりっぷWeb |ことりっぷweb編集部のコラム「タネ」。 』よりスクリーンショット)

 

このようなコラム記事を中心に、『ことりっぷ』らしさをコミュニティ内で共有し、コミュニティに生じるズレを締めていっているんですね。もちろん、ヒトによっては編集部が発信した『ことりっぷ』らしさに対して、「私の思っている『ことりっぷ』らしさとは違う…」と違和感を感じる方もいらっしゃるかもしれません。ただ、コミュニティを健全なものに保っていくために、あえて振り返らないようにしているとのことです。

 

コミュニティを運営して参加人数が多くなってくると、どうしても様々な価値観をもつ人が増えていきます。その中で、このコミュニティは、「どこを目指しているのか?」、「どういう場であるのか?」といったコミュニティが向かっている方向性を明示していかないと、コミュニティはバラバラになってしまいます。

 

「メンバーが自走していくコミュニティを目指したい」といった声をよく聞きますが、どんなにコミュニティメンバーが自走していても、コミュニティの方向性を明示するという「舵取り」の役割をコミュニティマネージャーは手放してはいけないと思います。『ことりっぷ』は、この舵取りを懸命におこなっているからこそ、「強いつながり」をもったコミュニティを形成できているわけですね。

 

◇要因③:コミュニティリーダー(スターユーザー)に真摯に向き合う

『ことりっぷ』のコミュニティには、「スターユーザー」と呼ばれる編集部公認の『ことりっぷ』らしい投稿を積極的に発信してくれるメンバーの方々がいらっしゃいます。編集部と一緒になって、『ことりっぷ』らしさをコミュニティに発信し、コミュニティを活性化してくれるコミュニティ・リーダーのような存在の方々です。現在、スターユーザーは40名ほど、いらっしゃるそうです。

 

平山さん達がスターユーザーを選定するときの条件としてあげているのは、大きく以下の3つです。

  1. 『ことりっぷ』っぽい投稿ができているか?(写真だけでなく、文章も見ているそうです)
  2. 投稿に対して、他のユーザーから共感が生まれているか?(「いいね」がついているか)
  3. 他のユーザーからコメントがあった場合、丁寧に対応しているか?

 

そして、この条件に該当するユーザーの方々に対して、「『ことりっぷ』の価値を一緒につくっていく仲間として活動していただけませんか?」と、編集部から声をかけ、自分たちの想いを伝え、スターユーザーとして活動いただくようにしているとのことです。東京近郊にお住まいがある方であれば、基本的にお会いして、編集部の想いを伝えることに努めているそうなんです。

 

その努力もあって、スターユーザーの方々の投稿を見ると、まるで『ことりっぷ』のガイドブックを読んでいるような感覚になる投稿ばかりなんですよね。実際、『ことりっぷ』の編集部のほうでもスターユーザーの方々が投稿した写真を、紙面やWeb記事で使わせていただいたり、紹介させていただくことも多いそうです。また、ユーザーからのコメントに対しても丁寧に返信されていて、コミュニティ活性化の大きな要因にスターユーザーの方々がなっているのがわかります。

 

f:id:kei4ide:20171118205656p:plain

※(『ことりっぷアプリ』よりスクリーンショット)

 

また、このように活躍してくれているスターユーザーの方々に対して、『ことりっぷ』編集部では、感謝の気持ちをこめて、新しい旅の魅力を発見してもらうモニターツアーに優先的に参加していただいたり、スターユーザーを集めた謝恩会を開いたりしているそうなんですね。

 

コミュニティの活性化を考えると、コミュニティマネージャーを含めた主催者以外で、コミュニティの盛り上げ役を務めていただけるコミュニティリーダーの存在が重要になるのは間違いありません。僕が思うリーダーに求めたい基準は3つで、1つは、コミュニティが掲げるミッションへの強い貢献欲求があること。2つ目は行動が伴うこと。3つ目はフォロワーが生まれていること。まさに、『ことりっぷ』では、この基準に合致しているユーザーの方々を、スターユーザーとして、丁寧に真摯に誠実に、仲間として迎え入れ、コミュニティを盛り上げる役割を担っていただいているんですよね。

 

コミュニティリーダーの育成に課題をもっているコミュニティマネージャーの方は、『ことりっぷ』の取り組みは学ぶところが多いのではないかと思います。

 

まとめ

 ということで、『ことりっぷ』の取り組みを紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?

 

…と、メディアの在り方について語る平山さん。「メディアのコミュニティ化」という話が様々なところでなされているように、メディアビジネスを行う中で、読者との強いコミュニティを形成ができるかどうかはメディアの価値を語る上で欠かせないテーマになってきています。平山さんが語るメディアが長く愛される存在になるために必要な4つの要素(世界観、テーマ、背景、愛情)はメディア運営の話ではなく、コミュニティ運営においても必要となる4要素だと捉えることができると思います。

 

みなさんも、自信が運営するコミュニティの価値を高めていくために、この4要素に対して向き合っていただきたいと思います。

 

最後に、平山さん、お話しを聞かせてくれてありがとうございました!!

『ことりっぷ』の取り組みが、皆さんのコミュニティの企画や運営にとってプラスになれば幸いです。

今回の「コミュニティ・マーケティングの流儀」は以上となります!

『モチベーション革命』から学ぶメンバーのモチベーションデザイン手法【コミュニティ・マーケティングの作法 #02】

f:id:kei4ide:20171112180934p:plain

こんにちは!SNSやコミュニティなどを通じて、様々な企業・団体の『ファンづくり』に日々奮闘しております「沸騰ナビゲーター」こと井手 ( @kei4ide ) です。

 

「コミュニティを立ち上げたんだけど、メンバーが全然行動してくれない…」

「コミュニティメンバーのモチベーションをキープさせるのが大変すぎて、運営が大変…」

 

といったお悩みを抱えるコミュニティマネージャーの方むけに、先日、『「しくじり」から学ぶ、コミュニティを成功に導く4つの絶対条件』というブログ記事を書かせていただきました。

 

その中で、「コミュニティ活動に時間を割いて、自主的な行動を求めるには、それなりの強いモチベーションが必要になるので、強く共感できる『コミュニティ・ミッション』を掲げよう」というのを絶対条件としてお伝えしましたが、今回は、ここをもう少し掘り下げてみたいと思います。

 

要は、参加メンバーの『モチベーションデザイン』についてです。

 

コミュニティとは、つまるところヒトが集まって、何かしらの活動が起こる場のことをさしますよね。つまり、コミュニティマネージャーたるもの、ヒトが行動を起こすためのガソリンとなるモチベーションについて理解を深め、参加メンバーのモチベーションをデザインしていく必要があるということです。

 

さて、いきなりですが、『モチベーション革命 稼ぐために働きたくない世代の解体書』(尾原 和啓 著)という書籍をご存知でしょうか?

モチベーション革命 稼ぐために働きたくない世代の解体書 (NewsPicks Book)

モチベーション革命 稼ぐために働きたくない世代の解体書 (NewsPicks Book)

 

 ※幻冬舎の箕輪さんのnoteにて「はじめに」が無料公開されています!⇒こちら

 

今年の9月末に発売された書籍なのですが、世代間によりモチベーションの源泉に差があることや、その差をどう埋めていくかなどが非常に分かりやすく書かれていまして、『モチベーションデザイン』について学びになることが豊富に書かれていました(超オススメです!)。

 

今回は、書籍『モチベーション革命』に書かれていた内容を紹介しつつ、参加メンバーのモチベーションをデザインしていくために必要な考え方をシェアしていきたいと思います。

 

幸せには5つの軸がある 

『モチベーション革命』の中で紹介されていて、初めて知ったのですが、アメリカ人心理学者で「ポジティブ心理学」の第一人者でもあるマーティン・セリグマン氏が唱えている「人の幸せは5種類に分けられる」という話をまずは紹介させてください。

 

《マーティン・セリグマンが唱える5つの幸福》

①達成(Achievement)

②快楽(Positive Emotion)

③良好な人間関係(Positive Emotion)

④意味合い(Meaning)

⑤没頭(Engagement)

 

まず、①の「達成」は分かりやすいですよね。与えられた目標をクリアしたり、今までできなかったことを成し遂げたときに感じる幸せのことです。

 

②の「快楽」は、単純に言うとドーパミンを感じる事で、美味しいものを食べたとき、圧倒的に美しいものを見たとき、自分の愛するヒトと抱き合ったときなど、ポジティブな感情が生まれたときに感じる幸せのことです。

 

③の「良好な人間関係」とは、「別に何も達成しなくてもいい。ただ自分の好きな人と笑顔で生きていければいい」といった幸せをさします。地元が大好きで週末のたびにみんなでワイワイ飲み会をするのが好きな人。日ごろからの付き合いを大切にしていて、同窓会に必ず参加する人も、この思想が強いと尾原さんは言います。

 

④の「意味合い」は、自分のやっている仕事が、大きな文脈のなかで誰かに貢献できている。さらに言えば、自分の大切な人のためになっていること。これを実感できることが、「意味合い」タイプの人にとって、幸せの源泉になるということです。

 

そして、最後の⑤「没頭」ですが、これは職人気質の人が感じやすいもので、一つの作業に集中している時や、何かに夢中になって取り組む際に感じる幸せのことです。

 

ここでポイントなのが、この5つを全て満たすのが重要といったことではなく、ヒトによって重要視している軸が違うということです。例えば、③の「良好な人間関係」を職場でも、人生でも重要視している人もいれば、①の「達成」のプライオリティが高く、そのためなら「良好な人間関係」でなくても構わないという人もいるということです。

 

長年、心理学の世界では、「人の幸せはひとつの軸しかない」と言われてきたそうなのですが、ここ数年で、「いや、どうも一つの軸にはまとめられないぞ」ということがわかり、様々な学者が多様な幸せのあり方について定義しているようなんですね。

 

世代間によってズレるモチベーションの源泉

そして、『モチベーション革命』の著者である尾原さんは、世代間によって重要視している幸せの軸に大きなギャップがあると指摘しています。

 

40代以上の世代の多くの人は、「達成」と「快楽」を強く欲する傾向があり、30代以下の世代は、「意味合い」や「良好な人間関係」、「没頭」に強い価値を見出す人が多いという話です。

 

どういうことかというと、40代以上の世代は、汗水垂らして頑張って、高い目標を達成し、その結果のごほうびとして、美味しいものを食べ、高級なバーに行き、きれいな女性と一夜をともにするなどの「身体的・心理的・社会的な快楽」を味わうことが幸せのカタチとして強く求められました。

 

これは別に悪いことでもなんでもなく、日本の経済成長期と重なり、仕事で結果を出せば出すほど、会社も成長するし、社会も発展するというサイクルができていたので、「自分たちがこの国の成長を支えている」「社会を発展させている」といった自負と自信を生み、そうすることが美徳とみなされていました。そのため、仕事にのめり込み、残業して、接待続きで、家庭を犠牲にしても、それが「当たり前」だったんですね。

 

しかし、30代以下の世代において、上の世代と同じように、「達成」や「快楽」を求めるという気概は起こりづらいですよね? なぜなら、既に社会は満たされているからです。モノが豊かに溢れる時代で、様々な便利なサービスが揃っていて、社会基盤も整っている現代において、「ハングリー精神で頑張れ!」とか、「みんなでウン臆円のビジネスを目指そうぜ!」と言われても、いまいちピンとこないわけです。

 

著者の尾原さんは、40代以上の世代のことを『乾いている世代』。30代以下の世代のことを『乾いていない世代』と呼んでいます。上手い表現ですよね。

 

そして、『乾いていない世代』においては、「良好な人間関係」や「意味合い」を重視する人が非常に多いと尾原さんは言います。仕事よりも、個人や友人との時間が大切。何気ない作業のなかにも「今、自分がこの作業をやっている意味」を見出さないと、やる気が起こらなくなる。「没頭」タイプの人も多く、「いくら稼げるか」よりも「仕事に夢中になって時間を忘れてしまった」ということに喜びを感じる人が多いのも特徴とのことです。

 

コミュニティマネージャーは『乾いていない世代』のモチベーションデザインに注力しよう

みなさんにとって、この世代間のモチベーションのズレに対して、どのように感じられたでしょうか?

 

僕は、『乾いている世代』と『乾いていない世代』の話を聞いた時に、とてもしっくりくると同時に、成熟社会が広がり、低成長時代が続く中で、『乾いていない世代』の価値観をもった人たちが、これからマジョリティーになると思いました。

 

つまり、「良好な人間関係」が築けていて、「意味合い」を感じることができ、取り組んでいる活動に「没頭」ができる。そんなコミュニティが、職場であっても、職場外であっても、もっとも人々を惹きつける可能性が高いということです。活動に没頭した結果、「達成感」や「快楽」を感じられたら最高の結末です。

 

このことを踏まえると、コミュニティを立ち上げたり、運用するには、まず「良好な人間関係」を築くこと。そして、そのコミュニティに参加する「意味合い」を与えることに、コミュニティマネージャーは心を砕く必要があります

 

「意味合い」という点では、やはり「コミュニティ・ミッション」を磨いて、メンバーに発信していくことが大切になってきますね。コミュニティ・ミッションとは「こういう社会をつくりたい。こういう人を増やしたい。こういうカルチャーを広めたい。」といった、コミュニティの存在意義のことです。

 

では、「良好な人間関係」を築くためには何が大切か? 大前提として、コミュニティ・ミッションに共感する共通の価値観をもった方を集めるというのが、良好な人間関係を築くにあたってのベースになることは間違いありません。それに、コミュニティマネージャーの愛され力も大切ですね。しかし、「良好な人間関係」を築くには、そこにプラスして、メンバー間のチーム作りが重要になってくると僕は考えていますし、尾原さんもチーム作りの重要性を『モチベーション革命』の中で説いています。

 

チーム作りでまず重要になってくるのは、お互いの相互理解です。お互いがお互いを理解していると、「ここまで指摘してもいいよね」といった信頼関係が出来、コミュニティ内の心理的安心も高まります。尾原さんが紹介していた、自分のトリセツ(取扱い説明書)を書いて共有する方法は、僕は非常に有効だと思いました。

 

例えば、「このコミュニティに入ろうと思った動機につながる、最も古い記憶について」、「自分が120%頑張っちゃうこととは?」、「『これだけはダメ、嫌』という自分の取り扱い注意ポイントについて」といったことをまとめてトリセツ交換会をすることは、とても有効だと思います。

 

また、これも『モチベーション革命』に書いてあるのですが、自分の強みとしていることがわかる「ストレングスファインダー」をメンバーに受けてもらって結果を共有するとか、自分の好きなテーマやジャンルについて掘り下げていく「偏愛マップ」を共有するといったことも面白いと思います。

 

※イケハヤ先生の「ストレングスファインダー」に関する記事が面白いので、興味がある人はご覧ください。

※「偏愛マップ」 について詳しく知りたい人におススメの記事!

 

こういったことを通して「良好な人間関係」を築けると思いますし、お互いの強みを理解し、それに合わせて活動や役割の分担を行ったほうが、メンバーが自分の強みを活かしコミュニティ活動に「没頭」できると思うんですよね。

 

ということで、「良好な人間関係」、「意味合い」、「没頭」といったことにモチベーションの源泉を抱く『乾いていない世代』が増えていく中で、コミュニティマネージャーの方々は、この3つをどう満たしていくのかをコミュニティを運用する上で考えていってほしいと強く思っています。

 

コミュニティこそ『乾いていない世代』にとって求められている。

最後になりますが、これから『乾いていない世代』が増えていくなかで、僕はコミュニティが果たす役割が大きくなるのではないかと考えています。

 

自分の人生の「意味合い」を高められることが職場で出来ればベストですが、『乾いている世代』が経営層を締めることが多い現状では、少なくても今後5~10年くらいは、職場から「意味合い」を見出すのが難しいといわざるを得ない環境に身を置かれる方が、残念ながら少なくないのではないかと思います。

 

そうすると、彼らの「意味合い」を満たす場として、職場でもなく、家庭でもない、第三の場所として、自分と共通の価値観を持っている仲間が集まっている「コミュニティ」というものが提供する価値は少なくないと思いますし、こういう時代だからこそ、「コミュニティ・マーケティング」というものが注目され始めているのではないかと思ってもいます。

 

コミュニティマネージャーは、参加メンバーにとって、「良好な人間関係」、「意味合い」、「没頭」といった生きる上でのモチベーションを与える役割だと思ったら、とても素敵なポジションですよね。

 

色々と大変な役割であるのは間違いなのですが、コミュニティマネージャーを務められている方、これから務める予定の方。一緒に、良いコミュニティを世の中に多く形成できるように頑張っていきましょう!

キンコン西野さんと箕輪さんが大学で熱弁!常に自分をアップデートするために重要な3つとは?

f:id:kei4ide:20171105175927p:plain

こんにちは!SNSやコミュニティなどを通じて、様々な企業・団体の『ファンづくり』に日々奮闘しております「沸騰ナビゲーター」こと井手 ( @kei4ide ) です。

 

キングコング西野さんと、ホリエモンの『多動力』や、前田裕二さんの『人生の勝算』などの話題作を次々と世の中に送り出している幻冬舎の箕輪さん登壇の「未来のページをめくる ~革命のファンファーレを鳴らそう~ 」というイベントが早稲田祭で開催されました。

 

f:id:kei4ide:20171105184501p:plain※会場は予想通り、超満員で熱気に包まれていました!

 

今回、早稲田大学で開催なので、「この2人が現役の大学生に向けて、どのような話をしてくれるのだろう?」ということに興味を持ち参加してきたのですが、この変化の激しい時代において、どのような働き方・生き方をすべきなのかという2人からのメッセージがめちゃくちゃ共感&感銘をうける内容だったので、井手の独自解釈を踏まえながらですが、ブログを使ってシェアしたいと思います!

 

 

職業がなくなる時代において、安定という幻想は捨てるべき

まず、冒頭で箕輪さんと西野さんからの問題提起は、有名大学の学生たちの就職希望ランキングの上位にメガバンクがズラッと並んでいること。そして、その志望する大半の理由が、企業として安定しているからということでした。

「その安定しているという根拠は何なのか?」

IT技術やデジタル化の波の中で、次々と職業がなくなる時代において、みんながのっている大きな船だから安心という考え方は捨てたほうが良いという話。もしかしたら自分が乗り込もうとしている船はタイタニック号のように沈没するかもしれないという視点を持てているのか?ということです。

この問題提起はホントにその通りだ思うし、その兆候は既に起こっています。先日、日経新聞で、3大メガバンクが収益力の低下が続く国内事業にメスをいれるために、大規模な構造改革に乗り出し、デジタル技術による効率化などにより、単純合算で3.2万人分に上る業務量を減らすという記事が発表されました。つまり、メガバンクですら従来のモデルを維持できず変化の大波にさらされているのです。


IT技術やデジタル化の促進の旗振り役の企業の1つであるGoogleの創業者ラリー・ペイジ氏は、2014年に米ファイナンシャルタイムのインタビューで「20年後、望もうが望むまいが90%の仕事が機械によって代替されて、ほとんどの人は今と違う仕事についているだろう」とこたえました。

▼ラリー・ペイジ氏の英語インタビューを綺麗にまとめてくれているブログです。


消える仕事に共通するのはマニュアル化がしやすいもの。正確性が求められるものだとペイジ氏は言います。「消える職業リスト」というリストがあるのですが、銀行の窓口業務と新規口座開設担当者もリストに含まれています。確かに、お金の管理などはヒューマンミスが起こるかもしれない人間より、機械にやってもらったほうが安心だし、対応も早そうですよね(銀行の窓口待ち時間も削れるし、土日でも対応してくれそうだし) 。

【参考】 この大学生の意識に関する問題提起は、イベント登壇後に西野さん自身もブログにまとめられていました。

 

良いものをつくれば売れる時代は終わり、届け方までデザインする時代へ

そして、IT技術やデジタル化によって引き起こされた大きな変化として、ビジネスの形が大きく変わったと箕輪さん。

なにが大きく変わったのかというと、『独占時代の終了』ということ。

f:id:kei4ide:20171105184016p:plain

 

これまでは、大企業が力を持っていて様々な権利を独占していました。例えば、エンタメコンテンツ。TVや雑誌といった大手メディアがエンタメコンテンツを独占販売していたので、オモシロいものをつくれば簡単に売れていた時代が続いていました。しかし、個人がブログやYoutubeなどでコンテンツを発信できる環境が整い、エンタメコンテンツが溢れかえる時代において、ただオモシロいコンテンツを作っても売れない時代になったという話です。

 

これはエンタメコンテンツだけの話ではなくて、食品や日用品、衣料品といったメーカーや、スーパーやコンビニといった小売店でも同じで、今はECショップが簡単に作れるし、物流コストも驚くほど下がっているし、CtoCの取引も増えてきている中で、良いモノを作っただけでは簡単に売れなくなりました。

 

そこで『届け方のデザイン』が大切になってくるというわけですが、「モノやコンテンツが溢れているから、みんな選ぶのがしんどい。なので、信用がある人が選んだものを選ぶようになってくる」と、『信用』がキモになってくると箕輪さんは言います。

 

例えば、SHOWROOMの前田さんの著書「人生に勝算」は箕輪さんの予想を遥かに超えて多くの人に購入いただけたそうです。もちろん、書籍の内容自体が素晴らしいのですが、箕輪さんとしては、西野さんに応援してもらえことが大きかったのではないかと感じているとのことです。

 

「西野さんは絶対に嘘をつかないし、西野さんがオモシロいと思ったものは絶対にオモシロイに違いない。」

 

そう思った人達が「人生の勝算」を読んでみた結果(西野さんのブログで第一章が無料公開されていましたね。そのブログはコチラ)、実際オモシロいし、前田さんの人柄も素晴らしいから、応援したい機運が高まって、どんどん熱狂が広がっていったのではないかと。


つまり、ここからの学びとしてはモノを届けようとすると、信用を集めていて影響力のある方から応援していただけるようになることが大切ということです。これまでは、ある意味、札束を用意して、影響力のあるメディアを動かしてモノを売ることができましたが、これからはそれは期待できません。また、信用を集めている人も自分の信用を損ねることは嫌うので、本気で良いと思うものしか応援しないようになります。ここらへんの話は、先日、塩谷さんも主張されてらっしゃいましたよね。


そのため、今後僕たちが意識しないといけないことは、まず、応援していただけるように、徹底的に想い・アイディア・主義主張を発信して仲間(同志)をつくり、信用が高くて影響力のあるパイオニアの方すら仲間に巻き込み、自分がオモシロい思うモノを届けていくことが重要になってくるというわけですね。

①無料公開、②情報解禁、③スナックする

この3つが大切だと箕輪さんがおっしゃっていましたが、つまり、こういうことなのだろうと僕は解釈しました。

常に自分をアップデートするために重要な3つのこと

そして、変化が激しい時代において、変化の波を乗り越えて自分の価値を発揮できる状態を維持していくには、常に自分をアップデートしていく必要があるという話に話題は移っていきます。

そこで、重要になってくるのが次の3つです。

①肩書きにとらわれない
②同じ業界でつるまない
③自分より若い人から学び続ける 

①肩書きにとらわれない

西野さんやホリエモンがよくいっていることではありますが、肩書にとらわれずに本質をとらえて動けということですね。

 

例えば、箕輪さんは「編集者」という肩書をもっているけど、女性用の下着や、神社のプロデュースなんかもやっています。編集者というのは書籍や雑誌の編集をする人だととらわれがちですが、伝えるべき価値や魅力を届けるという意味では、下着も神社も「編集」の対象領域であって、書籍や雑誌の「編集者」に固執しないとのことです。

 

これって、僕の尊敬する元電通で今は独立された岸 勇希さんも同じで、クライアント企業の抱える課題を解決するときには、「広告会社」という肩書にとらわれず、空間デザインやミュージックビデオの制作、時には企業内の組織カルチャーづくりなど、「広告」という手法にとらわれず動いているんですよね。

 

まさに、会社名、職種名などにとらわれず、どれだけ『多動力』を発揮できるかという話だと思います。

 

そして、これからは「肩書」ではなく、「姿勢」が重要になってくるのではないかという話へ。西野さんであれば「芸人」というのはオモシロイことを世の中に提供し続ける姿勢のことを芸人と呼んでいて、箕輪さんであれば「編集者」というのは世の中に埋もれている価値あるものを届け続ける姿勢のことを呼んでいるわけですね。

 

「何ができるか?」。もちろん、これも重要なのですが、「何がしたいか?」のほうが、より重要になってくるので、この根っこの部分と向き合いなさいという二人からのメッセージだと僕は受け取りました。

 

②同じ業界でつるまない

これも非常に共感したんですが、西野さんや箕輪さんは同業界の方々とばかり交流せずに、積極的に他業界の方々と交流しているそうなんですね。

 

そうすることで、様々な業界が抱える課題や、今注目されているビジネスや人物の情報が次々と入ってきて、「もしかして、今の自分の置かれている状態はちょっとやばいんじゃないか?」といったアラートに気づけたり、「コレとコレを掛け合わせれば面白いことができるんじゃないか」といったアイディアの種が沸いてくるとのことです。

 

どの業界にも構造的な課題や難点ってあると思うのですが、その課題こそがイノベーションのチャンスなんだと思うんですよね。だけど、その業界で叩き上げで育ってきた人は、顕在化している課題が当たり前になってしまって、「そういうもんだろ」と従うのがスタンダードになってしまうと思うんです。

 

だけど、業界外の人は「それって、おかしくね?」とツッコみをいれてくれたり、「ウチの業界だと、こんな取り組みをしている会社があって…」と、その課題を突破するヒントをくれたりするんですよね。あと、逆に、自分の業界だと当たり前すぎて価値がないと思っていたことが、他の業界だと価値を急に帯びてくることもあります。

 

僕も会社以外の場所のコミュニティに参加するようになって、これは本当に実感しています。 同じ業界、同じコミュニティの仲間たちとつるむのは居心地がいいし、荒波も立ちません。ですが、意思を持って業界から飛び出して見聞を広げるというのはホントに実行すべきだと思います。

 

③自分より若い人から学び続ける

今回のイベントの中で一番共感したのはココかもしれません。

 

僕は今年で33歳で、今年から渋谷のBOOK LAB TOKYOを拠点とする朝活コミュニティ『朝渋』に入ったのですが、メンバーは大学生を含めた20代のメンバーが中心。他にも、幾つかの20代メンバーが中心のコミュニティにお邪魔させていただきました。

 

その結果、分かったのが、皆さん、SNSやクラウドツール、ITサービスを使いこなしているし、クラウドファンディングとかも当たり前のように使いこなしている…。しかも、渋谷といったお土地柄なのか、自分でコミュニティやサービスを構想して、立ち上げているメンバーも多数。Youtubeとかで、自分を登場されることにも躊躇があまりないんですよね。最近だと、TimeTicketで時間を売るメンバーも多数いたりします。

 

若い世代こそ、フットワークも軽いし、これまでの常識にとらわれずに、斬新でオモシロいことをやってくれる。そして何より失敗を恐れていない…!それを理解しているから、西野さんや箕輪さんも(ホリエモンも)、積極的に若い世代に会いに行って、学びをもらう機会を設けているそうです。

 

その中で、お二人がたどり着いた結論が『若い才能の待ち合わせ場所になった奴が強い』。つまり、若くて意欲的な人達が、「この人と一緒にいたらオモシロいことができるんじゃないか?」と期待して寄ってきてくれる存在になること。ホリエモンやDMMの亀山会長はこれができているから強いのではないかと。

 

僕自身も、放っておくとオジさん化がますます促進してきてしまうので、若い人から意識的に学びを求めていく活動を強化していかねばと思いました。

 

正しいコトより、オモシロいコトをしよう!

そして、お二人からの最後のメッセージとして放たれたのがコチラ。

 

「今の時代、正しいコトより、オモシロいコトにお金が集まる。みんなが参加したくなるお祭りをつくろう!

 

前述したように、モノの良さでヒトが動きづらくなった時代においては、応援したくなるストーリーをいかに作れるかが重要になります。そして、西野さんが、ここで例を出したのは、なんと、僕の敬愛するヤッホーブルーイング!

 

「『よなよなエール』とかをつくっているヤッホーブルーイングっていうビール会社があるんですが、ここの井手社長がオモシロくて、この間、神宮で数千人のファンイベントをやったそうなんですが、これがめちゃくちゃ大赤字でヤバいと嘆いていましたw。でも、こういう会社って応援したくなりませんか?」

 

と西野さん。そうなんですよね。僕がヤッホーさんを応援する理由も一緒で、ビールが美味しいだけだと応援する理由は弱くて、こういうファンのために赤字覚悟で体をはってくれる姿勢が好きなんですよね。

 

こんなに多様な価値観が溢れ、働き方や生き方も変化していく時代で、何が正しいかなんてわからないので、自分がオモシロいと思う心の声を信じて、突き進めということだと僕は解釈し、とても励まされました!

 


…ということで、革命のファンファーレを既に鳴らしまくっている熱い二人のイベントの内容を井手の解釈を交えながら、ご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?

『革命のファンファーレを鳴らそう』というタイトルのイベントでしたが、きっと、大学生の皆さんをはじめ、多くの人の心を動かしたイベントになったのではないかと思います。このイベントで僕が学んだこと・感じたことを多くの人に、自分の行動を通じてシェアしていきたいと思っています。

最後に、今回のイベントを開催してくれた『早稲田リンクス』さん。スポンサーしてくれた『NewsPicks』さん。素敵な機会をいただき、ありがとうございました!

そして、登壇いただいた西野さん&箕輪さん、ありがとうございました!
僕も革命のファンファーレを鳴らしていきます!

★ちなみに、『NewsPicks』さんが大学生にもっと見聞を広げてもらいたいということで、通常1,500円のプレミアムサービスが500円で使用可能となる「学割プラン」をはじめたようです。これは素晴らしい!応援の意味を込めて以下に詳細のリンクを貼っておきます!

★このブログにたどり着いた大半の方が既にお読みいただいていると思いますが、西野さんの『革命のファンファーレ』は学びがホントに多いので、読んでいない場合は、読まれることを激しくオススメします!

革命のファンファーレ 現代のお金と広告

革命のファンファーレ 現代のお金と広告

 


★僕が他業界の方々と交流したり、若い方々から学びを得る場の重要性に気づくきっかけになったのが本文中にも登場した渋谷を拠点をした朝活コミュニティ『朝渋』です!「交流したいし、学びたいけど、そういう場がなかなか見つからないよ」という方には、『朝渋』はおススメなので、一度チェックしてみてください。もれなく、早起き&健康生活もついてきますよ!